10年本決算は51%増益、向こう2-3年間にわたって大幅な収益成長持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01766 中国南車股フン有限公司(チャイナ・サウス・ロコモーティブ・アンド・ローリング)  8.04 HKD
(03/31現在)
 株価
 企業情報
 チャート

中国南車の2010年12月本決算(中国会計基準)は、売上高が前年比39.9%増の649億900万元、純利益が同50.85%増25億3100万元と、大幅な収益成長を示した。高速鉄道部門と都市鉄道部門の急成長が背景。高速鉄道の車両(EMU)部門、地下鉄車両部門はそれぞれ84%、63%増収と好調で、ほかにニューエネルギーなどの新規事業部門も74%の売り上げ伸び率を記録した。同社は国内で50%超のシェアを誇るだけでなく、海外事業を急速に拡大させており、向こう2-3年間は大幅な収益成長が続く見通しとなった。

同社は国内市場で圧倒的なトップシェアを握り、EMU部門の受注残高は10年期末時点でシェア60%。地下鉄車両の国内シェアは過去4年間、平均60%を超える水準で推移した。また、10年通年には国内全体の25G型客車受注の60%を獲得し、機関車製造およびメンテナンス分野でも50%のシェアを確保した。競合の中国北車集団(China North Railway)がEMUビジネスを急速に拡大する中、中国南車が50%を上回るシェアを掌握していることについて、BOCIは先発組としての優位を指摘。同社シェアがこの先一段と拡大する可能性に言及している。

世界景気の回復を受けて海外の鉄道設備需要も上向いており、中でも省エネ機運の高まりを背景に高効率、低エネルギー消費型設備の注目度が高い。同社の海外受注は10年に10億米ドルに達し、通期の海外売上高は前年比69%の伸びを示した。ゼネラル・エレクトリック(GE)との合弁事業が高速鉄道技術の北米輸出に道を開き、同社の本格的な海外市場開拓にもつながる見込み。アジア向け輸出も従来の基本設備から、ハイテク、高付加価値製品に多様化しており、この点も同社の利益成長を後押しする見通しとなった。

一方、新規事業部門も10年に急成長を記録し、前年比74%増となる86億3000万元の売り上げを計上した。新規事業は風力発電設備、電気自動車、建設機械などで、すべて牽引駆動やブレーキなど、同社が本来持つ輸送設備分野の技術をベースとしている。こうした技術は数年間の市場試験を通じて成熟度が高まっており、同社は各種技術の知的財産権を保有する。また、新規事業の大半は、中国政府が第12次5カ年計画(11-15)期間中に支援を決めた戦略的新興産業に含まれる分野。BOCIは新規事業が業務多角化につながると同時に、この先の成長エンジンになるとみている。

BOCIは高速鉄道や地下鉄の建設加速を背景に大幅な収益成長が続くとみて、同社の11年、12年の予想純利益を上方修正した。また、現行の目標株価(11年予想PER25倍)を据え置き、同社株価の先行きに強気の見通しを継続している。