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2016年3月期1Q決算が始まる。決算コメント:日本電産
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

2016年3月期1Q決算が始まる。決算コメント:日本電産

2015/7/24
7月21日の週の株式市場は、中国問題、ギリシャ問題の一応の解決を見て、週初に20,800円台をつけました。しかし、アメリカのアップルの決算を受け調整する形となりました。
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1.2015年7月21日の週の相場概況:2016年3月期1Q決算が始まる。

7月21日の週の株式市場は、中国問題、ギリシャ問題の一応の解決を見て、日経平均株価は週初に20,800円台をつけました。しかし、アメリカのアップルの決算を受け調整する形となりました。7月21日(現地時間)発表のアップルの2015年4-6月期決算は、売上高496億500万ドル(前年比32.5%増)、営業利益140億8,300万ドル(同37.0%増)と好調でしたが、会社側の7-9月期のガイダンスが、売上高490~510億ドル(前年比16.3~21.1%増)とやや慎重なものだったため、日本株、特に村田製作所などの大手電子部品株に影響しました。

一方、7月22日発表の日本電産の2016年3月期1Q決算の発表から日本企業の2016年3月期1Q決算シーズンが実質的に始まりました。日本電産の1Q決算は、同社の業績好調が確認できるものであり、23日の日本電産株は前日比859円高、8.74%高の10,690円となりました。1Q業績の中身は後述しますが、同社の業績が日本企業、特に電機、自動車等のテクノロジー系企業の決算見通しと株価に対してポジティブな影響を与えたようです。7月23日の日経平均株価は、前日比90.28円高の20,683.95円で引けました。ただし、24日は前日のNY株安の影響で、前場の日経平均株価は下げています。一進一退の相場です。

来週7月27日の週の決算発表予定の詳細は先週の本稿に記載しましたが、主なものを見ると、ゲームでは、任天堂(7月29日)、コロプラ(29日)、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(29日)、民生用電機では、ソニー(30日)、電子部品では、アルプス電気(29日)、村田製作所(31日)、TDK(31日)、自動車で、マツダ(30日)、富士重工業(31日)、本田技研工業(31日)、デンソー(31日)などです。

2.どの決算に注目するか。

私自身がまず注目しているのが、村田製作所、アルプス電気などの電子部品各社とソニーです。アップルの7-9月期見通しは慎重なものでしたが、私見では、9月発売と思われる「iPhone6s」前の買い控えが8月に予想されること、「iPhone6s」の新機能は、「触覚デバイス」(日本電産の振動モーターが使われると思われます)、電池の強化などと言われていますが、「5s」から現行の「6」「6Plus」への移行のように、サイズを大きくして高性能化したような大きな変化は今のところ見込まれておらず、そのため慎重な見通しになったと思われます。一方で、日本電産の決算では、同社全体の業績が10-12月期に大きな山を作るであろうと言うコメントがありました。会社側では、振動モーターを、これまで収益源だったHDD向けスピンドルモーターに並ぶ会社の大きな柱にしようと考えていますが、この流れで見ると、アップルの7-9月期に対する慎重見通しは上方修正される可能性があり、また、10-12月期にはスマートフォン向け電子部品において大きな需要が見込める可能性があります。

iPhoneのような高級スマホ向けが強い日本の電子部品メーカーには、村田製作所(チップ積層セラミックコンデンサ、SAWフィルタ、WiFiモジュールなどトップシェア製品多数)、アルプス電気(オートフォーカス用アクチュエーター、手振れ補正用アクチュエーターの最大手)、日本電産(触覚デバイス用振動モーターの最大手)、ソニー(高級スマホ用高級イメージセンサの最大手)などがありますが、日本電産以外の重要企業の決算が7月27日の週に出揃います。注目されるところです。

ゲームでは、任天堂が29日に決算発表を行いますが、1Qは決算説明会を行いません。急逝された岩田社長を悼む声が世界中にあふれていますが、後継社長が決まり今後の展開がまとまるには少々時間がかかると思われます。一般論ですが、極めて高い能力、才能を持ったクリエーターの仕事を引き継ぐこと、肩代わりすることには難しいものがあります。任天堂がスマホゲームに対してどのような態度で臨むか、新経営陣の決定を見る必要があると思われます。現時点で私が感じるのは、任天堂にとって最も合理的な政策は、次世代機NX(仮称)へ経営資源を集中することだということです。

自動車では、富士重工業の好業績が予想されますが、その程度を確認したいと思います。マツダは、国内と北米は好調ですが、欧州の比率が他社に比べて高いため、対ユーロで為替デメリットが発生している可能性があります。本田技研工業は、タカタの問題が、北米その他の地域での自動車販売にどう影響しているのかがポイントです。本田技研工業については、北米で流行の排気量2ℓ以上のSUV、ピックアップトラックが必ずしも強くありません。その中で、今秋に新型「シビック」を発売する予定です。本田技研工業の置かれている立場は複雑であり、決算を注視したいと思います。

グラフ1 日経平均株価:日足

グラフ2 東証マザーズ指数:日足

グラフ3 東証各指数(2015年7月23日まで)を
2012年11月14日を起点(=100)として指数化

グラフ4 ドル円レート:日足

グラフ5 ユーロ円レート:日足

3.決算コメント:日本電産

日本電産の2016年3月期1Q(4-6月期)は、売上高2,850億4,100万円(前年比18.7%増)、営業利益310億6,100万円(同24.1%増)となりました。

2015年3月期4Q(2015年1-3月期)が20.2%増収、32.6%営業増益だったので、売上高の伸びが高い状態が続いています。一方、営業増益率が鈍化しましたが、これは、HDD(ハードディスクドライブ)の業界全体の出荷数量が弱含んでいるため、当社のHDD向けスピンドルモーターが影響を受けたこと、中国のエアコン市場が悪化したため、エアコン向けモーターが影響を受けたことによります。ただし、四半期ベースで全社営業利益は着実に増加しています。

表1 日本電産の業績

グラフ6 日本電産の売上高と営業利益
(単位:百万円、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ7 日本電産のセグメント別営業利益
(単位:百万円、出所:会社資料より楽天証券作成

セグメント別営業利益を見ると、従来からのトレンドに沿って、車載及び家電・商業・産業用の営業利益が好調でした。精密小型モーターの営業利益は1Q176億8,800万円(前年比17.4%増)で、今も全社営業利益の半分以上を占めていますが、車載及び家電・商業・産業用の営業利益は1Qは110億800万円(同29.1%増)まで伸びています。1年前の2015年3月期1Qの営業利益は、精密小型モーターが150億6,200万円、車載及び家電・商業・産業用が85億8,300万円でした。

車載及び家電・商業・産業用の好調の要因は、日本電産のモーター(パワーステアリング、パワーウインドウ用など)を採用する自動車メーカーが特に海外で増加したことに加え、2014年3月に本田技研工業から買収した日本電産エレシスが生産しているADAS(アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム、先進運転支援システム)が好調という事情もあると思われます。

精密小型モーターは、パソコン向けHDDの減少によるマイナス分を、シェア上昇(HDD向けスピンドルモーターは今3Qからは当社約80%、ミネベア約20%の2社体制になる見込み)と採算向上で補っています。

足元では、これに新分野が加わり始めています。会社側は公表していませんが、アップルの「アップルウォッチ」に採用された「触覚デバイス(ハプティックデバイス)、振動や触覚で情報を伝える」に使われている振動モーターが日本電産製と言われています。流れから見ると、9月発売と言われる「iPhone6s」にも触覚デバイスと日本電産製振動モーターが採用されると思われます。こうなると、振動モーターの大量生産が2Q(7-9月期)から本格化する可能性がありますが、歩留まり、生産性が良好であれば、2Qの精密小型モーターの売上高と営業利益は、1Qの水準から更に増加する可能性があります。

会社予想は売上高1兆1,500億円(11.8%増)、営業利益1,300億円(16.9%増)で、1Q決算では修正されませんでした。会社予想によれば、2Q営業利益は269億円(前年比0.0%増)と前年比横ばいになります。2Qは、中国エアコン市場の変調が続くと思われ、振動モーターの大量生産に伴う歩留まり、生産性にも左右されると思われますが、振動モーターの歩留まりが順調に上昇すれば、全社で前年同期を上回る利益水準が可能になると思われます。控えめに見積もっても、通期営業利益は1,350~1,400億円(前年比21.4~25.9%増)が可能と思われます。

会社側では、振動モーターを中心とする触覚デバイス(ハプティックデバイス)を、スマートフォン、ノートパソコン、ウェアラブル端末、自動車などに応用することで、大きな市場にしようと目論んでいます。これに成功すると、HDD用スピンドルモーターに匹敵する市場になる可能性があり、その場合、中長期的に年間200~300億円から400~500億円程度の営業利益が上乗せされる可能性があります。当社の精密小型モーター部門は、パソコン用HDD向けが減少しているため、どちらかと言えば「守勢」にまわって利益を稼ぐと言うイメージがありましたが、振動モーターの需要が増えると、スマートフォン向け中心に攻勢に転じることになります。

iPhoneに代表される高級スマートフォンは電子部品の有望市場ですが、バイブレーター以外に可動部分がなかったため、モーターの市場としては小さなものでした。それが、「触覚デバイス」によって、高級モーター(振動モーター)の有望市場に変わり始めています。振動モーターが日本電産の株価に対して持つ意味は大きいと思われます。短期でも中長期でも投資妙味の大きい企業と思われます。

グラフ8 <参考>iPhone販売台数
(単位:万台、出所:Apple会社資料より楽天証券作成)

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