7月15日
国有企業改革や海外観光ブームが焦点、オンライン旅行部門などが有力

中国は2015年に旅行・観光ブームを迎えた。海外からの旅行者受け入れの低迷が続く半面、国内旅行市場は順調に拡大し、海外旅行の伸びは加速傾向にある。BOCIは海南省の規制緩和や旺盛な高額品需要を受け、セグメント別で免税ショッピング部門の成長を予想。リゾートに関しても消費アップグレードを背景に拡大トレンドが続く見通しを示した。また、オンライン旅行代理店(OTA)に関しては競争激化に言及し、ネット事業者の多くが赤字経営を続ける中、M&Aを通じた大手の寡占化が進行しているとした。観光施設の経営や交通機関に関しては、アクセス面の改善が追い風になるとの見方。ホテル部門では低価格および中価格帯の成長を予想する一方、高級ホテルに関しては委縮傾向を指摘した。外食およびケータリングについては委縮傾向が続くも、うちファストフードチェーンに関しては高い伸びを予測。BOCIはセグメント別に異なる見方を示しながらも、旅行・観光セクター全体の先行きに対して強気見通しを示している。

中国の総旅行収入は2000-14年に年平均15.5%の伸びを示し、14年に3兆3800億元規模に達した。内訳は国内旅行収入が3兆元(年平均17.5%増)、インバウンドが522億8000億元(同8.7%増)。中国旅遊研究院は15年の総旅行収入について前年比15.4%増の3兆9000億元を予想している。上期実績は約1兆7000億元であり、下期の加速が期待されるという。 一方、15年に入ってから急速に伸びているのが海外旅行。1人当たりGDPの増加や消費アップグレード、人民元高、さらに中国人に対する諸外国のビザ規制の緩和が追い風となっている。海外旅行者数の伸びは2000-14年に年平均18.1%だったが、15年には前年比26.2%増の1億3500万人に上る見通しという。

BOCIはビジネス環境や投資・資金調達活動などを考慮した上で、旅行関連セクターの中でOTA部門を最有力視する。以下、免税ショッピング、リゾート、観光施設、従来型旅行代理店、ホテル、外食/ケータリングの順。このうちOTA、免税、リゾートに対して強気のレーティングを付与した。15年下期は国有企業改革や上海ディズニーランドの開業予定、免税政策の見直し、垂直方向への事業拡大、買収および資金調達、旅行サービスに絡むO2O(オンラインとオフラインの連携)の広がりなどが関連銘柄の支援材料になるとの見方。銘柄選択に当たっては以下の5つが焦点になると指摘している。

【1】ファンダメンタルズが健全で利益見通しの明確なカテゴリー別の最大手銘柄。【2】「国有企業改革」が期待される銘柄。特に苦戦が続く外食部門で、M&Aやグループ全体上場、戦略投資家の誘致、株式インセンティブ制度の導入といった各種改革が加速する可能性が高い。【3】海外旅行ブームが追い風となる旅行サービス部門。OTAや従来型旅行代理店もO2Oを通じた成長に期待。【4】上海ディズニーランド関連銘柄(16年春の正式オープンを予定)。【5】海南省の免税政策見直しに代表される政策恩恵銘柄。