1-3月期に94%減益見通し、4-6月期には粗利益率の一段の悪化を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00347 鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール)  10.66 HKD
(04/18現在)
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アンガン・スチールはこのほど、2011年1-3月期(中国会計基準)の純利益が前年同期比93.8%減の7100万元にとどまる見通しを明らかにした。この数字は通期利益に関するBOCIおよび市場コンセンサス予想のわずか1.8%相当となる。同社経営陣は原材料およびエネルギー価格の大幅な高騰を業績悪化の主因としているが、1-3月期には主要鋼材製品の平均販売価格が1トン当たり600-750元の幅で上昇する一方、売上原価の増加幅は同170元前後(鉄鉱石調達価格の上昇幅がうち140元、コークス炭が30元)と相対的に小幅にとどまった。こうした点から、BOCIは同期に何らかの特別損失を計上する可能性が高いとみている。

平均販売価格の下落傾向を受け、4-6月期には利益率が悪化する見通しとなった。同社は4月分の平均出荷価格を1トン当たり300元値下げした後、5月分についても同200-480元の引き下げを実施する。主に川下需要の停滞に加え、宝山鋼鉄(600019)が5月分の出荷価格(業界全体の価格指標)を同200-300元値下げしたことが背景。宝山鋼鉄の5月の出荷価格はこれにより、前月を4-5%、前年同月を3-7%下回る水準となった。また、BOCIのリサーチによれば、多くの鋼材取引事業者が追加利上げ、預金準備率引き上げなどの引き締め観測を受けて様子見姿勢を続けており、この点も鋼材相場の圧迫要因となっているという。

一方、アンガン・スチールの鉄鉱石調達価格は上期に1トン当たり1035元の水準を維持するとみられるが、4-6月期の輸入契約価格の値上がり(前四半期比16-25%高)を受けて下期に上向く見通しとなった。また、国内産の鉄鉱石価格も上昇する見込み。河北省における電力供給制限や違法鉱山の閉鎖措置が生産に響くとみられるためで、BOCIは同省の鉄鉱石生産量のうち、5.5%に当たるおよそ55万トンが影響を受けるとみている。

BOCIは現時点で同社の利益見通しを据え置き、株価の先行きに対する中立的な見方を継続している。BOCIによると、同社の現在株価は11年予想PBR(株価純資産倍率)は1.1倍と、中期的なバリュエーション(1.6倍)を下回る水準。BOCIはROE(株主資本利益率)が4-5%にある場合のヒストリカルバリュエーション(1.2倍)を当てはめた上で目標株価を設定しており、最新リポートでは従来目標を据え置いた。

なお、同業銘柄の馬鞍山鋼鉄(00323)の株価が年初から6%値上りする一方、アンガン・スチールは10%調整した。BOCIは馬鞍山鋼鉄についても1-3月期の業績悪化を見込んでいるが、今年は条鋼の価格動向が鋼板を上回ると予想。11年下期の収益回復ペースでは、馬鞍山鋼鉄がアンガン・スチールを上回るとみている。