レンディングクラブの運営状況

レンディングクラブはオンライン・マーケットプレースと呼ばれるウェブ・プラットフォーム上で個人、ならびに機関投資家のお金の出し手と個人ならびに中小企業のお金の借り手を募ります。

普通の銀行のように実店舗が無いため、それを維持する固定費がかからないわけです。さらに融資の実行に際してはユーザーがウェブに入力する情報をもとにリクエストを処理するので、極めて自動化されています。それが従来の融資審査などのペーパーワークを大幅に省いているわけです。

融資の判断は迅速に行われますし、そのレート決定のプロセスは公平で客観的です。

借り手から見ると融資は必ず固定金利であり、毎月の返済額がハッキリ明記されており、隠れたフィーやプリペイメント(繰り上げ返済)に対するペナルティはありません。

資金の出し手から見ると株式や債券などのこれまでの投資機会に比べてリスク修正後リターンの面で魅力的な投資機会を提供するだけでなく、透明で、個々の投資判断基準に合わせて投資案件を選択することが出来ます。投資先の信用データ、財務データ、信用スコアなど膨大なデータに基づき融資の決定をすることが出来ます。

レンディングクラブの典型的な借り手はFICO(「ファイコ」と読みます)スコアで660点以上の信用力を持った消費者です。これらの消費者に対するローンは手形発行登録に基づき発行された証券に投資するというカタチで運用されます。

これとは別に大きな資金を運用している機関投資家に対しては適格投資家だけが投資可能な私募案件として、主に中小企業への融資を行うカスタム・メードの投資機会が提示されます。こちらの方には個人の資金の出し手は参加できません。

証券化することのメリット

レンディングクラブは証券化に必要な全ての条件をセットにして商業銀行に持ち込みます。商業銀行はそれに基づいてローンをイシューします。

商業銀行が小口預金を融資原資とする場合と違い、資金の出し手は証券化された商品への投資家という扱いになるので、リザーブ・リクワイヤメント(準備預金)やFDIC(連邦預金保険公社)の保険の掛け金を要求されることはありません。

さらにレンディングクラブは金利変動リスクや信用リスクを負いません。

レンディングクラブの実績と業績

レンディングクラブがこれまでに実施した累積融資額は60億ドルを超えています。

またこれまでの業績は下のグラフのようになっています。

リスクについて

さて、レンディングクラブは証券化にあたって商業銀行に協力してもらう必要があります。クレジットカード・ローンのビジネスは多くの商業銀行にとって中核ビジネスのひとつなので、レンディングクラブに手を貸すと、ライバルを作ってしまうことになります。このため将来に渡っても商業銀行からの協力を得られるかがひとつのポイントになると思います。

またレンディングクラブのサービスに不満を持つ投資家ないしは借り手が出てきた場合、ネガティブな風評を流布するリスクがあります。

また同社の借り手の信用スコアの分析アルゴリズムに大きな間違いがあり、その結果、借り手のデフォルトが多発した場合、サービスフィーを回収することが困難になる可能性があります。その場合、投資家は次回から投資しなくなるリスクがあります。