1.FRBの緊急利下げで不安の連鎖はいったん収束か

 前週に急落した米国株式は、今週2日にダウ平均が史上最大幅(1,293ドル)の反発をみせました。「恐怖指数」(VIX)は28日のザラ場で49まで上昇し、リスク・パリティ投資戦略やヘッジファンドによる機械的な株式売り加速を消化した可能性があります。その恐怖指数は今週32まで低下しました(4日)。

 新型コロナの感染拡大と景気後退不安を発端とするリスク回避の連鎖はいったんは落ち着いたようにみえます。FRB(米連邦準備制度理事会)は4日に「景気下振れリスクを回避する」との目的で緊急利下げを実施しました(FF金利の誘導目標:1.50~1.75%→1.00~1.25%)。利下げ幅が0.5%だったことによる「利下げ出尽くし感」と、直後の記者会見でパウエル議長が「金融政策の限界」に言及したことで当日の株価は乱高下しました。

 ただ、新型コロナ感染拡大による経済的影響に配慮し、FRBが世界の金融当局の先陣を切って機動的利下げを実施したことで、ダウ平均は下値を固める動きをみせています。図表1では、株価急落と長期金利低下が当局の追加利下げを催促したようにみえます。金融緩和そのものは新型コロナに直接効果はありませんが、景気の落ち込みや企業の資金繰りを支える意味があります。一方、米国金利の低下で為替相場ではドル/円が107円台まで下落。円高の進行で日経平均は相対的に上値の重い動きとなっています。

図表1:売られ過ぎ感とFRBの追加利下げで米国株は反発

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2019/1/1~2020/3/4)