夜明け直前か、景気刺激策の効果は2025年下期に鮮明に

 中国政府が2024年9月下旬以降、景気刺激策の強化に踏み切る中、BOCIは現在と類似していた2014-15年の経験を参考に、政策転換から1年後には消費の回復が鮮明となる可能性を指摘している。2024年7-9月期、2024年通期の段階では、消費(裁量的消費)セクターの業績は低迷すると予想。翌2025年になって、資産効果と消費者信頼感の回復を背景に、実際に消費が押し上げられるかが焦点になるとした。個別では、消費心理の変化に敏感な銘柄に対して強気の見方を示し、スポーツウエアの安踏体育用品(02020)、ダウンウエアの波司登国際(03998)、家電の海爾智家(06690)、旅行予約のトリップ・ドットコム(09961)を選好している。

 中国政府は9月下旬以降、大型の追加刺激策を発表。マクロ経済と消費の拡大を目指す姿勢をより明確にした。国債発行を通じた不動産市場への資金注入規模などの詳細は、この先年内に発表される可能性が高いという。

 BOCIは2014-15年当時との類似点(経済成長減速と不動産不況)を指摘しながらも、今回のサイクルのほうが状況は厳しいとの見解。不動産価格は消費心理に決定的な影響を及ぼす要因だが、不動産価格の潮目が変わっても、消費指標が動くまでには最大12カ月かかる可能性があるとした。

 9月下旬以降の景気刺激策を受けたファンダメンタルズの明確な改善時期について、BOCIは2025年7-9月期以降を予想している。それまでの間は厳しい競争環境の下、消費関連の企業は引き続き、成長鈍化と利益率低下に直面するとみる。また、消費セクターでは二極化がさらに進む可能性を指摘。消費のアップグレード(資産効果)とダウングレード(コスパ志向)という二つのテーマが同時並行的に残る見通しを示した。前者は長期的なテーマとなり、後者は経済指標に敏感に反応する形で現れるとしている。

 マーケットは現在、政策効果が期待される2025年の業績に目を向けている。景気刺激策発表以降の株価の急伸を見る限り、2025年に関する楽観見通しが株価にある程度織り込まれた可能性があるとしながらも、BOCIは持続的に高評価を得るにはファンダメンタルズが重要だと指摘。以下の大手優良銘柄が選択肢になるとした。◇海爾智家に代表される消費刺激策への敏感株、◇波司登国際やトリップ・ドットコムのような資産効果と衝動型消費の恩恵銘柄、◇安踏体育用品のように強固な実行力と多様性の高い製品ラインを持ち、細分化された消費者需要に対応できる銘柄。

 一方、消費銘柄のレーティング面の潜在リスク要因としては、景気刺激策の強度が予想を下回り、消費低迷が長期化する可能性や、景気回復局面で市場競争がさらに激化する可能性、人民元為替レートの変動が消費動向や収益に影響する可能性、景気刺激策の効果が現れるまでに時間がかる可能性を挙げている。