※本記事は2020年9月9日に公開したものです。
億り人に聞く1億円達成の道!
投資の世界では、運用で1億円以上を達成した人たちを、いつしか尊敬の念を込めて「億り人(おくりびと)」と呼ぶようになった。その中でも、投資スタート時は普通の会社員、つまり働いて得た給与を主な元手に運用し、「億り人」となった人たちは何をやってきたのか。
そこでトウシルでは、主に米国株・ETF(上場投資信託)を中心に投資している、たぱぞう氏に、1億円達成までの軌跡、投資手法をインタビュー。ゼロから投資で1億円を目指す方法を探る。
初任給で投資スタート
投資による金融資産総額は現在、「2億円を超えました」と話す億り人・たぱぞう氏は、「たぱぞうの米国株投資」でおなじみの人気ブロガーだ。ブログ名と同様に現在は、米国株、ETFを中心に投資。「長期保有」で、こまめな売り買いはせず、「投資のために時間を使うことは少ない」という投資スタイルだ。
実は、たぱぞう氏の投資スタートは日本の株式投資。十数年前、社会人になったばかりのころだった。「祖父や父が株をやっていたこともあって学生時代から投資に興味があった」ことから、初任給をもらうとすぐに割安な日本株式を購入した。
しかし当時、IT(情報技術)不況や金融危機が続いていたため、保有した株式は軒並み下落。初心者投資家のたぱぞう氏はいきなり逆風にさらされたという。「それでも投資を始めて7~8年、30歳までに1,000万円ほど利益を出しました」と言う。
円高をきっかけに米国株投資へ
その後、順調に資産額を伸ばしていたたぱぞう氏に転機が訪れる。
2000年代に入ると、外国為替市場で、円相場が1ドル=75円台に急騰。大きく円高に振れた。日本株式を中心に取引していたたぱぞう氏は、「これはと思い、そのとき、まとまった資金をドル転(円からドルに転換)して、ドル資産ができました。そこからどうせなら米国株を試してみようかなと思い、軽い気持ちでいくつかの銘柄を買ったのが米国株投資の始まりです」。円高時にドル転しているため、万が一失敗しても、円転すれば「為替で利益を出せるだろう」という読みがあった。
そのいくつか買った銘柄は、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスを筆頭にさまざま。しかも、「ほとんど損をすることはなかった」と言う。
実は、リーマン・ショックで軒並み下がった株が上昇に転じていた時期とも重なり、「ときにはびっくりするくらいのリターンがあり、米国株はこんなに簡単に利益が出るものなのか」と実感し、少しずつ日本株を処分し、米国株投資に注力していく。絶妙なタイミングでの米国株投資スタートだったといえる。
米国株投資スタートから10年で1億円達成!
そして、たぱぞう氏は投資スタートから「17年目」、米国株を始めて「10年ほど」で、最初の節目である「1億円」に到達する。同じ期間、日本株投資を続けていたら、「おそらく1億円はムリだった」というたぱぞう氏。さらに、米国株が投資先として優れていると考える理由を、「米国には経済的な堀を持った企業が多く、ビジネスモデルの面で優れていることと、米国内の人口増加に伴う消費増、株主保護の法整備ができているから」と話す。
「経済的な堀」とは、企業が持つ高い競争力や業界への参入障壁を指す。そして「経済的な堀を持つ企業」とは、具体的にはコスト競争力を持つ企業、ブランドや技術力を持つ企業、価格支配力を持つ企業など。こういった企業の中から、さらに投資対象を探して投資するのだ。たぱぞう氏にとっては、バンク・オブ・アメリカ、タタ・モーターズ、Amazon、アリババなどが「経済的な堀」を持った企業であり、投資利益を伸ばすことに貢献した。
現在の投資状況は?オススメは?
たぱぞう氏は現在、米国の個別株投資で得た資産を、「運用管理が楽」「分散投資ができる」と考える米国のETFに移し、加えて不動産投資や太陽光発電所投資も行っている。ちなみに先の資産額「2億円超」には、不動産投資や太陽光発電所投資の利益は入っていない。
ETFとは株式と同じように証券取引所を通じて時価で売買できる投資信託のことで、たぱぞう氏は、米国株投資を始めようとする人にもETF投資はオススメだと言う。
ETFの中でも、「米国では日本と比較にならないくらい数多くのETFが上場されています。米国中の企業の株価に連動するもの、NYダウ平均株価に連動するもの、また先進国、あるいは新興国の市場に連動するもの、さらには債券市場に連動するものや不動産指数に連動するものなど、とにかくいろんな種類があります」
一方で個別株投資にこだわるのであれば、「今は相場が高いので難しいですが、2020年初頭のAmazon、2020年5月のBABA(アリババ・グループ・ホールディング)のような割安株に気づくことができれば、1億円達成の道はショートカットできます。しかし、リスクへのエクスポージャー*を高めるということは下落もあり得るわけです。これはその人の目指す方向性によるでしょう」とたぱぞう氏は話す。
*エクスポージャー:金融資産(ポートフォリオ)の中で、市場の価格変動のリスクにさらされている資産の割合。
1億円達成からの眺め
「1億円は通過点」だったというたぱぞう氏。資産1億円を達成すると何が変わるのだろう。
「資産額は運用上、大きく変動するので特に気にしなくていいのですが、資産額が大きいほうが運用はラクになります。いろいろな銘柄が買えるし、分散投資がしやすい。そして、運用額が大きいほど、思惑通りになった時のリターン額も大きくなる可能性があります」(たぱぞう氏)
さらに気になる資産1億円の生活とは、どんな生活だろうか。
たぱぞう氏にとって1億円が「夢から現実」になってから、わざわざ高いものを買ったりすることもなく、「生活自体は以前からあまり変わらない」と言う。とはいえ、資産額が増えたことによって、たぱぞう氏は会社員を辞め、数年前から完全な投資生活に入った。いわゆるアーリーリタイア生活だ。
1億円達成できる人に共通する特徴とは?
まさに「夢のアーリーリタイア生活」だが、私たちにも資産額1億円は実現可能なのだろうか。
「支出を削り、適切な投資をすれば、十分可能だと思います。節約と投資。この両輪を意識してください」というたぱぞう氏の答えはシンプルだが、かえって心に響くものだ。
さらにたぱぞう氏は「1億円を達成できる人」に共通する4つの特徴があると話す。
・節約上手
・確かな相場観
・リスクの取れる人
・インデックス投資の場合、入金力がある
投資の成功者から話を伺うと、「今すぐ投資を始めよう」と気は急くが、たぱぞう氏は「現金保有も実は投資の一つ」だと話す。たぱぞう氏の言葉の繰り返しになるが、自分にはこの方法が合っている、目指す方向性と合っていると判断、納得して始めることが大事だといえる。
▼たぱぞう氏プロフィール
月間100万PVを誇り、情報満載の人気ブログ「たぱぞうの米国株投資」を運営し、現在は某投資顧問のアドバイザーも務める。米国株投資家きっての理論派投資家として有名。著書に『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』『40代で資産1億円!寝ながら稼げるグータラ投資術』がある。
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