10年12月本決算は45%増益、会員サービス強化を優先し11年は利益成長が鈍化

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01688 阿里巴巴(アリババ) 14.54 HKD
(04/21現在)
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電子商取引大手アリババが発表した2010年12月本決算は、売上高が前年比43.4%増、純利益が同45.1%増だった。EBITAマージン(株式報酬前)は前年の32.1%から34.7%に上昇。ただ有料会員企業数の伸びが鈍化し、繰延収益の成長率が09年の50%から29%に低下したため、11年には減速が予想される。BOCIはアリババのB2B市場における圧倒的なシェアと市場成長性を踏まえ、長期的にはポジティブな見方を維持しているが、短期的なプラス材料に欠けることから株価見通しを中立の見方に据え置いている。

国際サイト「ゴールドサプライヤー」の売上比率は58%(前年は62%)。10年末の海外有料会員(グローバル・ゴールドサプライヤー)数は1万434社とピーク時に比べて45%落ち込んだ。金融危機をきっかけに欧米の景気低迷が長引く中、回復の見通しは不透明。一方、同サイトの国内有料会員(チャイナ・ゴールドサプライヤー:CGS)は、08年に会員価格を値下げして以来、中小企業を中心に大幅に増加。10年は前年のような伸びは見られなかったものの、会員ベースの拡大によりVAS収入の貢献度が09年の10%代後半から25%超に達した。

国内サイト「チャイナ・トラストパス」は、有料会員数、VASの売り上げともに堅調に推移し、売上高は全体の34%を占めた。VAS収入の売上比率は前年の10%代半ばを上回る20%超。11年にはVASの貢献度が25%に達するとBOCIはみている。特に人気の高いVAS「Ali-ADvance」を利用する有料会員数は10年末時点で10万社を超えた。

会員サービスの強化を図るため積極的な買収戦略とマーケティング活動を展開した影響で、10年の粗利益率は09年の86.2%から83.2%に低下。BOCIはこれを踏まえ、EBITAマージン(株式報酬前)も11年には33%に低下すると予想している。ただ、11-13年の増収率が20%、23%、33%と回復するに従い、EBITAマージンも13年には36.9%に改善する見通し。業績回復の背景には「信用基準の強化による優良会員の増加」、「VAS収入の拡大」、「卸売サイトの貢献」の3つの要因があると指摘した。同社は不正行為に対処するため09年に1219社、10年に1107社のCGS会員の契約を解除。短期的には会員数の増加を阻害するものの、長期的には優良会員が増えることで収益基盤の強化につながるとみられる。またVASに関しては、09年初めに開始した「Ali-ADvance」が好評で、国内サイト事業に貢献。また、親会社の傘下にあるオンラインショッピングサイト「淘宝網(タオバオ)」とアリババに登録する卸売り業者の間の取引を可能にするプラットフォーム「Wu Ming Liang Pin」の試用サービスが始まり、B2BとB2Cを合わせたモデルとしてシナジー効果が期待される。一方、10年第2四半期に正式導入した、取引ベース課金の卸売サイト「全球速売通(AliExpress)」および「1688.com」も迅速な小口取引へのニーズに応え、成長が見込まれる。