7月6日
需要回復や余剰設備淘汰で供給ひっ迫感、動力炭相場の一段の回復を予想

中国神華能源(01088)、中国中煤能源(01898)を含む中国の石炭大手各社は、7月に動力炭契約価格を1トン当たり15元の幅で引き上げると発表した。これはBOCIの予想通りの水準。また、中国最大の石炭積み出し港・秦皇島での動力炭スポット価格は7月1日以来、同5元上昇した。発電施設が6月後半に石炭在庫を積み増した関係で、スポット価格は短期的に緩やかな回復にとどまる見通しだが、BOCIは8月の再度の契約価格値上げに先立ち、発電所が改めて在庫補充に動くと予想。7月半ばから、スポット価格の上昇ペースが加速するとみている。

主要石炭生産者が7月、5500キロカロリー種(海上輸送)の長期契約価格を1トン当たり15元値上げした後、秦皇島では陝西省産出の高品位炭価格が同5元上昇した。一方、広東省ではオーストラリア産、インドネシア産の輸入動力炭スポット価格が7月4日時点で同15元上昇。輸入炭価格は引き続き、陝西産をわずか5元程度下回る水準。

秦皇島の石炭在庫は7月5日時点で340万トンと、6月1日時点の440万トンから23%減少し、20週ぶりの低水準を記録した。インバウンドの輸送量の減少が背景。主要発電所の動力炭在庫は6月30日に18日分で、うち発電大手6グループの在庫は7月1日時点で21日分と、基本的に正常範囲にある。

川下の発電業界が7月の値上げを睨んで動力炭在庫を積み増したため、沿海地域の石炭海上輸送指数は6月に15%上昇した。全般的に見て、発電所の在庫レベルはすでに安定水準にあり、BOCIは再度の在庫積み増しを急ぐ必要はないとの見解。スポット価格の上昇率は向こう1-2週間、緩やかなペースになるとみている。

コークス用炭価格は5月末以降、横ばいで推移している。鋼材価格は6月から下向いているが、溶鉱炉の稼働率は引き続き80%の水準にあり、コークス用炭在庫は7月1日までに12日分を下回った。BOCIは力強い需要と供給ひっ迫感がコークス用炭価格を下支えするとし、短期的には安定推移が続くとみている。

中国政府が主要政策方針に据える「供給側(サプライサイド)改革」に絡み、国家発展改革委員会の徐紹史主任はこのほど、政府が石炭年産量2億8000万トン分の削減や業界就業者70万人の解雇(再就職)を目標に据える見通しを示した。徐主任が言及した年産量の削減幅はBOCI予想の7700万トンを大きく上回る数字。BOCIは現行予想を据え置きつつも、徐主任の発言を前向きに受け止めている。

石炭銘柄の株価は最近好調だったが、BOCIは向こう1-2週にわたり、アウトパフォームは期待しにくいとの見方だ。ただ、その後は動力炭スポット相場の再度の騰勢が関連銘柄の支援材料になるとみて、セクター全体に対する強気見通しを継続した。個別ではエン州煤業(01171/600188)をトップピック銘柄としている。