5月10日
競争劇化と飽和感で低成長見通し、製品アップグレードが成長のカギに
中国のティッシュペーパーおよび衛生用品市場について、BOCIは今後も厳しい競争環境が続くとみている。製品普及状況がすでに飽和レベルにあることや需要の減速が理由だ。消費者の高品質志向を背景に、マーケティング戦略や製品アップグレードが今後の販売増を支えるとみられるものの、低価格セグメントでは統廃合が進む見込み。また、原材料価格の下落が一部相殺するとは言え、マーケティング費の増大が今後の利幅縮小圧力につながると予測し、セクター全体に対して中立見通しを示した。個別では維達国際(03331)を有望視。高級イメージや尿漏れ製品の戦略的ポジション、販路の多様性などを同社の強みとし、株価の先行きに対して強気見通しを付与している。
BOCIはターゲット人口の減少や市場競争の劇化を理由に、2015-20年のティッシュ・衛生用品市場について緩やかな成長ペースを予想。ただ、ティッシュペーパー、生理用ナプキン、おむつといった主要カテゴリーの中では、尿漏れケア市場が最も急速な伸びを示すとした。15-20年に年平均17.9%のペースで拡大し、20年には140億元規模に達すると試算。高齢化や所得向上に伴う同製品の浸透が背景。Tena、Dr.Pといった有力ブランドを展開している維達国際が特に、市場拡大による恩恵を受けるとみている。
国内業界では今後、製品アップグレードが売り上げの伸びを支える見込み。市場競争は厳しいが、BOCIは平均販売価格の引き上げ余地は依然残ると指摘。主力品目の混合平均価格が横ばいか小幅に上向くと予測した。今後は研究開発力がブランド各社の収益成長を左右するとの見方。恒安国際集団が成熟度の高い顧客を対象に、16年下期にも高価格帯商品を投入する計画を明らかにしている。BOCIは維達国際について、高級ブランドTempoの浸透率がまだ低水準にあるとし、この先の成長余力を見込んでいる。
原材料価格が14年以降下落したことで、15年には利益率が記録的な高水準に達した。BOCIは16年上期もその恩恵が続くとしながらも、下期には原油関連コストが上向くと予想。再び利幅縮小圧力が高まる可能性を指摘している。また、新製品およびブランドの宣伝に向け、各社ともマーケティング費が膨らむとみている。
一方、ティッシュペーパー業界の潜在的なリスク要因は急速な設備増強やパルプ価格の上昇、元安など。分析では元相場が1%下落するごとに、恒安国際集団、維達国際の16年利益は各1.9%、3.0%目減りする。製品の平均販売価格が1%下落するごとに利益は1.8%、8.9%縮小。パルプ調達価格が1%上向くごとに0.7%、4.9%縮小する見通し。 BOCIは維達国際の株価の先行きに強気見通しを示し、スベンスカ・セルローサ(SCA)の中国事業買収によるシナジー効果がこの先顕在化すると予想している。一方、恒安国際集団の株価の先行きに対しては中立見通しを付与。競合他社の生産力増強により、同社にマイナスの影響が及ぶ可能性などを指摘している。