3月21日 
政府当局が映画興収水増しに対する罰則発表、最新の興収トップは『ズートピア』

中国のメディア・放送管理当局、国家新聞出版広電総局(State Administration of Press, Publication, Radio, Film and Television:SAPPRFT)はこのほど、カンフーアクション映画『イップ・マン3』(葉問3::師徒情)の興行収入水増し行為に対して罰則を科す決定を下した。この件においては、配給会社Beijing Max Screen(方大銀幕北京発行公司)が自社でチケット5600万元(約860万米ドル)分を買い上げていたうえに、実際より7600回多く上映されたと偽り、3200万元(約500万米ドル)分を水増し発表したことを認めていた。

SAPPRFTが決定した罰則は、◇Beijing Max Screenに対する1カ月間の配給業務の停止、◇虚偽の上映回数報告に関わった73の映画館に対する厳重警告、◇73映画館が所属する20の系列チェーンに対する批判、◇虚偽の上映回のチケットを扱ったオンライン販売代理店3社に対する厳重警告――。

BOCIはSAPPRFTによる今回の罰則裁定について、「映画配給チェーンに対する政府当局からの警告を意味する」と受け止めている。中国経済が変化し、消費の重要性が増す中、バリューチェーンを萎縮させることなく、映画産業の育成を目指すという政府の意思を伝える手段を取ったとの見方だ。中国本土では実際、映画興行収入の水増し報告が深刻化しており、業界全体の公正な競争と長期発展を阻害しているとの認識があるという。BOCIは『イップ・マン3』の一件に対する当局の決定が短期的に、興収水増し行為の抑制につながると予想。結果的に業界全体の健全な長期発展を促すとみている。

一方、中国国内の映画興収ランキングを見ると、3月18(金)-20日(日)もウォルト・ディズニーの『ズートピア』が首位となり、これで2週末連続のトップとなった。レビューの高評価に加え、1スクリーン当たりの鑑賞者数が最高レベルに達したことなどが背景。『ズートピア』のこれまでの興収は総額11億元と、2016年に入ってから作品別で3番目の水準。また、『カンフーパンダ3』を抜き、アニメ映画としては過去最高額を記録している。

また、18-20日の興収2位は、アカデミー賞3部門受賞作で、レオナルド・デカプリオ主演の『レヴェナント:蘇えりし者』。18日に公開され、その直後の週末に2位にランクイン。『ズートピア』と『レヴェナント:蘇えりし者』の合計で、この週末の興収全体の83%を占めた。