10年本決算は28%増益、利ざや拡大と手数料収入の伸びが持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01398 中国工商銀行股フン有限公司(インダストリアル・アンド・コマーシャル・バンク)  6.38 HKD
(04/01現在)
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中国工商銀行の2010年12月本決算は、純利益が前年比28.4%増の1651億6000万元と、BOCIの予想を1.5%上回った。純金利収入は同23.6%増の3037億5000万元と予想をやや下回ったが、コスト管理が奏功し、営業コストが予想より低水準にとどまった。10-12月期の純利益は前四半期比11%減少したが、利ざやは7ベーシスポイント上昇し、2.48%に達した。

国内最大の預金基盤を持つ同行は預金コストの面で優位にあるが、同業銘柄との預金獲得競争に直面し、10-12月期には預貸比率がやや上昇した。また、純手数料収入は前年比32.1%増。同期にはコスト管理が効果を発揮しただけでなく、業務全般および国際事業部門においても進展がみられた。

貸出総額に対する引当率は10年期末時点で2.46%。また、不良債権引当率は228%と、4大国有商業銀行の中で最も高い水準に達した。不良債権額、不良債権比率も引き続き改善傾向を維持した。

中長期貸付比率の相対的な高さにもかかわらず、BOCIは融資ポートフォリオの調整が収益率の向上や利ざやの一段の拡大につながると予想。貸出伸び率に関しては13-14%を予測した。また、手数料収入の大幅な伸びが続くとみる半面、コスト管理面ではこの先やや苦戦する可能性を指摘している。

同行のリスク要因として、BOCIは10年期末のリスク加重資産のウエートが前年同期比で上向いた点に言及。さらに国内経済成長の減速が貸し倒れリスクの拡大につながる可能性を挙げている。

BOCIは利ざや、手数料収入の伸びが同業銘柄を上回る見通しを示し、目標株価を引き上げた。ただ、現在株価が11年予想PBRで2倍と、大手行の中では相対的に高水準にある点を指摘し、同社株価の先行きに対して中立的な見方を継続している。