2014年も7月入りとなり、残り半分となりました。早速、下の図1でTOPIXの値動きを確認してみますと、前回も紹介しました、1月23日~24日にかけて空けた「窓」を埋めにかかる動きとなっています。
(図1)TOPIXチャート(日足)
この窓を埋めきれば、年初の水準も十分視野に入ってくるわけですが、7月3日のローソク足が比較的長い陰線で、しかも、前日(7月2日)のローソク足を包み込む格好の「抱き線」となっていて、ちょっと注意が必要となっています(下の図2)。
(図2)足元のTOPIXチャート(日足)
この2日間のローソク足を合成すると、下の図3のようなイメージです。
(図3)「抱き線」のイメージ
とはいえ、合成してみてもごく普通の陰線です。そのため、抱き線としてはあまり強力な売りサインとは言えないと思われます。仮に以下のような場合だと「トンカチ」と呼ばれ、売りサインとしては強めとなります。つまり、上昇相場の中、前日が陽線で当日が陰線の抱き線かどうかがひとつのポイントとなります。
(図4)「抱き線」のイメージその2
そのため、今回は米雇用統計の発表を控えていることもあり、天井を打ったと判断するよりも、ひとまず様子を見るのが無難かもしれません。ただし、仮に翌4日のTOPIXが反発した場合でも、そのローソク足が「はらみ足」になったりすれば、再び売り警戒となります。
また、別のテクニカル指標でもTOPIXの動きを追って行きたいと思います。今回チェックするのはRSI(Relative Strength Index)です。
相場は日々、上げ下げを繰り返していますが、一定期間の上げ幅と下げ幅の合計のうち、上昇幅の大きさがどのくらいなのかを%で表して相場の強さを知ろうというのがRSIです。上昇の勢いがあればRSIの値が高くなり、逆に下落の勢いが強ければRSIの値が低くなります。
RSIはいわゆるオシレーター系と呼ばれるテクニカル指標で、一般的には70〜80%を超えると買われ過ぎ、30〜20%を下回ると売られ過ぎと判断するわけですが、オシレーター系の指標にはもうひとつトレンドの転換を示すサインを判断する使い方があります。それが「逆行現象」です。
下の図5は、上段がTOPIXの日足チャート、下段はRSIになります。直近のTOPIXが上値を切り上げている一方で、RSIの値は切り下がっています。つまり、株価とRSIが逆の動きをしているわけですが、このような動きをしている時は相場のトレンドが間もなく変化するサインと言われています。過去を遡ってチャートの左側見ても、同様に逆行現象が見られ、株価が下落に転じています。
(図5)TOPIX(日足)チャートとRSI
ちなみに、お互いの動きが拡大していく動きを「ダイバージェンス」、逆に収束していく動きを「コンバージェンス」と言います。よく使われるテクニカル指標にMACDがありますが、日本語名は「移動平均線収束拡大法」です。MAが移動平均線(Moving Average)、Cが収束(コンバージェンスConvergence)、Dが拡大(ダイバージェンスDivergence)を表しています。つまり、MACDは2本の移動平均線の差の収束と拡大を見ながらトレンドを追っていく指標という意味になります。
また、少し話しが逸れますが、逆行現象を見る上で意外と重要なのは「視点をどこにするか?」です。例えば、先程の説明では、株価が上値(下値)を更新しているのに、RSIは逆の動きをしているという、「株価からの視点」です。反対に、RSIが上値(下値)を更新しているのに、株価が逆の動きをしているという、「RSIからの視点」もあるということです。この場合の逆行現象は、「隠れたダイバージェンス」、「リバーサル」とも呼ばれ、こちらはトレンド転換ではなく、トレンドフォローという見方があるからです。下の図6はTOPIXの週足チャートとRSIですが、RSIが下値を更新しているのに、TOPIXは下値を更新しておらず、むしろ切り上がっています。その後もTOPIXは回復基調を辿っています。少しややこしいですが、上値(下値)を更新している方を基準に見ていくことがポイントとなります。
(図6)RSIからみた逆行現象:TOPIX(週足)チャートとRSI