10年本決算は18%増益、利益見通しの明確性さ安定感を評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00270 粤海投資(コワントン・インベストメント)  3.93 HKD
(04/01現在)
 株価
 企業情報
 チャート

粤海投資の2010年12月本決算は、純利益が前年比18.4%増の24億2000万HKドルに達し、BOCI予想を3%、市場コンセンサス予想を7%上回った。下期には売上高が上期比5.9%減少したが、純利益は同15%増。また、不動産再評価益などの一回性損益を除外した場合、通期のコア税引き前利益は前年比16.2%増だった。主に電力部門の黒字化や、給水、有料道路、百貨店など各部門の堅調が2ケタ増益に寄与した。年間配当は1株当たり0.15HKドルを予定しており、前年比36%の増配。現在株価に基づく配当利回りは3.83%となる。

部門別にみると、給水部門の10年通期の給水量は前年比1.5%減少したが、香港から得られる一時収入が6.3%増加したことで、部門売上高は5.2%増。中国国内の売上高はBOCI予想を3%下回ったが、それでも税引き前ベースで12%の部門増益を確保した。BOCIは香港に対する給水契約の満了に伴い、11年の部門利益は小幅の伸びにとどまる見通しを示している。

電力部門では中山火力発電所の利益率が大幅に低下したが、昨年1月に権益を取得したばかりの粤電靖海(持ち株比率は25%)のプラントが4億5700万HKドルの税引き前利益を計上し、ROI(投下資本利益率)は14.3%の高水準に達した。韶関粤江発電は石炭コストの増大を受けて赤字に転落した。

有料道路・橋りょう部門の車両通行量を個別にみると、虎門大橋、汕頭海湾大橋がそれぞれ前年比16%、7%の伸びを示す一方、英坑公路、番禺大橋は各2%減、9.5%減。ただ、重量ベースの通行料金体系の導入や政府補助金、資産売却益などの計上で、同部門のEBIT(金利・税引き前利益)は20%の伸びを示した。

不動産投資部門では天河城広場(Teem Plaza)の賃料収入が5.5%増加し、税引き前利益は3.7%増の6億3400万HKドル(不動産再評価益を除く)。オフィスビル部分は入居率が88%から93%に上向き、賃料収入が12%伸びた。一方、シェラトン・ホテルへの投資は現在までに75%完了。BOCIは向こう2年以内の売り上げ貢献を見込む。

ショッピングモール天河城購物中心(Teemall)の売上高、税引き前利益はそれぞれ14%増、19%増。傘下の星付きホテルの平均宿泊料金は21%上昇し、ホテル部門の売上高、税引き前利益は21%、29%増加した。

BOCIは同社の利益見通しの明確さや負債の低下などを前向きに評価している。利益全体の約5割を給水部門、3分の2をインフラ部門が占める同社は利益下振れの余地が小さく、相対的に見通しが明確であるとし、10-13年の増益率が年率5%に達すると予測。また、現在株価の11年予想PERが10倍を下回るとし、同社株価の先行きに強気見通しを継続している。