決算内容と株価の動きが一致しない場合に注意すべき点

 ここで注意すべき点があります。株価というものは、すでに終わった過去にはあまり反応をしない、という点です。あくまでも株価は将来を織り込んで動きます。

 例えば「当期の決算は極めて好調、第3四半期決算も問題なし、しかし株価は決算発表後も上方に反応せず、逆に値下がりしている」という場合。まさに決算内容と株価の動きが一致しない典型例です。

 こうした現象が起こる理由はいくつか考えられますが、第3四半期決算が出そろった今の時期であれば、やはり当期の業績ではなく来期の業績の方にプロ投資家の関心が集まっていることが大きな理由として考えられます。おそらく、当期の業績は確かに好調だが来期以降の業績に懸念をもたれているのだと思います。

 

筆者の具体的な対応方法とは?

 第3四半期決算が出そろった今のような状況で、筆者であれば、次のように対応します。

 まず各企業の第3四半期決算や、通期の業績予想を確認して、業績が伸びている(増収増益を続けている)かどうかを確認します。それを踏まえ、増収増益が続いていて、かつ上昇トレンドになっていれば、投資対象とします。

 逆に、増収増益の予想であっても、株価が下降トレンドの場合は投資対象から外します。なぜなら、そうした銘柄は当期こそ増収増益だが来期以降は伸び悩む、とプロ投資家が考え、買いの手が入ってこない可能性が高いからです。

 なお、当期の業績予想がそれほど良くないにもかかわらず株価が上昇を続けているケースもあります。これは、確かに来期以降の好業績をプロ投資家が察知して先回りの買いを入れている可能性もあります。

 ただ、そうではなく、日本株を取り巻く相場全体の環境が良好なため、当期や来期の業績予想にかかわらず買われているケースもあります。

 どうしても、増収増益が続いている銘柄よりは株価上昇に対する信頼度が低くなってしまうので、このような銘柄についてはあまり積極的には手掛けないようにしています。

 いくら第3四半期決算や通期の決算予想が素晴らしいものであっても、株価が上昇していないならば要注意です。くれぐれもそうした銘柄に投資し、「業績は絶好調なのになあ」と首をかしげながら値下がりしても持ち続け、塩漬け株を作ってしまわないように気を付けてください。