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ピア・ツー・ピア(P2P)レンディングについて
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

ピア・ツー・ピア(P2P)レンディングについて

2014/12/9
ピア・ツー・ピア(P2P)レンディングとはウェブサイトを通じてお金を貸したい個人とお金を借りたい個人を結びつける融資手法を指します。ピア(peer)とは「同等の者」という意味です。
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【今日のまとめ】

  • ピア・ツー・ピア・レンディングは貸し手と借り手をウェブで結び付ける融資を指す
  • クラウドファンディングとは違う
  • 従来の銀行サービスは預金者と個人の借り手の双方にとって不利だった
  • P2Pレンディングはクレジットカード・ローンの借り手をターゲットにしている
  • レンディングクラブは証券化の手法を使っている

ピア・ツー・ピア(P2P)レンディングとは?

ピア・ツー・ピア(P2P)レンディングとはウェブサイトを通じてお金を貸したい個人とお金を借りたい個人を結びつける融資手法を指します。ピア(peer)とは「同等の者」という意味です。

P2Pレンディングと混同されやすい概念にクラウドファンディングがあります。しかしクラウドファンディングは:

  • 融資ではないことも多い
  • お金の出し手が金銭的な見返りを求めないケースが殆ど

などの理由からP2Pレンディングとはハッキリ区別されるべきです。

主なP2Pレンディング企業

P2Pレンディングを行っている企業はアメリカとイギリスだけで40社以上もあります。そのうち特に有名な企業は下の通りです。

会社名 英語名 特徴 所在地
レンディングクラブ LendingClub Corp. 最大手 米国
プロスパー・マーケットプレース Prosper Marketplace, Inc. 大手 米国
ファンディング・サークル Funding Circle Ltd. 大手 英国
アップスタート Upstart 新社会人向け 米国
ゾパ Zopa 英国最古 英国

P2Pレンディングが生まれた背景

アメリカで平均的な信用力を持つ消費者がクレジットカードでお金を借りるとクレジットカード金利は22%前後になります。その一方で普通預金口座にお金を預金しても利子は0.06%程度しかつきません。

乱暴に言えばこの二つの金利の差額が銀行のスプレッド(=利ザヤ)になるわけです。

つまり借り手は高利に苦しみ、預金者はスズメの涙ほどの利子で我慢しているわけです。

そこで銀行を通さず、直接、お金を貸したい人とお金を借りたい人をウェブで結び付ければ、借り手の金利を下げると同時にお金を貸したい人にはもっと有利な金利を提示することが出来るのではないか? という発想から生まれたのがP2Pレンディングなのです。

P2Pレンディング大手、レンディングクラブの場合

実際、P2Pレンディングの大手、レンディングクラブの場合、借り手がクレジットカードを止めレンディングクラブで借り直すと金利が22%から14.8%に下がりました。同様に貸し手が銀行預金をやめレンディングクラブを通じて出資すると利子は0.06%から8.6%に増えました。このように資金の出し手にとっても、借り手にとってもWIN-WINの関係が築けるのです。

貸し手にとってレンディングクラブが魅力な理由は、僅か25ドルから出資できる点にあります。またリスクに応じていろいろな投資先に分散投資することが出来ます。

借り手にとってレンディングクラブが魅力な理由は、3万5千ドルを上限としてお金を借りることが出来るので、クレジットカードでの借金の残高をレンディングクラブからの借り直しで一掃することができる点にあります。

現在、アメリカの消費者のクレジットカード・ローン残高は8,800億ドルあります。それは一世帯につき7,200ドル相当のクレジットカード・ローンがあることを意味します。

これは消費者がすでに借りているお金であり、しかもティーザー・レート(=最初の数カ月だけ金利を減免する)などの手法により銀行間でクレジットカード・ローン残高の奪い合いが繰り広げられている「逃げ足の速いローン」です。

従ってP2Pレンディングの企業にとって、このクレジットカード・ローン残高を奪うということが目下の経営目標になっていると言っても過言ではないでしょう。

急速に機関化するP2Pレンディング

さて、P2Pレンディングはもともと個人と個人を結びつけるプラットフォームでしたが、最近、機関投資家がこの機会に参加しはじめたことで急速にビッグ・ビジネスになりつつあります。

機関投資家はこれまでの株式、債券、商品などへの投資に加えてポートフォリオの多角化のひとつのメニューとしてP2Pレンディングを試し始めているのです。

機関投資家の参加は融資の原資となる資金が増強されることを意味します。このため以前より大きなスケールで融資が実行できるようになりつつあります。

これに加えて最近、P2Pレンディング最大手のレンディングクラブがニューヨーク証券取引所に新規株式公開する準備を始めました。株式が公開されると認知度が高まり、それが貸し手、借り手両方の数を増やす可能性があるわけです。

そこで最大手であるレンディングクラブがどう運営されているかについてもう少し詳しく見てみましょう。

レンディングクラブの運営状況

レンディングクラブはオンライン・マーケットプレースと呼ばれるウェブ・プラットフォーム上で個人、ならびに機関投資家のお金の出し手と個人ならびに中小企業のお金の借り手を募ります。

普通の銀行のように実店舗が無いため、それを維持する固定費がかからないわけです。さらに融資の実行に際してはユーザーがウェブに入力する情報をもとにリクエストを処理するので、極めて自動化されています。それが従来の融資審査などのペーパーワークを大幅に省いているわけです。

融資の判断は迅速に行われますし、そのレート決定のプロセスは公平で客観的です。

借り手から見ると融資は必ず固定金利であり、毎月の返済額がハッキリ明記されており、隠れたフィーやプリペイメント(繰り上げ返済)に対するペナルティはありません。

資金の出し手から見ると株式や債券などのこれまでの投資機会に比べてリスク修正後リターンの面で魅力的な投資機会を提供するだけでなく、透明で、個々の投資判断基準に合わせて投資案件を選択することが出来ます。投資先の信用データ、財務データ、信用スコアなど膨大なデータに基づき融資の決定をすることが出来ます。

レンディングクラブの典型的な借り手はFICO(「ファイコ」と読みます)スコアで660点以上の信用力を持った消費者です。これらの消費者に対するローンは手形発行登録に基づき発行された証券に投資するというカタチで運用されます。

これとは別に大きな資金を運用している機関投資家に対しては適格投資家だけが投資可能な私募案件として、主に中小企業への融資を行うカスタム・メードの投資機会が提示されます。こちらの方には個人の資金の出し手は参加できません。

証券化することのメリット

レンディングクラブは証券化に必要な全ての条件をセットにして商業銀行に持ち込みます。商業銀行はそれに基づいてローンをイシューします。

商業銀行が小口預金を融資原資とする場合と違い、資金の出し手は証券化された商品への投資家という扱いになるので、リザーブ・リクワイヤメント(準備預金)やFDIC(連邦預金保険公社)の保険の掛け金を要求されることはありません。

さらにレンディングクラブは金利変動リスクや信用リスクを負いません。

レンディングクラブの実績と業績

レンディングクラブがこれまでに実施した累積融資額は60億ドルを超えています。

またこれまでの業績は下のグラフのようになっています。

リスクについて

さて、レンディングクラブは証券化にあたって商業銀行に協力してもらう必要があります。クレジットカード・ローンのビジネスは多くの商業銀行にとって中核ビジネスのひとつなので、レンディングクラブに手を貸すと、ライバルを作ってしまうことになります。このため将来に渡っても商業銀行からの協力を得られるかがひとつのポイントになると思います。

またレンディングクラブのサービスに不満を持つ投資家ないしは借り手が出てきた場合、ネガティブな風評を流布するリスクがあります。

また同社の借り手の信用スコアの分析アルゴリズムに大きな間違いがあり、その結果、借り手のデフォルトが多発した場合、サービスフィーを回収することが困難になる可能性があります。その場合、投資家は次回から投資しなくなるリスクがあります。

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