円高をきっかけに米国株投資へ

 その後、順調に資産額を伸ばしていたたぱぞう氏に転機が訪れる。

 2000年代に入ると、外国為替市場で、円相場が1ドル=75円台に急騰。大きく円高に振れた。日本株式を中心に取引していたたぱぞう氏は、「これはと思い、そのとき、まとまった資金をドル転(円からドルに転換)して、ドル資産ができました。そこからどうせなら米国株を試してみようかなと思い、軽い気持ちでいくつかの銘柄を買ったのが米国株投資の始まりです」。円高時にドル転しているため、万が一失敗しても、円転すれば「為替で利益を出せるだろう」という読みがあった。

 そのいくつか買った銘柄は、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスを筆頭にさまざま。しかも、「ほとんど損をすることはなかった」と言う。

 実は、リーマン・ショックで軒並み下がった株が上昇に転じていた時期とも重なり、「ときにはびっくりするくらいのリターンがあり、米国株はこんなに簡単に利益が出るものなのか」と実感し、少しずつ日本株を処分し、米国株投資に注力していく。絶妙なタイミングでの米国株投資スタートだったといえる。

米国株投資スタートから10年で1億円達成!

 そして、たぱぞう氏は投資スタートから「17年目」、米国株を始めて「10年ほど」で、最初の節目である「1億円」に到達する。同じ期間、日本株投資を続けていたら、「おそらく1億円はムリだった」というたぱぞう氏。さらに、米国株が投資先として優れていると考える理由を、「米国には経済的な堀を持った企業が多く、ビジネスモデルの面で優れていることと、米国内の人口増加に伴う消費増、株主保護の法整備ができているから」と話す。

「経済的な堀」とは、企業が持つ高い競争力や業界への参入障壁を指す。そして「経済的な堀を持つ企業」とは、具体的にはコスト競争力を持つ企業、ブランドや技術力を持つ企業、価格支配力を持つ企業など。こういった企業の中から、さらに投資対象を探して投資するのだ。たぱぞう氏にとっては、バンク・オブ・アメリカ、タタ・モーターズ、Amazon、アリババなどが「経済的な堀」を持った企業であり、投資利益を伸ばすことに貢献した。