未財務情報であるESG情報は長期投資に不可欠

「長期的には、企業のファンダメンタルズが企業の株価を決定し、株価の上昇率は EPS (1株あたり利益)の成長率に収れんする」。これが、コムジェストの投資哲学です。

 江上さんによると「持続的に2けた以上の高い利益成長が実現できると見込まれる企業に長期投資をすることで、コムジェストは長期的に市場平均を上回るリターンを上げてきました。この実績は、ESG調査・分析を体系的に組み込むことで、企業評価の精度を高められたからだと考えています。

ESGを組み込むことで長期的にリターンが高い銘柄を選ぶことができると話す江上さん

 そのような企業に長期投資をするという目標を実現するには、過去、または、現在を表す財務情報だけを分析するのではなく、未財務情報であるESG要因を丹念に調査・分析する必要があります。環境への配慮はもとより、どのような人事制度を持ち、離職率は適正な水準か、どのような経営陣で、事業を運営する体制は持続可能なものか、どのような企業文化を築いているのか、といったことを分析しなければ持続的な成長への確信度が得られません。
 未財務情報であるESG要因は、企業の成長が短期的なものではなく、持続可能なものかを判断するのに必要不可欠な情報なのです。
 株価は“長期的には”企業の利益成長に収れんします。ESG要因が短期的にどのように財務に影響を及ぼすかを予想することは難しいものの、長期的には大きな影響を及ぼすものだと考えています。」

 また、コムジェストの運用担当者は、創業者から投資判断の際に自身に問うべき3つの質問を大切にしています。それは、(1)その企業のビジネスモデルが本当に強固であり、ユニークか(2)その企業の経営陣と一緒に仕事がしたいと思えるか(3)その株価水準は適正か。この問いに1つでも「Yes」と答えられない物がある場合は投資すべきではないとのことです。

 具体的な基準は、図表2をご覧ください。一般的な財務分析から導き出されるものもあれば、まさにESGに関連する項目が多いことが分かります。

図表2