6月1日
風力・太陽光発電に強力な政策支援、16年下期に稼働状況改善へ

BOCIは新たな普及促進策が再生エネルギー・セクターの大きな支援材料になると予測し、同時に業界全体の2016年下期のファンダメンタルズについても楽観見通しを示している。政府当局がこのほど、全額買い取り保証の対象にすると発表した風力発電、太陽光発電の設備稼働時間数はそれぞれ1800-2000時間、1300-1500時間と、ほぼ市場の予想通りの水準。これまでの政策は単なる“指針”として再生可能エネルギーの買い取り比率を設定していたが、新たな政策はより厳格で、仮に稼働時間数が保証レベルを下回り、その結果として発電会社側に損失が生じた場合、各地方の送電事業者はこの分の補償金を支払わなければならない。さらに内閣に当たる国務院が監督・監視に当たるとの規定も盛り込まれており、「電力改革」の一貫と受け止められている。

新たな支援政策は政府補助金の支払いが滞っている太陽光発電セクターより、風力発電セクターにプラスとなる可能性が高い。BOCIは新たな政策がどの程度厳格に執行されるかやや疑問視しつつも、16年下期から風力の稼働時間数が上向くとの見方だ。16-18年に予定されるUHV(超高圧)送電網8本の相次ぐ稼働が寄与するとみている。個別では、甘粛省、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区の設備比重が大きい龍源電力(00916)にとって恩恵が大きく、新たな政策が100%執行された場合の利益上乗せ効果は28%に上るという。

中国の国家発展改革委員会(NDRC)と国家エネルギー局(NEA)は送電網への接続不備に起因する再生可能エネルギーの供給制限問題を重く受け止めており、一連の政策からは問題解消に向けた強い意欲がうかがえる。NEAは5月31日、風力発電・太陽光発電に関して「一定範囲での全額買い取り」方針を通達したが、この政策は長期にわたって続く発電制限問題を解決し、再生可能エネルギーの持続可能な成長を確保するための手段。その内容は主に以下の通りとなっている。

NEAは風力および太陽光の発電制限問題を抱える各省・市・自治区を対象に、個別に年間設備稼働時間の最低基準を設定。風力発電コストの変動や送電網運営状況によってこの最低基準を調整する。当該地方の政府当局は再生エネルギーの買い取りを優先させなければならず、特に最低基準範囲の買い取りは最優先事項となる。また、地方政府はこの政策に基づき、地元の発電計画を見直す。

送電会社は設備稼働時間の最低基準の範囲内において、基準価格に基づいて(値引き不可)卸電力料金を支払う義務がある。また、仮に設備稼働時間が最低保証基準に届かず、電力損失が発生した場合、送電会社は発電会社に対して現金で補償金を支払わなければならない。一方、再生エネルギー発電事業者に対しては、最低基準を超える部分について、地元の大口ユーザーとの直接売買契約を推奨する――。