4月18日
中国東部の価格上昇で業績回復期待、今後は価格上昇ペースが減速へ

中国東部でのセメント価格の上昇を受け、セメント銘柄の2016年4-6月期の業績回復が期待される状況となった。ただ、北部および北西部では一部生産停止の延長が単位当たり生産コストの増大につながる要因となる。最新指標を見ると、中国のセメント平均価格は4月11-17日週に1トン当たり247.75元。前年同期比で12.75%下落したものの、前週比では0.98%高となり、これで6週連続で上向きに推移した。地域別に見ると、内モンゴル自治区と四川省で1トン当たり平均販売価格が10元ほど下落する一方、中国東部、北西部、南部、南西部ではそれぞれ10-30元の幅で上昇した。短期的には東部のセメント生産者が値上げを計画しているが、BOCIは今後、価格上昇ペースが減速すると予想。その理由として、◇北部での価格低迷。北部と東部の価格差が1トン当たり60-80元に達する中、東部でこれ以上値上げすれば、北部産の低価格セメントの流入を招く、◇増産を受けて供給逼迫感が後退している――などの点を指摘している。

北部と北西部のセメント価格は11-17日週に小幅に上昇したが、BOCIによれば、これは主に、両地域での生産コストの増大が背景。設備稼働率の低迷や生産停止の長期化が価格を押し上げたとみられるため、小幅値上げによるメーカーの採算性の改善はさほど期待できないという。北部、北西部の単位当たり生産コストについて、BOCIは3月末まで続いた一部生産停止期間中に、それぞれ1.4%、0.2-2.3%増大したとみている。

中国のセメント需給や価格動向は地域ごとに異なり、生産量に対する出荷量の割合を見ても格差が大きい。北東部の黒竜江省や吉林省ではこの割合が30-40%、遼寧省では10-20%にとどまるが、東部の浙江省では90%、安徽省では80-90%の水準。南部・中部では広西チワン族自治区で80-90%、湖北省で70-80%などとなっている。

BOCIは個別では、安徽コンチセメント(00914)をトップピックに選定。生産ラインの大半が東部に位置するため、価格上昇の恩恵を最も受けやすい。価格上昇ペースはこの先減速するとみられるが、同社の現在株価はこれまでの値上がりによるプラス効果を十分に反映していないという。BOCIは現行の価格水準を踏まえ、同社の東部での1トン当たり粗利益が100元を超えると予想。15年の同50元を大きく上回るとみている。

BOCIはほかに、華潤セメント(01313)の株価の先行きに対しても強気見通しを示している。主力市場の広東省、広西チワン族自治区で、閑散期(雨季)の4月に製品価格が上昇したためで、業界統廃合の進行に伴う供給過剰感の後退から、南部市場を楽観視している。一方、西部セメント(02233)の株価の先行きに対しては中立的な見方。同社の本拠地、陝西省はセメント市場が寡占状態にあり、16年には同省のセメント価格が最も力強く推移するとみられるが、BOCIはこうした好材料はすでに株価に反映されたとの見方。一段の高値を目指すには新たな支援材料が必要になるとしている。