ファンダメンタルズ分析は「何を」、テクニカル分析は「いつ」が得意分野

 リクツの上では、株式投資において「何(どの銘柄)を、いつ(どのタイミング)取引するのか」さえ間違えなければ利益を得ることができるわけですが、「何」に注力するのがファンダメンタルズ分析、「いつ」に注力するのがテクニカル分析というように、そもそも両者は守備範囲が異なっています。

 図1を見ても分かるように、ファンダメンタルズ分析は企業の価値(バリュー)を対象とし、テクニカル分析は企業価値の価格(プライス)の推移を対象としています。そのため、和食と洋食のどちらがおいしいかを議論するのと同様に、好みの問題はあるものの、その優劣を比較すること自体にあまり意味はありません。

図1:ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析

出所:筆者作成

 例えば、アナリストレポートや、雑誌などで取り上げられる推奨銘柄は、ファンダメンタルズ分析が基になっているものが多いですが、せっかくの優良銘柄でも取引のタイミングを間違えてしまえば、いわゆる「高値づかみ」となったり、思ったような利益を得ることはできませんし、また、テクニカル分析で強い買いサインが出たとしても、その銘柄の業績や財務状況が良くなければ、株価が上昇しなかったり、荒い値動きに振り回されて損をしてしまうといったこともあり得ます。

現在の日経平均株価の動きで両者を検証

 また、足元(2020年8月)の株式市場を見ると、日経平均株価が2万3,000円台を回復してきましたが、8月26日時点のPER(株価収益率)は22.12倍でした。前回、日経平均が2万3,000円台に乗せていたのは6月上旬でしたが、その時のPERは19~20倍だったことを踏まえると、同じ2万3,000円台でもファンダメンタルズ的には割高で買いにくいという判断となります。

 もちろん、その判断が吉と出ることもありますが、史上最高値を更新している米国株の動きにけん引される形で、今後も日経平均が上昇を続けた場合、利益をねらう機会を逃してしまう可能性もあるわけです。実際に、足元では「実体経済は良くないのに、株価だけが上昇している」と指摘されながらも上昇している面があります。

 結局、「ファンダメンタルズもテクニカルも両方チェックすることが大事」というわけですが、両者のバランス配分については、投資家の姿勢でも変わってきます。