1 積水ハウス(1928・東証1部)

▼どんな銘柄?
 住宅メーカーのトップ企業です。戸建・賃貸住宅事業が主力で、リフォームや不動産フィーなどストック型事業、マンションや都市開発事業なども手掛けています。

 住宅事業は中期的な市場規模縮小が見込まれる中、ストック型事業や開発事業、国際事業などが今後の成長のカギを握ります。中期的な配当性向40%以上を目標としています。昨年10月に鴻池組を連結化しました。

▼業績見通し
 2020年1月期営業利益は2,053億円で前期比8.5%増益となりました。戸建住宅、マンション、リフォーム事業などが好調でした。一方、2021年1月期見通しは2,060億円で同0.4%増と伸び率が縮小する計画です。

 前期に受注が減少した戸建住宅の営業利益が大きく減少する見通しで、市場予想も下回る水準となっています。新型コロナの影響で、全般的に売上計上時期がずれ込みそうなことは、もう一段の利益押し下げ要因につながる可能性も残ります。

▼ここがポイント
 収益水準は安定しており、配当金の大幅な引き下げの可能性は低いとみられます。また、自社株買いを行っていることも株価の下支え材料となるでしょう。

 一方、目先の焦点となるのは、4月に大きく落ち込んだ戸建住宅の受注状況となります。5月、6月にかけて減少率の縮小が表面化すれば、株価にとっては強い安心材料につながっていくでしょう。

2 大和ハウス工業(1925・東証1部)

▼どんな銘柄?
 大手住宅会社。積水ハウス(1928)との比較では、商業施設や事業施設などの構成比が高い他、住宅でも賃貸住宅の比率が高いことが特徴です。

 海外での不動産投資なども積極的に手掛けています。豊富なメニューを要因とした地主への土地活用の提案力が強みとも指摘されます。

▼業績見通し
 2020年3月期営業利益は3,811億円で前期比2.4%増益、物流施設などの増益が戸建、賃貸、マンションなどの伸び悩みを吸収しました。一方、2021年3月期は1,700億円で同55.4%減と大幅減益の見通しになっています。

 新型コロナウイルスによる利益へのマイナス影響は1,900億円と試算しています。ホテルを中心とした商業施設の落ち込みなどを想定のようです。年間配当金も前期の115円から90円に減配予定としています。

▼ここがポイント
 前期比減配計画などが示されたことで、足元の株価は積水ハウスなどとの比較で出遅れ感が強くなっています。ただ、会社側の想定する新型コロナの影響は大き過ぎるとの見方もあって、業績上振れ、配当計画の引き上げといった可能性も高いでしょう。

 その際には、株価インパクトは大きくなる見通しです。前年に相次いだ不祥事発覚で信頼感も低下しましたが、今後はガバナンス強化の評価が見直しにつながる余地もあるでしょう。

3 KDDI(9433・東証1部)

▼どんな銘柄?
 通信大手の一角で「au」ブランドが主力です。2019年9月末のモバイル通信における契約者数シェアは32.1%となっています。子会社のJコムはケーブルテレビの市場シェアトップです。

 2020年3月期まで19期連続での増益、18年連続での増配を続けています。金融事業の拡大などにも注力する方向です。

▼業績見通し
 2020年3月期営業利益は1兆252億円で前期比1.1%増益となりました。ライフデザイン領域、ビジネスセグメントともに増益となっています。

 2021年3月期は1兆300億円で同0.5%増益の予想です。新型コロナの影響として、音声収入の増加や固定通信収入の増加などポジティブなものもあり、トータルで影響は小さいとみているようです。

 増益率は低いですが、年間配当金は前期比5円増の120円を計画、先行き自信の表れとも受け止められます。

▼ここがポイント
 増配計画を打ち出した高利回り銘柄として、非常に買い安心感は強いと感じられます。楽天(4755)からの一定のローミング収入獲得なども、利益の下支えとなるでしょう。

 目先の注目点は、10月からのUQモバイルのキャリア化に伴う格安スマホ市場での競争力の向上が表面化することです。