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東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに大台前にもたつく特集:スマートフォン関連
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所アナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を分かり…

東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに大台前にもたつく特集:スマートフォン関連

2014/6/27
6月23日の週の日経平均は15,300円でもたつく展開となり、27日前場では15,200円台に入りました。5月21日の14,000円割れから段階的に15,300円台まで上げてきましたが、一服となりました。
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(1)2014年6月23日の週の相場概況

日経平均株価は15,300円台でもたつく

6月23日の週の日経平均は15,300円でもたつく展開となり、27日前場では15,200円台に入りました。5月21日の14,000円割れから段階的に15,300円台まで上げてきましたが、一服となりました。

自動車セクターの株価が上昇後一服となりました。世界3大エアバッグメーカーのタカタのエアバッグに不具合があったことから、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、マツダの4社が延べ892万台のリコールを発表しました(トヨタ自動車は6月11日、他社は6月23日に発表)。また、GMなど海外メーカーでも同様の不具合が起こっているため、海外にもリコールが波及しています。部品の共通化は世界中の自動車メーカーの経営課題になっていますが、これのリスクが現れた形となりました。

一方で6月25日に、トヨタ自動車は、セダンの燃料電池車を2014年度中に700万円程度で発売すると発表しました。欧米でも2015年夏に発売する計画です。これを受けて、6月19日に6,000円台に乗せてから伸び悩み、6,000円を下回る日が続いたトヨタ自動車株は、26日に再び6,000円台に乗せました。

また、水素関連インフラの整備が進むという思惑から、岩谷産業、三菱化工機などの水素関連株が勢いよく上昇しました。タカタのネガティブな材料よりも、燃料電池車という新しい可能性に株式市場が前向きに反応した形になりました。新しい前向きな材料があれば、株式市場が再び上向きになる可能性があるという意味で、トヨタ自動車株の動きに注目したいと思います。

グラフ1 日経平均株価:日足

東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均も中休み状態から上値を窺うか

新興市場も日経平均同様、中休み状態となりました。東証マザーズ指数は900ポイント台に乗せた後横ばいとなり、日経ジャスダック平均は、1月23日のザラ場高値2,192.58ポイント台目前で頭打ちとなり、やや調整色が出てきました。

東証マザーズ指数の場合、人気株の一つであるミクシィが6月3日に信用取引の増担保規制を受けたことがじりじりと効いてきたようです。6月24日にマザーズで新規上場されたフリークアウトは、リアルタイムでインターネット広告の高速取引を行うシステムの開発で注目されている会社ですが、これも一服となりました。

ただし、ジャスダック上場の日本通信は、24日に増担保規制が解除されると直ぐに大きく上昇し上場来高値を更新、一時900円台に乗せました。

このように、取引の過熱を防ぐための信用取引規制が効果を挙げているために、新興市場に調整色がでているという事情はあると思われます。

ファンダメンタルズを見ると、内需中心に順調に景気は拡大していると思われます。調整から脱するには少々時間がかかる可能性もありますが、東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに前回高値を抜き、新しい段階に至る可能性は十分あると思われます。

グラフ2 東証マザーズ指数:日足

グラフ3 日経ジャスダック平均:日足

グラフ4 東証各指数(2014年6月26日まで)を2012年11月14日を起点(=100)として指数化

表1 楽天証券投資WEEKLY

(2)特集:スマートフォン関連

7月から「iPhone6」生産開始か

今回の特集は「スマートフォン関連」です。スマートフォンを取り上げる理由はいくつかあります。

第一に、今年秋に発売されると言われているアップルの「iPhone6」の生産がそろそろ始まると思われます。7月以降、アップルの部品調達が本格的になると思われるのです。例えば、一部の中国メディアは7月から中国でiPhone6の生産が始まると報道しています。真偽は不明ですが、秋発売であれば、夏には生産開始となるでしょう。iPhoneはこれまでも最も高性能な部品を使ってきました。日本のスマートフォン関連企業では電子部品メーカーが重要ですが、iPhone6の生産開始は日本の電子部品メーカー、特に上位企業にとって恩恵が大きいと思われます。

第二は、中国メーカーの生産台数が多くなっており、秋冬の需要期に向けて生産が増加することが期待できると思われることです。中国メーカーでも、上位企業のファーウェイ、レノボや新興のシャオミー(小米)などは、比較的高級機、中級機を生産していますので、高級部品も使います。

第三は、スマートフォンは、単に通信手段だけでなく、情報端末やエンタテインメント端末としての側面が大きくなっているということです。特にゲーム、映像、音楽の分野です。前回の特集でもお伝えしたように、スマートフォンでゲームなどのコンテンツを楽しむネイティブアプリや映像配信の分野は、当たると利益率が高い事業となります。

第四は、通信会社にとってスマートフォンは大変利益率の良い事業になっているということです。ソフトバンクの業績を見ればわかります。これはフィーチャーフォンに比べてスマートフォンは一人当たり月額支払額(ARPU)が高いためです。端末の分割払いを含めると1カ月7,000~9,000円かかります。一方で、この価格の高さが、MVNO(仮想移動体通信事業者)、いわゆる格安スマホの需要を生み出しています。

このように、スマートフォンは電機セクターの業績、エンタテインメントの世界、通信事業者の市場などに大きな変化をもたらしているのです。

世界のスマートフォン出荷台数は2014年12億台へ

スマートフォンに関する数字を見てみたいと思います。

グラフ5は、アメリカの調査会社IDCによる世界のスマートフォン出荷台数です。順調に伸びており、2013年は約10億台、2014年は約12億台になると予想されます。LTEも普及期に入っており、世界市場では先行しているアメリカのベライゾン、AT&TをNTTドコモが追いかける構図です。中国でも昨年12月からチャイナモバイルが中国仕様のLTE「TD-LTE」のサービスを開始したのを皮切りに、他の携帯電話事業者もTD-LTEのサービスを開始しています。これに伴い、中国メーカーのLTE端末の生産台数も増加している模様です。

また、表2は2012年、2013年のメーカー別出荷台数です。ファーウェイ、レノボなど中国メーカーの影響力が大きくなっていることがわかります。

グラフ5 世界のスマートフォン出荷台数(単位:万台、暦年、出所:IDCより楽天証券作成、予想はIDC2014年2月26日プレスリリース

表2 スマートフォンのメーカ別世界出荷台数

(出所:IDCより楽天証券作成)

表3は日本のスマートフォンの出荷台数、契約台数(累積台数)です(数字はMM総研による)。出荷台数は2013年度に特に激しかった携帯電話番号ポータビリティによる割引キャンペーンがなくなった影響で伸びなくなっていますが、契約台数は順調に伸びています。また、LTEの加入件数(グラフ6)は2013年12月末で3,800万件以上、現時点では4,000万件を超えていると思われますが、これはほとんどがスマートフォンの契約と思われます。

表3 日本のスマートフォン出荷台数・契約台数

(出所:MM総研)

グラフ6 日本のLTE(3.9G)契約数(単位:万件、出所:総務省)

表4は、携帯電話の世代が進むに連れて、どのような部品の数が増えるのかを見たものです。高級機になるほど、重要部品の装着個数が増えて、新しい部品が装着されることがわかります。

表5は、スマートフォンに装着される主要部品と上位メーカーを列挙したものです。日本メーカー中心に挙げました。

表4 スマートフォンの世代別電子部品装着個数

(出所:村田製作所資料より楽天証券作成)

表5 主なスマートフォン用電子部品の概要と市場シェア(主に日本企業が強い分野)

(出所:会社資料とヒアリングより楽天証券作成)
注:Samsung Electro-Mechanicsは韓国サムスン電子系の電子部品会社。

グラフ7、8は村田製作所の用途別売上高と、2015年3月期の4半期ベース売上高予想です。2014年10-12月期の売上高が当面のピークになると予想されるのは、季節的にスマートフォン向けがピークを形成するからです。表5でわかるように、村田製作所はスマートフォン向け電子部品では世界的な大手ですから、同社が今期をどう見るかはスマートフォン市場を見るうえで重要になります。今は丁度シーズン入りするところだと言えます。

グラフ7 村田製作所の用途別売上高(単位:百万円、出所:会社資料より楽天証券作成)

グラフ8 村田製作所の四半期ベース売上高(単位:億円、出所:2014年3月期決算説明会資料より楽天証券作成)

注目銘柄:

1.スマートフォン端末のメーカー

日本メーカーで世界市場においてスマートフォンを販売している会社はソニーだけです。シャープ、富士通もスマートフォンは生産販売していますが、ほとんどが日本向けです。ソニーのスマートフォン販売台数は2013年3月期3,300万台、2014年3月期3,910万台と伸びており、2015年3月期は5,000万台を計画しています。世界市場ではこの台数でも中堅ですが、後述するようにスマートフォンのエンタテインメント端末としての色彩が強くなるにつれて、映画、音楽、ゲームとエンタテインメント企業としての色が強くなっているソニーがスマートフォンを手掛ける意義は大きくなっています。

2.電子部品メーカー

日本企業でスマートフォン関連といわれる企業が多いのは電子部品の分野です。電圧制御のために電子機器で多用されるチップ積層セラミックコンデンサ、電波を選別するSAWフィルタ、WiFiモジュール、LTE(3.9G)以降のスマートフォンで必須の部品となるデュプレクサなど、重要部品の大手メーカーである村田製作所を筆頭に、高機能コネクタの世界トップであるヒロセ電機、高精細の中小型ディスプレイで上位のジャパンディスプレイ、シャープなどが代表的な企業になります。ソニーもスマートフォンの上位機種に搭載されるカメラ用のイメージセンサでトップの会社です。

また、スマートフォンにはメインメモリにDRAM、記録媒体にフラッシュメモリ(東芝など)が使われますが、スマートフォンの生産台数が年々増加しているため、DRAM、フラッシュメモリの生産量にも大きな影響を与えています。DRAM、フラッシュメモリの設備投資にも影響があります。例えばDRAMの電気特性を調べるためのプローブカードの世界2位のメーカーである日本マイクロニクスの業績も、スマートフォン市場に影響される度合いが大きくなっています。スマートフォンの世界市場が巨大になるにつれ、関連産業の裾野が広がっています。

3.コンテンツ

スマートフォン市場を見るうえで無視できないのが、スマートフォン向けコンテンツ市場です。過去2回ゲーム株を特集しましたので、スマートフォン向けネイティブアプリの市場の大きさと収益力の高さは理解できると思います。ガンホー・オンライン・エンターテイメントは「パズル&ドラゴンズ」だけで、2014年12月期営業利益が1,100~1,200億円になると思われます。営業利益率は50%以上です。ガンホー・オンライン・エンターテイメントだけでなく、コロプラやこの半年で急成長してきたミクシィを見ても、スマートフォン向けゲーム市場の魅力がわかります。

また、映像配信の分野も重要です。エイベックス・グループ・ホールディングスが手掛けている映像配信サービス「dビデオ」(NTTドコモ向け)、「UULA」(ソフトバンク向け)は合わせて552万件(2014年3月末)の加入者を得ています。「dビデオ」は重要な収益源であり、「UULA」は赤字が今期中に解消する見込みです。

ただし、これらのコンテンツビジネスでは、先行した企業が優位に立つ特性もあります。参入企業の全てがうまくいくとは限らないことに注意が必要でしょう。

4.通信会社

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話大手3社が高水準の利益を上げています。スマートフォンの恩恵です。一方、これら3社のユーザーの中には、スマートフォンの料金体系、特に使用可能データ量が1カ月7Gバイトと大きいこと(通常の使い方だとせいぜい1~2Gバイトと言われています)に不満を持つ向きも増えているようです。

そこでニーズが出ているのが、MVNO(仮想移動体通信事業者)、いわゆる格安スマホ業者です。データ量を1カ月1~3Gバイト以下に制限し、かつ、販管費等も節約して料金を安くした事業者です。大手では、日本通信、インターネットイニシアティブ、フリービットなどがあります。電話を入れても月3,000円(端末料金を除く)程度でスマートフォンが持てるのが魅力です。

6~7月からはSIMフリーのLTE端末を日本で売り出す会社(例えばファーウェイなど)が出てくる模様です。MVNOのユーザーは、従来はSIMフリー端末を自分で買って格安SIMカードをその端末に自分で差し込んでセッティングしなければなりませんでした。SIMフリーの特にLTE端末が量販店で普通に販売されるようになると、端末とSIMカードのセット販売も多様になって、格安スマホのSIMカードを使うハードルはこれまでよりも下がると思われます。

また、大手携帯電話会社であれ、MVNOであれ、ゲームや映像配信などの流通による大量の通信トラフィックは、NTTの基幹幹線網を通ります。スマートフォンの普及による通信トラフィック増加の恩恵はNTTも受けることになりそうです。

なお、NTTドコモはLTEへの設備投資を2014年3月期3,878億円から2015年3月期4,650億円に増やす計画です。他社も追随すると思われます。LTE関連の通信機器メーカー、富士通、NECや、計測機メーカー、アンリツやアルチザネットワークスなどに恩恵があると思われます。

スマートフォンは今後どうなるのか:

スマートフォンの未来は二通りあると思われます。一つは「ウェアラブル端末」であり、身につけるスマートフォンです。グーグル、サムスン、ソニーなどが開発しており、製品も出始めています。ポイントの一つは電池です。例えば、日本マイクロニクスが開発中の物理電池のように折り曲げることができて、耐久性もあるような電池が必要になります。

もう一つは、今の形態での機能強化、特にエンタテインメント端末としての機能強化です。

どちらの未来も興味深いものですが、私が関心があるのは、エンタテインメント端末としての機能強化です。今のスマートフォンの多くはCPUがクワッドコア(4コア)になっています。CPUメーカーが新興メーカーに渡す参照設計図(レファレンス)に載っているものがクワッドコアのCPUだからですが、高性能CPUです。これが、4~6年ぐらいで技術的、経済的にプレイステーション4の様な8コア、あるいは、4~8コアのコア数のCPUを搭載することができるようになるかもしれません。要するに、PS4並か、PS3とPS4の中間ぐらいの性能のゲーム機がスマートフォンに仕組まれる可能性があるということです。

また、WiGigのような次世代高速WiFiでスマートフォンとテレビとコントローラーを結べば、据置型ゲーム機の本格的なゲームがスマートフォンでプレイすることができるようになるかもしれません。

このように、スマートフォンのエンタテインメント機としての機能がより一層強化されると、コンテンツ市場にも好影響があると思われます。

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