10月31日の午後、堅調なもみ合いとなっていた株式市場のまったりムードを打ち破ったのは、日銀によるサプライズ追加金融緩和の発表を受けた急騰でした。この日の日経平均終値は前日比で755円高。9月の月間上昇幅(748円)をたった一日で越えるほどの勢いを見せました。前回は一目均衡表の「ねじれ」を前に、日経平均が「雲」を上抜けられるかがポイントとお伝えしましたが、一気に状況が変わった格好です(図1)。

(図1)直近の日経平均(日足)の一目均衡表

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

日経平均が雲を上抜けたばかりか、転換線の基準線上抜けと遅行線のローソク足上抜けも同時に達成し、これまでにも何度か紹介しました「三役好転」となっています。今週に行われた米国中間選挙の結果ではありませんが、「ねじれ」に対する不安はひとまず後退したと言えます。

連休明けとなる11月初日(4日)の取引も、一段高にはなったものの、その後は終値で節目の17,000円台に乗せきれない展開が続いています。とりわけ、11月6日のローソク足が微妙な陰線となっており、上昇の勢いが後退しているようにも見えますが、現時点ではいったん下げに転じるのか、再び上昇していくのか判断が難しいところですが、個人的には平均足が陰線になるかどうかに注目しています(図2)。平均足の内容については第9回をご参照ください。

(図2)日経平均(日足)の平均足(上段)とローソク足(下段)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

平均足が陰線になるには、当日の四本値(始値、高値、安値、終値)の平均値が前日の実体の半分よりも安くなることが条件となります。つまり、当日の値動きが前日の値動きの中心よりも低い水準になるまでは、ひとまず堅調な地合いは続くと見てよいと考えられます。

とはいえ、相場がようやくここまで上昇してきたわけですから、前向き視点で今後も上昇基調が続いた場合、どこまで上昇しそうなのかを探ってみたいと思います。上値の目処を探るテクニカル方法はたくさんありますが、今回は簡単に計算できる、「V計算値」や「E計算値」、「N計算値」、そして「NT計算値」の4つを紹介します。下の図3を見ていただければお分かりのように、いずれの計算も、非常に簡単です。

(図3)四つの計算値(V計算値、E計算値、N計算値、NT計算値)

相場は上げ下げを繰り返しながら、トレンドを形成していきますが、これらの計算方法は、その上げ下げの波の大きさやリズムが今後の株価形成に影響を与えるだろうという考え方に基づいています。そして、それぞれの計算結果を日経平均に当てはめたのが下の図4になります。

(図4)日経平均(週足)とそれぞれの計算値

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

足元はN計算値の水準が意識されているようですが、V計算値とE計算値の水準がかなり上方にあるため、ここを目指すには強い買い材料が欲しいところです。