各地域のGDPシェアの変化に応じて投資比率を調整

「世界の地域別GDPシェアをもとに資産を配分するバランスファンド」とはどのようなものなのか。営業企画部長兼金融リテラシー推進室長の松尾聡さんはこう説明する。

「このファンドは株式と債券に投資するものですが、どちらも日本、先進国、新興国の3つの地域に振り分けています。分かりやすく言えば日本株式、先進国株式、新興国株式、日本債券、先進国債券、新興国債券の6資産に分散投資するということです。で、肝心なのはその投資比率で、世界経済に占める各地域のGDPシェアの変化に応じて、地域別構成比の見直しを行います。つまり、日本のGDPシェアが増えたら日本株と日本債券、新興国のGDPシェアが増えたら新興国株と新興国債券の比率が高まる仕組みになっているわけです」

 この商品が「世界経済インデックスファンド」と名付けられたのも、その商品特性に由来する。

「世界経済は一時的に落ち込むことはあっても、中長期的に見れば成長を続けてきたし、今後も成長し続けると考えられています。資産運用とは世界経済の成長の果実を手にするものと言え、このファンドはこれをストレートに享受しようというものです。日本株ファンドや海外債券ファンドなどいろいろ購入しなくても、これ1本で世界の経済発展の恩恵を受けられるわけです。しかも、日本、先進国、新興国それぞれの成長度合いに応じて投資比率が調整されますから、世界経済の実情に即したリターンが得られます」

 経済成長の伸びしろが大きい新興国に投資して大きなリターンを狙いたいが、新興国特有の政治リスクなどを考えると踏ん切りがつかない──。こういう人にもぴったりのファンドだと松尾さんはいう。

「政治情勢が不安定になったりして新興国のGDP比率が下がったら、当然、新興国へと投資比率が下がります。ですから、ある程度リスクを回避しながら高いリターンを狙えるというよさがあります」

 こうした既存のバランスファンドにはない特徴があったため、そのよさを伝えられれば多くの人に受け入れられるという自信があった。が、前述したようにリリース直後の顧客の反応はあまりかんばしいものではなかった。

営業企画部長兼金融リテラシー推進室長の松尾聡さん