3月9日
原油市場が最悪期脱却、セクター全体に強気見通し
国際原油価格は2016年1月後半に12年ぶり安値を付けた後、これまでに42%反発。BOCIは原油相場がすでに最悪期を過ぎたとみている。この先時間が経つにつれて需給バランスが改善するとみて、長期投資家に関しては石油銘柄への投資を検討する時期が到来したとの見方。セクター全体に対するレーティングを弱気から強気に引き上げた。
BOCIは原油相場を支える様々な要因が存在すると指摘している。具体的には◇生産コスト動向、◇主要産油国にとって原油価格下支えが不可欠であること、◇シェールオイル企業の財務圧力の高まり、◇石油企業の多額の起債に絡む潜在的なシステミックリスクの存在、◇石油企業による設備投資の大幅削減――などが挙げられるという。
米シェールオイル企業は生産コスト削減の点で成果を挙げており、日産5万バレル以上の大手では、15年第1四半期に1バレル当たり平均45.7米ドルだった費用総額が第4四半期には38.8米ドルに低下。日産5万バレルを下回る中小企業の同コストも、この間に55.3米ドルから39.9米ドルに低下した。ただ、それでも今の原油相場ではシェール企業の多くが赤字。ヘッジ効果の薄れや金融機関の貸し渋りなども逆風となっている。
ICEブレンド原油の実勢価格は15年に1バレル当たり平均53.4米ドルと、BOCI予想の55.0米ドルを小幅に下回った。これまでの原油安を受け、BOCIは16年、17年の予想平均価格をそれぞれ38米ドル(修正前48米ドル)、50米ドル(同52米ドル)に下方修正。長期見通しも70米ドルから65米ドルに引き下げている。
一方、中国では小規模な地方系石油精製所を対象とした輸入原油使用権の付与が大きく進展し、石油製品市場の競争力が長期的に高まる見込み。短中期的には、国内の精製事業者らはガソリンおよび軽油の最低価格および品質基準規定の恩恵を受ける見通し。 中国国内の天然ガス価格は15年11月、非住宅向けに限って引き下げられており、次のステップは住宅向けの価格引き下げ。さらに長距離天然ガスパイプラインの輸送費用に関する価格決定メカニズムの構築が必要となる見通し。
BOCIは原油安を受け、中国の石油大手の利益見通しを基本的に下方修正した。ただ、ペトロチャイナ(00857)の16年、17年利益に関しては、再編に伴う特別利益の計上やコスト削減を見込み、逆に増額修正。同社株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。一方、CNOOC(00883)については「原油相場の回復による恩恵が最も大きい」との見方。ただ、1月後半に原油相場が反転上昇して以来、同社株価が25%値上がりした点を指摘し、中立見通しを継続している。また、川下の精製事業に強みを持つシノペック(00386)に対しては、原油安を受けた精製部門の利益率の上昇と化学部門の採算改善を予想。16年のEPS(減損損失計上前)が前年比39%増加するとみて、株価の先行きに強気見通しを明らかにしている。