8月24日
保険当局が高利回り商品などの規制強化を検討、大手への影響はひとまず限定的か

中国保険監督管理委員会(CIRC)は現在、保障部分の薄い短期生保商品や保証利率の高い商品について規制強化を検討し、保険各社の意見を聴取している。BOCIは規制強化が主に、未公開の中堅保険会社に悪影響を及ぼすとの見方。大手生保各社にとっては準備金コストの低減につながるとみている。ただ、一部の生保大手に見られる資産・負債のデュレーション(資産運用における投資期間と保険金支払いまでの期間)のミスマッチに触れ、引き続きこの点を最大の懸念材料として指摘した。個別では新華人寿保険(01336)、中国太平洋保険(02601)、中国平安保険(02318)を選好している。

CIRCが規制強化を検討しているのは、業界全体で逆ざやリスクや責任準備金コストの増大圧力が高まっているため。生保各社に対し、ユニバーサル商品の16年上期の売り上げについて詳細な報告書を提出するよう指示すると同時に、23日の会議においては 規制強化に関する大手各社の意見を求めた。

保障部分が薄い一方で利回りが高い短期ユニバーサル生保商品の販売が増加する中、CIRCの規制草案は、◇死亡保障/個人医療保障のカバー率に新たな下限規定(支払保険料や終身勘定価額などに対して200%を下回らないなど)を設ける、◇期間5年以上の個人向け商品の契約後3年以内の解約料をゼロにしてはならない――などと定める内容。また、高保証利率の従来型商品に関しては、CIRCの事前承認を義務付ける保証利率の下限規定を「3.5%超」から「3%超」に引き下げ、従来型年金商品の保証利率に関しても下限規定を「4.025%超」から「3.45%超」に変更する内容となっている。

こうした規制強化は高利回りの短期ユニバーサル保険の売れ行き後退につながり、中でも非上場の中堅保険会社にとって打撃となる見込み。CIRCの統計によると、ユニバーサル生保商品のポリシーフィー(保険証券発行手数料)は過去2年間にほぼ3倍となったが、主に中堅企業による短期の高利回り商品の販売増がその背景にあるという。

一方、規制強化に伴う従来型商品の保証利率引き上げは、大手生保各社にとって17年の準備金コストの低減につながるとみられるが、BOCIはこうした規制がある意味、保証利率改革の失敗を意味するとの認識。大手にしてもリスク管理などの面で保証利率の調整に向けた体制が整っておらず、当局の再度の介入を招く可能性を指摘している。

BOCIは香港上場の大手保険銘柄にとって規制強化の影響は相対的に小さいと指摘した上で、◇長期保障商品へのシフトを進める上でタイミングの良い新華人寿保険、◇保険料率設定と資産・負債管理の点で健全性の高い中国太平洋保険、◇事業の多様性が高く、かつ生保製品ミックスのバランスが取れている中国平安保険――を選好。保険セクター全体のこの先の変動要因としては、本土A株市場の再評価の可能性、国内の金利上昇の可能性を挙げている。