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日経平均株価、新興市場ともに大荒れ。【特集】2015年3月期1Q決算コメント(ゲーム決算の補足、日本通信)
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

日経平均株価、新興市場ともに大荒れ。【特集】2015年3月期1Q決算コメント(ゲーム決算の補足、日本通信)

2014/8/8
8月4日の週の株式市場は大荒れの展開となりました。7月下旬からNY市場で高値警戒感が出始め、NYダウが7月25日以降ズルズルと下げ始めました。この動きを受け、日経平均も7月31日のザラ場高値15,759.66円で一旦ピークを打ち、その後15,000円台まで急速に下落しました。
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(1)2014年8月4日の週の相場概況

日経平均株価、新興市場ともに大幅下落

8月4日の週の株式市場は大荒れの展開となりました。7月下旬からNY市場で高値警戒感が出始め、NYダウが7月25日以降ズルズルと下げ始めました。この動きを受け、日経平均も7月31日のザラ場高値15,759.66円で一旦ピークを打ち、その後15,000円台まで急速に下落しました。新興市場も後述の様に下落しました。

東証1部上場の大型株の2015年3月期1Q決算は、トヨタ自動車、本田技研工業、ソニー、パナソニックなどのように、会社側の想定内あるいは想定よりもよい決算が多かったようですが、トヨタ自動車のように通期見通しを据え置いた会社も多く、株価を押し上げるには力不足だったようです。

そして、8月8日金曜日は、アメリカがイラク北部への限定的空爆を決断したことと、それに反応した円高もあり、日経平均株価は一時14,800円を割り込む大幅安となりました。

新興市場では、ミクシィ、CYBERDYNEなど主力株が崩れる

新興市場では、日経ジャスダック平均が7月31日から、東証マザーズ指数が8月5日から下落し始めました。特にマザーズでは、主力株のミクシィとCYBERDYNEに8月5日から信用規制(委託保証金率の引き上げ)が行われ、これが下落のきっかけとなりました(ミクシィ株については、もう一つ重要な問題がありますが、今回の特集で述べます)。

新興市場の上場企業だけでなく、東証1部上場企業の株式を担保にして新興市場で信用取引をしている投資家もいるため、ミクシィ、CYBERDYNEのような主力株の下落は他の新興企業や東証1部上場企業の株価にも波及しました。株価が下がるにつれて追証を回避するための売りも広がったと思われます。

このような需給的な問題が絡んだ下げは、損切りによって信用残の整理が進めば底打ちすることが多いものです。日経平均の日足を見ると、15,000円を少し下回るところに75日移動平均線と200日移動平均線が重なる下値抵抗線があります。8日14時30分現在の日経平均株価はこの抵抗線を割り込んでいますが、当面、この抵抗線まで戻すか、割り込んだ状態がしばらく続くかが焦点になりそうです。

また、東証マザーズ指数も850ポイント近くにある200日移動平均線が、日経ジャスダック平均も2,100ポイント割れのところにある75日移動平均線が下値抵抗線になると思われます。東証マザーズ指数はこの抵抗線に接近していますが、日経ジャスダック平均は、抵抗線の上に位置しています。後場になって主力株に買戻しの動きもありました。今後が注目されます。

当面の焦点は、8月8日のミクシィ、8月14日のCYBERDYNEの決算ですが、それ以外の銘柄でも、決算と株価水準が株式市場から評価されることで、相場全体の立ち直りのきっかけになる可能性があります。引き続き決算と株価を注視したいと思います。

グラフ1 日経平均株価:日足

グラフ2 東証マザーズ指数:日足

グラフ3 日経ジャスダック平均:日足

グラフ4 東証各指数(2014年8月7日まで)を2012年11月14日を起点(=100)として指数化

(2)特集:2015年3月期1Q決算コメント(ゲーム決算の補足、日本通信)

1)ゲーム決算の補足

アップストアの順位が株価を動かす

上述の様に、8月5日にミクシィとCYBERDYNEに信用規制が導入された時に、重要な出来事が起きました。同日朝のアップストアのネイティブアプリの課金売上高ランキング(セールスランキング)で、それまで2位だった「モンスターストライク」(ミクシィ)が3位になったのです。2位は「ぷよぷよ!!クエスト」(セガ(セガサミーホールディングス子会社))でした。信用規制とともに、このアップストアランキングが株価を動かした模様です。このアップストアランキングは、3時間ごとに更新されます。グーグルプレイのランキングもありますが、これは1日1回の更新です。

「モンスト」の課金ランキングは5日の昼には2位を回復しましたが、7日の朝にそれまでの2位から再び3位になり、夕方には4位になりました。朝から夜にかけての2位は「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」(コロプラ)でした。8日1時(深夜)には「モンスト」が3位となり、「黒猫のウィズ」は5位になりましたが、8日9時は「モンスト」4位、「黒猫」5位で、3位は「LINE:ディズニー つむつむ」です。

このように、上位の座と、それに伴う大きな利益を目指して、スマートフォン上で激烈な闘争が展開されているのです。

コロプラの「黒猫のウィズ」は4位以下にはよく現れていたのですが、決算説明会での社長の「来期は1位になりたい」宣言の後、活発に3位、2位と上がっています。順位は安定はしていませんが、5位内に入ることが多くなっています。また、新作RPGの「白猫プロジェクト」が無料ダウンロードランキングの上位(1位を含む)に入っています。株価はこれらのランキングの動きに素直に反応して上昇しています。

ミクシィは8月8日に1Q決算を発表します。1Q実績、2015年3月期業績見通しとともに、ランキングを上げるために会社側が何らかの施策を行うのか、注目されます。

表1 アップストアにおけるセールスランキング(全カテゴリー)

1位を維持しているガンホーの「パズドラ」

表1は最近のアップストアのランキングです。2位以下は乱戦模様になっていますが、その中で、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」はほぼ1位を維持しています。累計2,900万ダウンロードと他を圧倒するダウンロード数を持つため、「パズドラ」を他のゲームが抜くのは、出来たとしても当面先のことでしょう。

ただし、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの業績は四半期ベースで見ると、横ばいになっています。7月29日に、パズルの要素だけを取り出した「パズドラW」を配信開始しました。これで、既存ユーザーの活性化、休眠客の掘り起こしを行う方針です。ただし、課金売上高に寄与するのは、少し先のことになりそうです。海外市場の開拓も、まだ道半ばです。

このように、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの四半期業績は当面横ばいとなりそうです。グラフ5,6は先週の本稿のグラフを再掲したものですが、ガンホー・オンライン・エンターテイメントとコロプラと業績の勢いの違いは明らかでしょう。

一方で、今期(2014年12月期)営業利益は、1,100億円程度になると思われます(表3)。EPSを試算すると57.5円、PERが9倍台前後となっており割安と考えられます。戻り程度の株価の動きは期待できるかもしれません。

グラフ5 ガンホー・オンライン・エンターテイメントの四半期業績推移(単位:百万円、出所:会社資料)

グラフ6 コロプラの四半期業績推移(単位:百万円、出所:会社資料)

2)日本通信

1Q決算は振るわず

7月31日に日本通信が1Q決算を発表しました。1Qは売上高13億300万円(前年比24.5%増、営業利益2,800万円(65.3%減)、経常利益1,500万円(82.3%減)、当期純利益900万円(87.5%減)でした。

決算の中身自体は、振るわないものでした。データ通信回線も音声通信回線数も、3月末から6月末にかけて減少しました。3月末まで流行し、当社の契約件数増加の要因の一つだったMNPキャッシュバック(ナンバーポータビリティを使って他社から転入してくるユーザーに高額キャッシュバックを渡す大手携帯電話会社のキャンペーン)が4、5月に沈静化しましたが、MNPキャッシュバックを目当てに日本通信と契約したユーザーも4~6月に解約し、これが4-6月期の契約回線数減少の要因になったと思われます。

SIMカード単体を販売する月額課金SIMと、端末と一緒に売るイオンスマホと合わせて月平均約1万件の契約が取れていると思われますが、1Qについては、MNPキャッシュバック絡みの解約圧力が強かった模様です。

ただし、会社側が提示した決算説明会資料によると、4月を底にして契約数は回復しています。1QでMNPキャッシュバックの影響はほぼなくなったと思われるため、今後契約残高は増加に向かうと思われます。

表2 日本通信の連結四半期業績

月額課金SIMの単価が低下

1Q決算では、月額課金SIMの月間単価が2014年3月期4Qの2,175円/月から2015年3月期1Qの1,845円/月に低下しました。私は5月に会社側から、音声SIMと高速データ通信オプションを使うユーザーが多いため、月間単価が約3,000円になっていると聞いたため、7月30日付けのアナリストレポートでは、2015年3月期業績予想の前提を「月平均1万件の契約+4万件のキャンペーン効果」と、月間単価2,700円として試算しました。しかし、結果として1Qは、ユーザーの中で高速データ通信オプションを使わない人が増えたこと、音声SIM、データ通信SIMの価格低下によって、1Qの平均月間単価が1,800円台になった模様です。

6月末の契約残高が2013年6月末よりは増えたものの、2014年3月末よりは減ったこと、月間単価が低下したことから、増収率は24.5%増と当社としては低いものになりました。

先行投資も減益要因

また、各種の拡大策を進めるために、1Qの1億6,000万円の先行投資を行ったため、営業減益となりました。

アマゾンスマホが拡販の試金石に

単価の低下は短期的には利益にマイナスに効くため、目先の業績を考える際にネガティブに作用します。

しかし同時に、単価低下はこれまで以上に売り易くなるということでもあります。8月1日に日本通信は、韓国LGのLTE対応スマートフォン「LG G2 mini」と日本通信の音声SIMを組み合わせた格安スマホの割賦販売プランを、アマゾンでスタートしました。最低価格は月2,980円(端末価格月1,420円×24カ月+音声SIMと高速データ通信1GB付きSIMカード月1,560円、ただし1年継続が条件、通常は1GBのオプションは月340円)プラス通話料金(20円/30秒)となります。LTE対応スマートフォンの価格が3万4,080円となり、やや高めですが、高速データ通信1GB付き音声SIMが月1,560円というのはかなり安くなりました。初動はまあまあといったところの模様です。ただし、現時点でのアマゾンレビューの評価は必ずしも良いものではないため、会社側が改善したければならない点もありそうです。

MVNO(格安スマホ)市場全体を見るとLTE対応のSIMフリースマートフォンの種類が夏から冬に掛けて増えそうであり、消費者の選択肢が増えそうです。SIMカードの参入も多いため、競争は厳しいですが、日本通信の場合、イオンなどのGMS、家電量販店からネット通販まで販路が確立されていることが強みです。

通信会社は、契約残高が積み上がっていくと、その上に月間料金が積み上がっていく収益モデルになります。成長期の通信会社は利益倍増が数年間続くことは珍しいことではありません。日本通信の場合、仮に上期のSIM販売件数が月1万件として、下期に1.5万件/月以上売れると、今期業績は会社予想を超過すると思われます。さらに来期にかけて順調に契約数が積み上がって行くと、来期営業利益は大雑把に試算して30~40億円程度になる可能性があります。

日本通信の評価は、月額課金SIMないし同社のSIMを組み込んだ格安スマホが売れるかどうかにかかっています。売れる条件は整っています。今後の売れ行きを注視したいと思います。

表3 ネイティブアプリゲーム、格安スマホの主要企業の業績と株価指標

表4 主要企業の2015年3月期1Qまたは4-6月期決算発表予定日

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