今日は、10万円以下、5万円以下など投資に必要な金額、その他いろいろな条件を指定して優待銘柄をスクリーニングする方法を解説します。

 米国の早期利上げに対する警戒感で世界的な株安が続き、日経平均株価もなお下値リスクを払しょくできない状況ですが、割安な日本株に時間分散しながら投資していくことが、中長期の資産形成に寄与するとの考えは変わりません。

 1月20日の本欄で、中長期の投資対象として、2月優待の人気トップ銘柄イオン(8267)について解説しました。他にも、割安な株価水準に低下してきていると考えられる優待銘柄はいろいろあります。それを、みなさまが自分でスクリーニングして探す方法を解説します。

 その前に、優待投資の良い面と悪い面について簡単にお話しさせてください。

優待投資の良い面と、悪い面

株主優待とは

 日本には、「株主優待」という世界でも珍しい制度があります。上場企業が、株主に感謝して贈り物をする制度です。株主への利益還元は、本来は配当金で行うものです。ところが、日本の個人株主の一部に、お金(配当金)をもらう以上に贈り物を喜ぶ傾向があることから、日本には、積極的に株主優待を実施している会社が多数あります。

株価を見ない?優待投資家

「株主優待」目当てで株を保有する投資家には、いい意味でも悪い意味でも、短期的な株価変動を見ない傾向があります。

「いい意味で…」とは、「結果的に落ち着いて長期投資ができる」ことを言っています。魅力的な優待を提供している小売り・サービス業には、安定的に業績を成長させ、株価が大きく上昇したものも多数あります。毎日、株価を見て一喜一憂していると、株価が少し上がると売りたくなり、逆に、悪い材料が出て下がってきても売りたくなります。長期的な株価上昇を取るには、短期的な値動きは見ない方が良いこともあります。

重大な悪材料が出て、株価が大きく下がる場合は「売り」

 優待投資家は、一時的に業績が悪化して、株価が下がっても、あわてて売らない傾向があります。それは、長期投資家としての良い面です。

 ただし、悪い意味でも、株価を見ない傾向があります。重大な悪材料が出て、株価が大きく下がる銘柄は、一度、売った方が良いと思います。

 2010年1月に会社更生法を申請した日本航空(JAL)株には、株主優待券(航空運賃の50%割引券)目当ての個人投資家がたくさんいました。当時の日本航空は、財務や業績に重大な問題が発生し、株価が大きく下落していましたが、優待目当ての投資家は売らずに持ったままでした。問題をかかえて株価が急落する銘柄は、一度、売るべきです。

「重大な問題をかかえているかいないか判断できない」方は、自分でルールを決めて、下がり続ける銘柄を売るようにしましょう。たとえば、「買ってから株価が20%以上、下がったら売る」などと自分ルールを決めましょう。それが、結果的に重大な問題をかかえて下げ続ける銘柄を持ち続けないためのリスク管理となります。

優待廃止あるいは優待内容を大幅にカットする企業は「売り」

 優待投資家は、業績は見なくても、優待内容の変更はよく見ています。優待廃止や、優待内容を大幅にカットする場合は、保有を続けず売却することが多いと聞いています。この場合は、売りで良いと思います。優待をカットする企業は、業績や財務が悪化し始めていることが多いからです。