5カ国の自動車触媒向け貴金属消費の推定減少量は2016年比で合計およそマイナス45トン。欧州の自動車触媒需要を8%程度減少

 欧州5カ国でEVシフトが進んだ場合に想定される、5カ国の自動車触媒向け貴金属消費の推定減少量は2016年比で合計およそマイナス45トン。欧州の自動車触媒需要を8%程度減少させると見られる。

 現在、欧州では法整備が進んでいる国、意向が示された国など、温度感はさまざまですが、ガソリン車、ディーゼル車の新規販売を禁止し、その代替としてEVを促進することを謳う国が次々に現れています。

 本レポートでは、ノルウェーとオランダ(2025年までに新規販売停止)、ドイツ(2030年まで)、フランスと英国(2040年まで)の合計5カ国について、どれだけの自動車触媒向けの貴金属の消費が減少するのかを、条件を付けた限定的なものですが、シミュレーションしたいと思います。

図:各地域における自動車生産台数、自動車触媒向け貴金属消費量、1台あたりに用いられた触媒用貴金属の量(筆者推計)(2016年)

出所:OICAのデータおよびトムソン・ロイター GFMS「Platinum Group Metals Survey 2017」より筆者作成

 

※自動車生産台数は、乗用車、小型商用車、トラック、バスなどの合計。欧州や日本の小型車や米国のピックアップトラックなどを含む広義の意味での自動車の生産台数。

 上記の条件において、欧州での自動車生産においては、自動車触媒向けとして1台あたりおよそ5.9グラムの貴金属が使われていると推測されます。他の地域と比べて量が多いのは(逆に中国や“その他”の地域が少ないのも)、自らに課した環境基準に対応するためであると考えられます。