3月16日
動力炭価格が回復傾向持続へ、「供給側改革」が本格化

中国最大の石炭積み出し港、秦皇島における高品位動力炭価格は2月1日-3月14日に12元(約3%)の幅で上昇し、1トン当たり382元に達した。供給量の縮小と在庫の減少が背景。BOCIは短期的に国内動力炭価格の回復局面が続くと予想。一方、3月前半に見られた鋼材価格および鉄鉱石価格の上昇は今後の製鋼所の稼働率上昇を後押しし、結果的にコークス炭価格の安定化につながるとみている。

中国の原炭生産量は2016年1-2月に前年同期比6.4%減の5億1300万トンにとどまった。旧正月休暇中に石炭生産活動が一時停止したため。「両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)開催中に多くの小規模炭鉱が閉鎖されたことで、3月の生産量も低水準で推移する見通しとなった。石炭相場の下落を受け、小規模生産者の多くは生産再開を見送っているという。

秦皇島の石炭在庫は3月14日までの2カ月間に18%増加。それでもここ10年の最低値に迫る水準にとどまっている。一方、主要発電所の石炭在庫は1月20日時点の20日分から2月20日には25日分に増加。6大電力グループに限ると、直近(3月11日)の在庫量は前週比4.4%増の5400万トン。在庫日数は23日から19日に低下した。

中国では政府主導の「供給側(サプライサイド)改革」が本格化している。人力資源・社会保障部は鉄鋼業界の50万人、石炭業界の130万人を解雇あるいは転職させる計画。これを支援するため、中央政府は新たな「基金」を創設し、向こう2年間で1000億元を支出する方針だ。石炭産地の各地方政府も、生産能力の削減計画の詳細を公表し始めた。

今のところ、重慶市、貴州省、甘粛省、山東省、うちモンゴル自治区、陜西省が石炭生産力の年産計3億3000万トン(66%)規模の削減計画を発表済み。中央政府の削減目標は年産5億トン規模となっている。

個別銘柄に目を向けると、中国中煤能源(01898)の外部販売向けの石炭生産量は16年1-2月に前年同期比6.9%増。自社生産分の販売量は同21.4%の伸びを示した。BOCIは高い伸び率の一因として、前年同期実績の低さを指摘している。

中国神華能源(01088)の外部販売向け石炭生産量は1-2月に前年同期比0.9%増。販売量は同7%減少した。一方、発電量は横ばいとなったが、火力発電の全国平均(4.3%減)を上回るレベル。BOCIは新たな発電施設が発電事業の堅調に寄与したとみている。

BOCIは石炭銘柄のうち、中国神華能源と首鋼福山資源(00639)を選好している。バランスシートの健全性や相対的に安定感のある利益構成が理由という。一方、エン州煤業(01171)のH株株価は2月初めから30%値上がりしたが、BOCIはファンダメンタルズに目立った改善の兆しは見られないと指摘。同社H株株価が短期的に調整する可能性を指摘している。