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日銀の大幅追加緩和で、大幅円安、日経平均大幅高。【決算コメント】自動車(トヨタ自動車、富士重工業、マツダなど)、ソニー、アミューズ
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

日銀の大幅追加緩和で、大幅円安、日経平均大幅高。【決算コメント】自動車(トヨタ自動車、富士重工業、マツダなど)、ソニー、アミューズ

2014/11/7
11月4日の週の株式市場は、大幅高となりました。先週10月31日の日銀金融政策会合において、追加金融緩和が決定されましたが、その中身が株式市場の予想を大きく上回るものでした。
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(1)2014年11月4日の週の相場概況:日銀の大幅金融緩和で、円安が進行、日経平均株価は大幅高。

11月4日の週の株式市場は、大幅高となりました。先週10月31日の日銀金融政策会合において、追加金融緩和が決定されましたが、その中身が株式市場の予想を大きく上回るものでした。

まず、日銀はマネタリーベースが年間約80兆円(従来に比べ10~20兆円追加)のペースで増加するよう金融調節を行うとしました。また、長期国債の買い入れを年間約80兆円(従来よりも約30兆円多い)としました。更に、ETFの買い入れを年間約3兆円(従来は約1兆円)、J-REITの買い入れを年間約900億円(従来は約300億円)に増やすとしました。

10月31日13時44分に公表されたこの決定のインパクトは絶大でした。まず、それまで1ドル=109円台前半だった為替レートが、110円台に下落し、その日のうちに111円台後半に進みました。そして、公表前まで15,900円前後だった日経平均株価は、公表後直ちに急騰し、10月31日終値は前日比755.56円高の16,413.76円。今週に入ってからも日経平均株価は上げ続け、11月4日には一時17,100円台に入りました。17,000円台は、2007年10月振りです。

物色の範囲も、円安メリットが大きい自動車、電機、不動産価格上昇を期待して不動産関連など、広い範囲にわたっています。

その後も為替レートは円安を続けており、11月5日夕方には1ドル=114円台、6日には一時115円台に入り、7日午前中は1ドル=115円前半で推移しています。

ただし、為替レートの変化が急激過ぎたせいで、慎重な意見も出ており、日経平均は6日は前日比144.84円安の16,792.48円で引けました。もっとも、7日前場は前日比100円以上高くなっており、先高感は強い模様です。

今回の株価上昇は、重要なターニングポイントになる可能性があります。グラフ1は日経平均株価の長期チャートです。1990年1月から長期下降トレンドにあった日経平均株価が、ようやく長期の上昇トレンドに転換する可能性が出てきました。今後数カ月間の動きを注視したいと思います。

(2)過度の円安になるリスクに注意したいが、株価の上昇期待も強い

今回の大幅金融緩和には、日本経済に対するリスクもあります。「やりすぎ感」がないわけではありません。大幅金融緩和が引き起こした大幅な円安は、輸入物価の上昇に結びつくでしょう。これから冬になりますので、エネルギー価格が上昇し易い状態になります。足元では灯油価格が下がっていますが、これ以上の円安と厳冬が組み合わさると、灯油価格や電気代の上昇が起こる可能性があります。場合によっては、何らかの経済対策が必要になると思われます。

また、円安は輸入食品、輸入資材(産業資材、建設資材など)の値上げに結びつきます。価格転嫁が十分出来ない中小企業と、食品、日用品の値上げラッシュに直面する家計で、株高、土地高の恩恵を受けない層は、企業は利益の減少、家計は実質所得の減少に見舞われることになります。日本経済全体で考えると、株高、土地高の資産効果があると思われますが、地域や産業によっては「円安不況」が起こる可能性があります。

物価水準が上がっても、賃金がそれに合わせて上昇するかというと、時間がかかると思われます。これは簡単な話で、日本企業に勤める正社員の場合、大抵昇給は年一回4月だけの場合が多いのです。今年の冬は生活が苦しくなる家計が増えるかもしれません。更に、もし来年4月に平均的に賃金が上昇しない場合、経済だけでなく政治的に重大な問題が発生する可能性もあります。来年からは選挙の年が始まるからです。

大幅金融緩和は、基本的には株式や土地などの資産価格上昇を引き起こすと思われますが、このようなリスクを考えると、株式投資にはセクターと銘柄を選ぶことが重要になると思われます。

グラフ1 日経平均株価:月足

グラフ2 日経平均株価:週足

(3)大型株と中小型株の循環物色が続く

中小型株の各指標(東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均、東証2部総合指数)の反発は、日経平均株価に比べ小幅です。今回の大幅金融緩和の恩恵は、株式市場では大型株に対して大きくなります。円安では円安メリットの大きい自動車、電機、J-REITの買い入れ拡大は大手不動産株、大幅金融緩和はメガバンクです。中小型株の上昇トレンドが崩れたわけではないと思われますが、当面の物色は大型株中心となる可能性があります。

ただし、決算発表の最中ですので、好業績株を選別する動きも一方で続いています。例えば、11月7日の決算発表の中身を期待してミクシィが買われました。チャートを見ると三角保ち合いを上方にブレイクしました。このように、業績重視で中小型株の物色が続くと思われます。

また、6日のように日経平均株価が下落したときには中小型株が物色されるという循環物色のトレンドは、今も生きているようです。前向きに銘柄を探したいと思います。

グラフ3 東証マザーズ指数:週足

グラフ4 日経ジャスダック平均:週足

グラフ5 東証2部総合指数:週足

東証各指数(2014年11月6日まで)を2012年11月14日を起点(=100)として指数化

(4)決算コメント

自動車

先週から今週にかけて自動車各社の決算が出揃いました。良い会社とそうでない会社に分かれました。良い会社は、トヨタ自動車、日産自動車、富士重工業、マツダ、そうでない会社は本田技研工業、三菱自動車工業、スズキ、ダイハツでした。

良くないほうから見ると、本田技研工業は北米の不振が響きました。国内でもリコールの影響が出ました。7-9月期営業利益は前年比4.1%減の減益になりました。通期見通しでは、中国での乗用車販売が目標に届かず、関連会社持分法損益が下方修正され、当期純利益が下方修正となりました。

ダイハツは、国内販売が消費税増税後の不振が長引いており、2Q営業利益は55.8%減益となりました。通期見通しも下方修正されました。2Qは国内部門が1億円の赤字になりました。

良いほうを見ると、トヨタ自動車は、2Qの営業利益が11.3%増でした。円安メリット、アメリカの販売増加が、日本の消費税後の反動や経費増加を吸収しました。通期予想営業利益も2兆3,000億円から2兆5,000億円に上方修正されました。円安とアメリカの好調が重なって二桁営業増益になったのは、トヨタ自動車、日産自動車、富士重工業、マツダの4社ですが、このうち日産自動車は2014年3月期1Q、2Qが販売費増加で減益だったため、反動で増益になった側面があります。実態としてよかったのは、トヨタ自動車、富士重工業、マツダです。

この3社のうち、トヨタ自動車、富士重工業は、国内販売でも成果を挙げています。トヨタ自動車の4月以降の国内販売は他社よりも減少率が低くなっていますが、これは車の魅力と販売力の成果でしょう。富士重工業は、8月に新車「レヴォーグ」の本格販売が始まってから10%以上の伸びになっています。

各社とも、通期の為替前提を、1ドル=102~104円、1ユーロ=137~138円で設定しています。足元の円安が続くとすると、通期平均で1ドル=108円、1ユーロ=140円程度になると思われますが、この場合営業利益にどの程度上乗せ効果があるか、試算してみました(表2)。ここでも、2Q決算が良かったトヨタ自動車、日産自動車、富士重工業、マツダの上乗せ効果、特に富士重工業、マツダのそれが大きいことがわかります。

トヨタ自動車、富士重工業、マツダに注目したいと思います。

表1 自動車各社の営業利益

表2 自動車各社の円安メリット(試算)

表3 アメリカ、日本の新車販売台数

日本の新車販売台数:前年比(ブランド別)

ソニー

ソニーの2Qは、売上高1兆9,015億円(前年比7.2%増)、営業損失856億円(前年同期は139億円の利益)と赤字になりました。赤字要因は、モバイル・コミュニケーション分野(スマートフォン事業)で営業権の減損1,760億円を計上したためです。スマートフォンの中級品が中国勢との競争で赤字に陥りました。今後は、高級品と中国以外の地域でスマートフォン事業を継続する方針です。

一方、モバイル・コミュニケーション以外の事業は、ほとんどが黒字転換または増益になりました。赤字だった映画部門も赤字幅は縮小しました。モバイル・コミュニケーションを除いた営業利益は1Q726億円(前年比3.2倍)、2Q864億円(16.9倍)と着実に改善しています。

特に注目されるのが、従来から順調だった金融、映画、音楽以外に、ゲーム&ネットワークサービス(PS4などのゲーム機、ゲームソフトとネットワーク事業)、デバイス(イメージセンサー、電池など)が好調であること、イメージングプロダクツ&ソリューション(デジタルカメラ、一眼カメラ、ハンディカムなど)、ホームエンタテインメント&サウンド(テレビなど)といったこれまで問題だった部門が改善していることです。

2015年3月期通期見通しは、営業利益1,400億円から営業赤字400億円に下方修正されていますが、モバイルの減損やリストラ費用による2,040億円の赤字見通しを除くと、多くの部門で営業利益見通しが上方修正されています。すなわち、ソニーの業績は実質的に回復しているのです。

また、ゲーム部門に注目したいと思います。7-9月期の日本のゲーム会社、またはゲーム部門を持つ会社の中で、ソニーゲーム部門の営業利益は最大でした。PS4がヒットしたこと、地道に家庭用ゲーム事業を進めた成果が出ました。下期は、ネットワーク関連の投資負担で利益が減少する見通しですが、PS4は世界市場での評価が高く、今後に注目したいと思います。

表4 ソニーの部門別営業利益:四半期

表5 ソニーの部門別営業利益:通期

表6 主要ゲーム会社またはゲーム部門を持つ会社の2014年7-9月期の損益

アミューズ

10月31日付けでアミューズは、上期と通期業績見通しを上方修正しました。2015年3月期営業利益は従来予想の27億円から33億円になる見通しです(2014年3月期営業利益は36億4,400万円)。夏のコンサート、ライブのチケット収入やグッズ売り上げ、映画のDVD販売が予想を上回りました。通期でもライブブームの恩恵を受けると思われます。決算発表は11月13日です。

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