「ワンストップ特例」の5大失敗

 ワンストップ特例は便利ですが、落とし穴もあります。以下、私が聞いたことのある5大失敗と、失敗してしまった時の対策をお伝えします。失敗してしまった時は、「確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請する」のが善後策となります。

【失敗1】ワンストップ特例申請書を1年間で6つの自治体に出してしまった

 ワンストップ特例申請書を6つの自治体に出すと、すべてが無効となります。そのまま放置しておくと、税額控除がまったく受けられなくなります。

 もし間違えて昨年、6つの自治体にワンストップ特例申請書を出してしまった場合、ふるさと納税の適用を受けるためには、今年2月16日~3月15日の間に確定申告するしかありません。確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請すれば、ふるさと納税全額について、きちんと税額控除が受けられます。確定申告には、ふるさと納税の「寄付金受領証明書」が必要です。

 1つの自治体に複数回ふるさと納税を行い、複数回返礼品を受け取る場合、ワンストップ特例の申請書は、寄付する都度、提出する必要があります。同じ自治体に寄付するならば、何回寄付しても自治体の数は1つと数えられます。紛らわしいので、以下、きちんと理解してください。

★6つの自治体にワンストップ特例申請書を提出→すべて無効
★4つの自治体に1回、別の1つの自治体に2回申請書を提出→すべて有効

 なお、1つの自治体に複数回ふるさと納税をした場合、返礼品が複数回受け取れる場合と、返礼品は1回限りの場合があります。自治体ごとに対応が異なりますので、よく内容を確認してください。

【失敗2】一部の自治体にワンストップ特例申請書を出し忘れた

 一番多い失敗は、申請書の出し忘れです。1年間に5つの市区町村にふるさと納税する場合、ワンストップ特例申請書を、5つの自治体すべてに出す必要があります。4つの自治体には出したが、1つの自治体に出し忘れた場合、出し忘れた自治体への寄付では税額控除が得られません。

 1つの自治体に2回ふるさと納税を行い、1回しかワンストップ特例申請書を出さなかった場合は、申請書を出さなかった寄付は税額控除の対象となりません。

 今年、既に5つの自治体にふるさと納税してワンストップ特例申請書を出したはずだが、「ひょっとして出し忘れたかも」と思う時、どうしたら良いでしょう。

 自治体に確認する方法もありますが、それよりも簡単なのは確定申告することです。ワンストップ特例申請書を出して、かつ確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請すれば、確定申告が優先されます。

「ワンストップ特例申請書を出し忘れたかも」と思う人は、確定申告してしまうのが良いと思います。

【失敗3】ワンストップ特例申請書が提出期限の1月10日までに自治体に到着していない

 ワンストップ特例申請書は、寄付した翌年の1月10日までに自治体へ提出(必着)しなければなりません。年末ぎりぎりにふるさと納税をすると、提出が間に合わなくなることもあります。提出が間に合わなくなると、その分、税額控除が受けられません。

 もし間に合わなくなってしまった時は、「確定申告」するしかありません。確定申告をすればふるさと納税の寄付金控除が受けられます。確定申告すると、先に提出したワンストップ特例申請書はすべて無効になりますので、ふるさと納税の全額分を確定申告する必要があります。

【失敗4】ワンストップ特例申請書を出した後、住宅ローン税額控除(初年度)や医療費控除を受けるために確定申告したが、確定申告でふるさと納税の寄付金控除の申告をしなかった

 ワンストップ特例申請書を出して、かつ確定申告をした場合、確定申告が優先されるので、ワンストップ特例申請は無効となります。確定申告しないつもりでワンストップ特例申請書を出していたのに、急に確定申告する場合は、注意が必要です。

 たとえば、急に医療費の金額が大きくなり、医療費控除を受けるために確定申告することになった場合、その確定申告書で、ふるさと納税「寄付金控除」も申告する必要があります。そうしないと、ふるさと納税の税額控除が受けられなくなります。

 確定申告すると提出済みのワンストップ特例申請が無効になることを、覚えておいてください。

【失敗5】上限額を超えてふるさと納税したため、自己負担額が2,000円より大きくなった

 上限額を超えてふるさと納税をしても、確定申告すれば、通常の寄付金控除は受けられます。上限を超えた分についてふるさと納税の地方税控除は受けられませんが、それでも確定申告で所得税の寄付金控除だけは受けた方が良いと言えます。

 以上、ワンストップ特例で失敗した時は、確定申告するのが基本です。確定申告でふるさと納税の寄付金控除を受ける方法を一度覚えてしまえば、そちらの方がワンストップ特例申請書をいくつも出すより楽かもしれません。

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