果たして「選挙は買い」なのか?

 証券業界は株の「買い」タイミングばかり強調する(あおる?)習性があります。「ホントに信じていいの?」という気もするので、実際どうなのか、調べてみました。

 先に結論からお伝えしますと(新聞などでも少し取り上げられていますので)……「選挙は買い」というのは、確かな実績が残されています。

 下記のグラフは、衆院選と日経平均株価の期間騰落率を示したものです。

 左にある青色の棒グラフは、「衆院解散~衆院選前日まで」の日経平均株価の騰落率。右の赤色の棒グラフは、「投開票翌日~衆院解散から投開票日までの同日数経過時点まで」の日経平均株価の騰落率を示しています。つまり、衆院選の投開票日を挟み、前後で日経平均はどう変化したかが分かります。

 ちなみに、2000年4月に日経平均採用銘柄の大規模入れ替えがあり、除数が大きく上昇しました。今の日経平均株価と近い形になったのは2000年以降のため、2000年以降の衆院選前後を調べています。

衆院選と日経平均株価の騰落率(2000年以降)

出所:筆者作成

投開票日直前の日経平均予想は2万9,688円!

 先に結論を示した通りで、解散から選挙前のパフォーマンスは過去7回全部プラスという結果を示しています。上昇率の濃淡はありますが、負けなし…トラックレコードで判定するなら、「選挙は買い」と言えますね。

 グラフの右端に過去7回の平均値も載せました。ならすと選挙前は「5.5%上昇」。今回の解散前日(10月13日)の日経平均株価が2万8,140円でしたので、上昇率5.5%ではじき出せる目標株価は……衆院選前日(10月29日)終値で「2万9,688円」!

 定量的に、電卓をたたいて出てくる目標株価は、解散前より1,500円以上高い水準となります。値幅的にもアップサイドは十分! 日経平均レバETF(上場投資信託)を買うしかない! になります(あくまで、このトラックレコードだけを理由にした場合です)。

衆院選1カ月後の日経平均予想は3万192円!

 2000年以降の衆院選前は7戦負けなし(一部調べでは、1969年の衆院選までさかのぼっても、この期間は16戦負けなしだそうです)。

 疑って申し訳なくなるくらい、「選挙は買い」の実績はありましたが、それでは「選挙の後は?」ということで、先ほどのグラフから選挙以降(選挙後=赤の棒グラフ)のパフォーマンスも見てみましょう。

 選挙後も……悪くはない感じです。過去7回でいえば4勝3敗、ならすと選挙後は「1.7%上昇」でした。

 こちらも、電卓たたいて、目標株価を計算してみましょう。

 今回は解散から選挙までが12営業日。選挙の12営業日後は11月17日になりますが、先ほどの10月29日目標株価の2万9,688円から1.7%上昇したとすると……11月17日辺りの目標株価は「3万192円」! 「選挙は買い」のトラックレコードで定量的に計算すると、選挙1カ月後に3万円台回復だ! になります。

 あの、悪夢の“岸田ショック”からV字型で完全復活! 3万円の壁をもう一度乗り越え、さあ年末高だ! という雰囲気になりそうです。と、お花畑シナリオで想像を膨らませてみました(あくまで、このトラックレコードだけで計算した場合)。

 以上が、過去の衆院選を振り返った、選挙と株です。