10月26日
追加緩和の影響、逆ざやリスク「対処可能」で強気見通し継続

10月24日付の追加利下げと預金準備率(RRR)引き下げを受け、BOCIは資産配分の点から中国生保セクターの圧力が増すとしながらも、逆ざやリスクは今のところ対処可能なレベルにあると指摘。保険セクターに対する強気見通しを継続した。また、大手4社のエージェンシー(外務員)の初年度保険料については、15年1-9月期に前年同期比50%超の伸びを記録したとの見方。個別では新華人寿保険(01336)、中国人寿保険(02628)を保険セクターのトップピック銘柄としている。

中国人民銀行(中央銀行)は23日、0.25%の利下げと、0.5%のRRR引き下げを発表した。この追加緩和のタイミングは市場予想より前倒しとなり、前回8月下旬に行われたダブル引き下げからわずか2カ月後の再実施となった。今回の利下げは15年に入ってから5度目(計1.25%)、RRR引き下げは4度目(計2.5%)となる。

中国が金融緩和に転じてからほぼ1年を経て、保険各社の資産配分圧力は増しているが、BOCIはこの利下げサイクルにおいて、リスクプレミアムの高まりとともにイールドカーブのフラット化が見られると指摘。より多くの企業がオンショア債券市場でのデットファイナンスを考慮するとみられる中、保険各社は現行レベルで安定的な運用収益を得るのは可能とみている。ただ、現行運用レベルの維持は16年に一段の追加緩和がないことが前提。現在、生保銘柄の大半が長期の運用リターンを5.5%と想定している。

一方、16年に一段の追加緩和が行われるとのシナリオの下では、保険各社は運用収益に関する想定値の下方修正を迫られる見込み。まず、50ベーシスポイントの下方修正を行った段階で、保有契約から生ずる将来収益の現在価値(VIF)は10-20%縮小する見込み。ただ、調整済み純価値(ANW)やその他事業部門の価値を加味した公正価格ベースでは、目減り率は2-9%になるという。 BOCIは新契約の力強い伸びを理由に、本土の生保系銘柄に対して強気見通しを継続している。総収入保険料の伸びは7-9月期に減速したが、大手4社に関しては外務員経由の1-9月の初年度保険料伸び率が前年同期比50%を超えたとみている。また、7-9月期の総収入保険料の伸び率減速は、一部の保険会社が高利幅の長期商品に焦点を移したことに起因するという。 BOCIは生保各社の製品ミックスや長期商品の保証利率などを考慮した上で、逆ざや発生リスクには対処可能との見方だ。一方、16年に向け、生保各社が配当付き保険およびユニバーサル保険の販売に照準を合わせると予想。場合によってはリスク回避に向け、長期商品の保証利率引き下げに動く可能性もあるとみている。 保険セクターの15年予想P/EV倍率(株価を1株当たりエンベディッドバリューで割った値)は平均1.0倍。BOCIは投資家にとって魅力的な水準にあると指摘している。