日経平均の見通し 

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

「DIの改善傾向が続く」

 今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月がプラス6.11、3カ月先はプラス5.54となりました。前回調査の結果がプラス0.74、マイナス1.64でしたので、1カ月先は2カ月連続のプラス、3カ月先も久々にプラスに転じています。ちなみに両者がともにプラスとなるのは5月以来です。

 回答の内訳グラフで具体的な状況を見てみると、1カ月・3カ月ともに中立派が多くを占めており、相場の先行きに対して目立った方向性は出ていませんが、直近3回の調査を振り返ると、強気派が徐々に盛り返す傾向が続き、個人投資家のマインドが改善しつつあることが感じられます。実際に3カ月前(6月調査分)の1カ月先のグラフでは弱気派が46%を超えていました。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 株式市場は10月相場入りとなりましたが、国内では初日となる1日の取引が東証のシステムトラブルで終日停止となり、翌2日には、新型コロナウイルスの陽性反応が出たというトランプ米大統領の1本のツイッターが市場をざわつかせるなど、かなり慌ただしいスタートでした。「オクトーバー・サプライズ」というキーワードがニュースでも聞かれるようになっています。

 とはいえ、数日経過した日米の株式市場は、米国の追加経済政策の成立期待などで今のところ落ち着きを見せています。

 とりわけ、日本株においては、新政権への期待による「デジタル庁」関連銘柄をはじめ、日本銀行のETF(上場投資信託)買い、バリュー株への見直し、IPO(新規公開株)の人気化などが継続していることで日米株価のデカップリングとなっています。ただし、6月以降の日経平均は、株価が「急騰してはジリジリと失速」という値動きが繰り返されており、結果的に株価水準が切り上がっても、上昇基調の継続感に欠けるため、うまく相場に乗ることは難しく、個別銘柄を選別しながら物色する動きが中心となりそうです。

 日本株のさらなる上値追いについては、「デカップリング」が指摘されているとはいえ、今後の米国株に左右されます。NYダウ・S&P500、NASDAQの主要3指数が75日移動平均線水準の攻防から反発し、25日移動平均水準まで戻しており、米株の調整がひとまず「過熱感の修正」にとどまりそうになっていますが、米国の政治動向の不透明さが増していることや、北半球ではウイルス性の病気が流行しやすい季節へと向かっていきます。

 仮に米国株が再び75日移動平均線を下抜けてしまった場合には、「中期シナリオの修正」が意識され、下げが加速してしまう懸念がくすぶっています。

 そのため、10月相場は株式市場の「調整の意味(過熱の修正か、シナリオの修正か)」を見極める展開になりそうです。