はじめに

 今回のアンケート調査は8月27日(月)~8月29日(水)の期間で相場の見通しと株主優待についてお聞きしました。

 2018年8月末の日経平均株価は2万2,865円で取引を終えました。前月末終値(2万2,553円)と比べると312円高、月足ベースでは2カ月連続で上昇となりました。

 あらためて8月の相場を振り返ってみると、日経平均の値動きは2万2,500円水準を下値にしたもみ合いで始まり、中旬にかけては2万2,000円台割れまで下げ足を広げた後、月末に向けて上昇に転じる展開となりました。とりわけ、終盤では8連騰を演じたほか、節目の2万3,000円台に乗せる場面もあり、比較的良いムードで終わった印象と言えます。とはいえ、月間の値幅(高値と安値の差)は1,181円ほどで、5月以降、2万2,000円台から2万3,000円台のレンジ内で方向感が定まらない展開が続いています。

 好調な米経済を背景にした米株高と、貿易摩擦と景気減速が警戒される中国市場の動向に左右されやすい状況が8月も続きました。さらに中旬にはトルコリラ急落による高債務の新興国への不安が高まり、下落局面のきっかけとなりました。そのため、積極的な上値追いはなりにくい一方で、相場が崩れない堅調さも見せています。

 そのような中で行われた今回のアンケートですが、3,300名を超える方からの回答をいただきました。日経平均が2万3,000円台をつけたのがアンケート実施期間中だったこともあり、日経平均および為替の見通しDIがともに前回調査より大きく改善し、「株高・円安」の結果となりました。

 

今月の質問「株主優待」

楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト 窪田 真之

 優待を積極的に活用し、いい銘柄をお持ちの方が多いと思いました。「保有している優待銘柄で一番気に入っているもの」をみなさんにあげていただき、集計しています。ぜひ、参考にしてください。

[今月の質問1] 優待が欲しくて株を買ったことはありますか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 株主優待制度とは、上場企業が株主に感謝して、贈り物をする制度です。70.84%ととても多くの方が、優待投資を行っていることが分かりました。個人投資家にとって、とても良い制度なので、積極活用したら良いと思います。

 優待制度は、小口で投資する個人投資家を優遇し、大口のプロ投資家を差別する内容となっています。そのため、機関投資家には、株主優待制度に反対しているところが多数あります。買い物をするとき、たくさん買うほど、割引などのメリットを受けやすくなるのが、普通です。そこから連想すると、株主優待制度も、たくさん株を保有している大株主に手厚いと勘違いしてしまいます。しかし、驚くべきことに、優待制度は大株主を差別し、小口の個人投資家を優遇する内容です。個人株主数を増やしたい上場企業が、優待制度を積極活用して、個人株主にアピールしているわけです。

詳しい説明は、以下をご参照ください。
9月5日:株主優待はプロ投資家に迷惑!?個人が特権を使い倒す5つのポイント

[今月の質問2] 優待銘柄を選ぶ時、何をもとに選びますか?(複数回答可)

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

「優待内容」で選ぶ方が50.19%と、一番多いことがわかりました。「企業業績」も見る方は16.90%でした。株式投資ですので、企業業績も見ていただいた方が良いと思います。

 ただし、勘違いしないでいただきたいことがあります。「減益の銘柄を避け、増益の銘柄を買いましょう」と言っているわけでは決してありません。企業の利益は増えたり、減ったりします。増益のときは株価が高く、減益のときは株価が安くなります。減益のときに買えば、安く買えるという面もあります。業績を見るとき、注意することは、「構造不況の銘柄を買わない」ということだけです。構造不況になると、優待を廃止することがあります。優待を廃止する銘柄は、売った方が良いと思います。

「本・ネット等のおすすめ情報」を参考にする方が10.09%いらっしゃいます。それも有力な情報源ですが、それだけだと、必ずしもピッタリ自分に合った銘柄を選べていないかもしれません。楽天証券「株主優待検索」を使って選ぶ方が11.06%いらっしゃいます。使ったことのない方は、ぜひ、一度、使ってみてください。ご自分にピッタリの銘柄を見つけられるかもしれません。以下から、入ることができます。

 →株主優待検索

使い方について:10万円以下で買える!優待株のスクリーニング方法を解説

「長期保有の優遇」で選ぶ方が、10.04%いらっしゃいます。とても良い選び方だと思います。「長期保有の優遇」とは、株主になってからの年数が長くなるほど優待内容が増える仕組みのことです。これを採り入れている企業には、個人株主を増やすことにより真剣に取り組んでいる企業が多いと言えます。どういう企業があるか、楽天証券の「株主優待検索」で、調べてください。