10年本決算で大幅増益、原油相場の高止まりが懸念材料

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00670 中国東方航空(チャイナ・イースタン・エアラインズ) 3.01 HKD
(04/01現在)
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中国東方航空の2010年12月本決算(中国会計基準)は、純利益が前年比660%増の53億8000万元に達した。売上高は同88.2%増の749億5800万元で、うち航空輸送収入が同81.5%増の684億7000万元。世界的な景気回復や国内経済の成長を背景とした輸送需要の伸びに加え、上海航空買収に伴う企業規模の拡大、上海万博効果などが好決算を支えた。通期の総輸送量は同59.3%増の125億9900万トンキロ。RPK(有償旅客キロ)、RFTK(有償貨物トンキロ)当たりのイールドはそれぞれ16.7%、16.8%の伸びを示した。

BOCIは11年の旅客および貨物需要が安定成長を維持するとみている。一方、国内での大型高速鉄道の開通による影響については、今後さらに見極める必要があるとした。同社は輸送力増強や新規路線の就航を通じて国際線業務を強化しており、BOCIは国際線の輸送能力が11年に前年比15%以上の伸びを示すと予想。国内線については約10%の拡大を見込んでいる。一方、同社がハブ空港を置く上海は国内航空業界の主戦場。BOCIは同社が上海国際貨運航空(Shanghai Airlines Cargo)、長城航空の買収を通じて貨物部門を強化したことに言及しながらも、競争激化が同部門の業績に影響する可能性を指摘している。

同社の米ドル建て有利子負債は10年期末時点で58億6700万米ドル。10年通期には10億7500万米ドルの為替差益を計上した。BOCIは11年も人民元の対米ドル相場の上昇が続くとみて、年間で5%の人民元高を予想。11年には同社が20億元の為替差益を計上する見通しを示している。

燃油ヘッジ比率(対燃油年間所要量)は09年、10年にそれぞれ52.59%、28.2%で、この2年間のヘッジ評価益は37億7500万元、8億3300万元だった。ただ、同社は新たな原油オプション契約にサインしておらず、過去の契約は11年末に期限を迎える見込み。BOCIは原油相場が高止まりする中で、収益力に悪影響が及ぶ可能性を指摘している。航空燃油(ケロシン)の11年の平均価格が1バレル当たり110米ドルに達した場合、同社の燃油コストは営業経費全体の36%を占める規模に達し、10年の31.5%からさらに膨らむ見通しという。

BOCIは同社の11-12年の予想EPS(国際会計基準)を0.50元、0.39元に設定した。また、通期利益の4割以上を為替差益と燃油ヘッジ評価益が占めると予想。経常ベースの予想利益を基に11年予想PER10倍をあてはめ、これに為替差益、ヘッジ益を上乗せする形で目標株価を下方修正。同社株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。