11月19日
天然ガス価格に引き続き割高感、価格自由化の進行も長期不透明要因に
国家発展改革委員会(NDRC)は18日、非住宅用の天然ガス・ゲート価格(長距離輸送ラインの出口価格、都市ガス事業者にとっては仕入れ価格に当たる)を1立方メートル当たり0.7元値下げすると発表した。この引き下げ幅は市場予想(0.4-1.0元)のほぼ中位数。実施は20日付となり、これまでの価格調整時に比べ、発表から施行までの時間が短くなった。BOCIは今回のゲート価格値下げが、販売量の増加、利幅低下圧力の緩和という両面から、都市ガス事業者の短期的な支援材料になるとの見方。感応度分析の結果、個別では華潤ガス(01193)と新奥能源(02688)に相対的に大きな恩恵が及ぶ見通しを示している。
ただ、BOCIは都市ガス銘柄の長期見通しに関して慎重。今回の値下げが末端価格に全面的に反映されたとしても、工業用ガス料金は1立方メートル当たり平均2.79元となり、引き続き灯油価格を9%程度上回ると指摘している。工業用ガス価格が割高であることに変わりはなく、BOCIは「石油価格が大きく反発しない限り、都市ガス事業者の長期的な販売動向や利益率に関する懸念は払拭しにくい」との見方だ。また、ガス価格の設定基準を段階的に廃止するとのNDRCの方針が響くとみて、都市ガスセクターの長期のファンダメンタルズに対して慎重見通しを示している。さらに、2010年から据え置かれてきた住宅用ゲート価格の引き上げが行われる見通しに触れ、この点が都市ガス銘柄の利幅縮小圧力となる可能性を指摘している。
NDRCは向こう2-3年以内に非住宅用ガス料金の自由化を進める計画に基づき、天然ガス価格改革を加速させる方針。まずは現段階で、より市場原理に沿った価格決定方法を推奨し、川上、川下の需給双方が協議の上、ゲート価格を決めることができるようにする。NRDCが設定した基準値からの値下げに関しては制限を設けず、即日実施する。一方、基準値からの引き上げ幅は最大20%で、1年後の16年11月20日から引き上げを認めるとした。
今回のゲート価格の値下げ幅は市場予想の範囲内。タイミングは当初の市場予想(10月)より遅れたものの、修正後予想(16年第1四半期)に比べ前倒しとなった。
「天然ガス価格を同種石油製品より10%安く設定する」とのNDRCの基準を考慮した場合、今回の値下げは15年7月末の石油製品価格に基づいて実施されたもよう。税関総署によれば、輸入LPG価格および灯油価格はこの時点で1トン当たり438米ドル、361米ドル。10%安との基準を適用すると、天然ガス価格は1立方メートル当たり1.83元となる(実際には1.81元に引き下げ)。BOCIはNDRCによる価格基準の順守と半年ごとの価格調整を前向きに受け止めながらも、NDRCが今回の値下げ発表時にこの価格基準に言及しなかった点に着目。この先の同基準の段階的な廃止を予想している。