1月5日
鉄道設備調達予算を16年に削減か、短期的に打撃も長期見通しを楽観

香港株式市場ではこのところ鉄道銘柄が調整しているが、これは全体相場の下落に加え、中国の鉄道設備調達額が2016年に前年同期比30%減少するとの観測情報が伝わったことが背景。15年11月時点で16年の鉄道投資目標が低めに設定される可能性を指摘していたBOCIは、この情報が現実となる可能性に言及しながらも、鉄道インフラ投資の伸びが長期的に車両(設備)需要の伸びにつながるとの楽観見通しを示した。また、「第13次5カ年計画」(16-20年)の鉄道投資目標が市場予想を上回る可能性を指摘し、鉄道セクターの先行きに対して強気見通しを継続している。

中国の鉄道建設を担う中国鉄路総公司は、1月半ばに開かれる年次会議で16年の投資計画を策定する運び。鉄道投資全体の目標値は引き続き約8000億元(前年並み)の高水準に設定される可能性が高い。ただ、12月30日付『財新』など一部メディアによれば、貨物輸送需要の低迷を受け、うち設備調達予算は前年比30%縮小する可能性があるという。1月半ばの会議終了後に明らかになる16年の投資計画は、短期的に車両銘柄の売り材料となる可能性がある。

ただ、BOCIは仮に短期的に車両調達が低迷しても、長期的にはプラスに転じるとみている。16年の総鉄道投資目標が約8000億元と、事前予想の7500億元を上回る見通しとなったことが楽観見通しの一因。中国当局は景気てこ入れ策の一環として鉄道投資予算の大半を建設に振り向けるとみられるが、新たな鉄道路線が敷設されれば、長期的に車両需要の拡大が期待できる。さらに『財新』は1月4日、次期5カ年計画の総鉄道投資額が3兆5000億-3兆8000億元になるとの情報を伝えた。この数字は市場予想(2兆8000億-3兆3000億元)やBOCIの予想(3兆-3兆3000億元)を上回る水準。

また、仮に設備調達予算が大きく縮小しても、車両銘柄の利益への影響は相対的に小幅にとどまる見込み。アフターサービス業務や海外受注の伸び、さらに気動車・電車(MU)の大量の受注残が利益下支えに寄与するとみられる。

一方、鉄道セクターにとっては、次期5カ年の鉄道投資計画の発表や、21世紀のシルクロード戦略「一帯一路」に絡む鉄道建設プロジェクトの開始などが支援材料となる可能性が高い。

BOCIは最近の調整を受け、鉄道銘柄のバリュエーションが魅力的な水準まで低下したとの見方。短期的には16年の鉄道投資予算の発表が打撃となる可能性はあるが、車両銘柄への悪影響は一時的とみて、長期見通しを楽観している。個別では、車両製造の中国中車(01766)や、システム供給の株洲南車時代電気(03898)、中国鉄路通信信号(03969)、インフラ建設の中国鉄建(01186)、中国機械設備工程(01829)の株価の先行きに対して強気見通しを示し、うち株洲南車時代電気をトップピックとしている。