すかいらーくHDの魅力とリスク
まず、魅力について説明します。すかいらーくは、株主にとても魅力的な利益還元を行っています。2018年について言えば、100株保有する株主に、配当金を年間3,800円払い、株主優待「食事カード」を年間6,000円贈呈する予定です。
すかいらーくの予想配当利回りは2.1%です。11月28日の終値(1,850円)で100株投資するには、18万5,000円必要です(売買コストを除く)。18万5,000円投資して、1年間で配当金3,800円(税引前)がもらえる予定なので、配当利回りは2.1%となります(年間配当金3,800円を、投資額18万5,000円で割って計算)。
ただし、株主が受け取れるのは、配当金だけではありません。100株の株主は、3,800円の配当金に加え、優待カード6,000円相当も得られます。配当金と優待カードの価値を合わせると、かなり魅力的なリターンが得られることがわかります。
すかいらーくが株主に贈る優待券の金額は、保有する株数によって異なります。具体的には、以下の通りとなっています。
すかいらーくが株主に贈呈する株主優待食事カード(2018年11月28日時点)
保有 株式数 |
年間 合計 |
6月末 基準 |
12月末 基準 |
---|---|---|---|
100~299株 | 6,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
300~499株 | 20,000円 | 9,000円 | 11,000円 |
500~999株 | 33,000円 | 15,000円 | 18,000円 |
1000株~ | 69,000円 | 33,000円 | 36,000円 |
出所:同社ホームページ |
すかいらーくの優待食事カードは、カフェレストラン「ガスト」、中華レストラン「バーミヤン」のほか、「ジョナサン」「夢庵」「藍屋」「ステーキガスト」「グラッチェガーデンズ」「魚屋路」「とんから亭」など、幅広い店舗で利用できます。「500円単位」で、食事代金から割引されます。優待カードからお釣りは出ませんが、500円単位で使えるので、使いやすいといえます。
1,000株保有していれば、2018年は1年間で6万9,000円もの優待カードが贈呈されます。
次に、気をつけなければならないリスクについて書きます。株主優待内容は、突然変更されることもあります。優待魅力で買っている投資家が多い銘柄なので、贈呈される食事カードの金額が減らされると、株価が下がるリスクもあります。
また、業績動向も見ている必要があります。同社は、2016年12月期に営業最高益312億円を計上した後、2期連続減益で、今期(2018年12月期)の営業利益は、240億円まで減る見込みです。
人件費の上昇や、店舗運営の合理化・省力化のためのシステム投資のコストが、減益要因です。今期は、天候不順による一時的なコストも発生しています。また、同社は、優待内容を2017年12月期から3倍に増加させていますが、「優待コストの増加」も減益要因となっています。
ただし、売上は堅調です。魅力ある業態やメニュー作りに成功しているため、前期も今期も増収が続いています。私は、来期(2019年12月)以降、消費税の引き上げはあっても、業績は回復に向かうと予想しています。
すかいらーくについて重要なリスクと考えているのは、株主優待の大判振る舞いがいつまで続けられるか、現時点ではっきりしないことです。
すかいらーくは、2017年2月9日に突然、株主優待を2017年から3倍に増やすと発表しました。100株保有する株主に、2016年までは年間2,000円の食事券を贈っていたのですが、それを、2017年から年間6,000円に変更したのです。
優待券の大判振る舞いを好感して、個人投資家の買いで株価は上昇しました。ところが、株価上昇後の3月、6月、11月と3回に分けて、筆頭株主のベインキャピタル【注】がすかいらーく株の売り出しを発表したのです。ベインは当時発行済み株式数の44%を保有していましたが、3回の売り出しですべて売り切りました。
【注】ベインキャピタルとすかいら-くの関係
すかいらーくは2011年にベインキャピタルの傘下に入り、経営再建し、2014年に東証一部に再上場しました。ベインは、上場直後に発行済み株式の70%を保有していましたが、2015年6月と2017年3月に売却し、保有比率を44%まで低下させていました。
こうした経緯から、「大株主ベインにすかいらーく株を高値で売り抜けさせるため、優待の大判ぶるまいを発表したのではないか」と疑う声もあります。
すかいらーくが、どういう意図で株主優待を3倍にしたか、確かなところはわかりません。株主に報いるとともに、株主にすかいらーく店舗のファンになってもらうことを、目的に現在の株主優待が長期的に維持されることを期待したいと思います。ただし、株主優待の内容は、いつでも変更される可能性があることは、頭に入れておく必要があります。
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