9月1日
政府当局が株式市場支援、上場企業の合併再編/配当/自社株買いを奨励
中国政府の4部門、証券監督管理委員会(CSRC)、財政部(MoF)、国有資産監督管理委員会(SASAC)、銀行業監督管理委員会(CBRC)は8月31日、国内株式市場へのてこ入れとして、「上場企業の合併・再編、現金配当および自社株買いについて」と題した共同通達を発した。資本市場の効率化や活性化に向け、様々な方法を通じて改革“深化”や行政手続きの簡素化、一部権限の移譲を行い、上場企業の合併・再編、現金配当の実施、自社株買いなどを奨励する方針を明らかにしている。
この通達によると、政府当局は資源配置の向上や効率化に向け、企業の合併・再編に当たっての行政手続きの簡素化や、行政認可審査の一部廃止、審査効率の改善を進める。また、市場の価格決定メカニズムの優良化を進め、価格設定上の柔軟性を高める。支払い方式や資金調達方式に関してもイノベーションを進める。国有上場企業に対し、資本市場の活用や資源再配置を通じた構造優良化、効率化を促す。また、未公開の国有企業に対しては上場子会社への資産注入などを通じた持続的な成長力の確保を奨励する。一方、銀行には、M&Aローンや包括融資を通じた企業合併・再編の支援を促す。
現金配当制度のさらなる優良化に向けて配当レベルを引き上げ、配当実施要件に合致する上場企業は配当を行わなければならない。中間配当の実施や配当頻度の引き上げも奨励する。一方、上場企業の現金配当コストを引き下げ、長期投資リターンを引き上げる形で、株式の長期保有を奨励するための税制を完備する。
また、適切なタイミングでの自社株買いを奨励し、株価が1株当たりNAVを下回った場合やPERかPBRがセクター平均を一定幅で下回った場合に、自主的な自社株買いを促す。各企業は事前に自社株買いの条件となる最低バリュエーションを設定することができ、資金調達に際しては優先株、債券発行など、各種のツールを用いることができる。
BOCIはA株市場の急落局面で4省庁が通達を発したタイミングに目を向け、中国政府が「株式市場のセンチメント改善を望んでいる」との力強いシグナルを送ったと指摘。この通達に関しては実質的な相場支援効果より、象徴的な意味合いが強いとみている。また、8月31日現在、PBR1倍以下で取引されている約26銘柄の多くは、銀行、石炭、金属・採鉱セクターに属すると指摘。新通達の下で買い戻しが行われる見通しから、こうした割安株に目を向けるよう投資家に勧めている。
6月後半からのA株市場の暴落を受け、CSRCやSASACはこれより前の7月上旬にも、相次いで相場てこ入れ策を導入。経営陣や大株主による株式買い増しや従業員持ち株制度の推奨、さらに国有企業による上場子会社株の買い奨励や持ち株売却の禁止といった措置を講じた。これを受け、7-8月にはA株上場企業約2780社のうち1000社余りが、買い支えを目的とした自社株買い戻し、あるいは買い増しを行う計画を発表している。