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日経平均の上値目途とリスク要因
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

日経平均の上値目途とリスク要因

2016/11/25
トランプ相場で堅調が続いてきたドル円と日経平均ですが、上昇ピッチが早かっただけに、利益確定売りによるスピード調整は想定の範囲内と考えられます。
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執筆:香川睦

今日のポイント

  • 株価上昇が急だったこともあり、目先のスピード調整は想定の範囲。ただ、ドル高主導による円安傾向は、想定為替レンジの修正と企業業績の先行き改善見通しを促そう。
  • 日経平均の予想PERは過去3年で14~17倍程度の範囲で推移してきた(現在は15.4倍)。米景況感改善と円安は、新年に向け予想PERを拡大させていく可能性がある。
  • レーガノミクス初年(1981年)に倣えば、トランプ相場のいったんのピークは来年央あたりか。当時の騰落率で試算すると、日経平均の上値目途として2万円超が視野に入る。

(1)米ドルの上昇トレンドが日経平均の堅調を支える

トランプ相場で堅調が続いてきたドル円と日経平均ですが、上昇ピッチが早かっただけに、利益確定売りによるスピード調整は想定の範囲内と考えられます。ただ、ドル円と日米金利差の推移を振り返ると、長期債も短期債も金利差は拡大傾向にあり、昨年8月にドル円が125円をつけた時点より水準を切り上げているのがわかります(図表1)。トランプ次期大統領による大規模減税とインフラ投資を主軸とした景気刺激効果や財政赤字の拡大を巡る思惑や、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利上げ観測などが米債金利(利回り)の上昇を促してきました。一方、日銀はイールドカーブコントロール(長短金利操作付き量的・質的緩和)策の一環として長期債利回りをゼロ%近辺に抑制する動きをみせています。当面の日米金利差が短期でも長期でも拡大トレンドであることに注目したいと思います。

図表1:ドル円相場と日米金利差(2015年7月以降)

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年11月24日)

主要6通貨に対する米ドルの総合的な為替変動を示す米ドル指数(DXY)は今週、2003年以来約13年ぶりとなる高水準となりました(図表2)。円だけでなく、政治・経済面で相対的弱点を抱えるユーロや英ポンドに対し、米ドルが「強い通貨」として復活してきた動きを示しています。米国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は改善基調にあり、12月14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利上げが実施されると、ドルがいったん売られる可能性がありますが、その後は来年以降の追加利上げも意識する動きとなりそうです。

換言すれば、短期的な変動を挟みながら、ドル高が主導する円安傾向が日経平均の堅調持続を支えていくようにみえます。

図表2:米ドル指数(DXY)とドル円の長期推移

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年11月24日)

(2)業績見通しの改善と予想PERの拡大が見込まれる

投資家の関心は、「新年(2017年)も視野に入れた場合、株価に一段の上昇余地はあるのか」に注がれそうです。過去3年程度の日経平均と予想PER(株価収益率)の推移を振り返ると、予想PERは大まかに14倍から17倍のレンジで推移してきたことがわかります(図表3)。直近の日経平均ベースの予想EPS(1株当り利益)は約1,181円で、予想PERは約15.4倍となっています(22日現在/予想EPSはBloombergのデータ)。ただ、米国を中心に世界の景況感が改善を続け、為替の円安が続くなら、日経平均ベースの予想EPSは上方修正されていくと見込まれ、投資環境の改善(不透明感の後退)そのものがPERの拡大を促していくことが期待できます。

実際、2014年初や2015年春ごろに日経平均の予想PERが16倍から17倍まで拡大した実績を踏まえれば、日経平均が新年の上値目途として2万円超((EPS 1,181円+増益率)×16~17倍))を視野に入れる展開となっても不思議ではありません。米大統領選挙前の本レポート(10月28日号「大胆!2017年の日経平均シナリオ」)では、2017年のドル円見通し(中心レンジ)を「105円~115円」(当時の実勢レートは104円台)と想定していましたが、115円を上回る展開となれば、回帰分析から試算できる日経平均の上値目途も2万円超が視野に入ってきます。

図表3:日経平均の予想PER(株価収益率)レンジ

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年11月24日)

(3)レーガノミクス初年に倣う新年の株価波動(参考イメージ)

11月18日付け本レポート「トランプ相場の光と影」で解説させていただいた通り、「トランプノミクス(トランプ次期大統領の経済政策)」は、「レーガノミクス2.0」(11月12日号のBarron’s紙)と称されほど、ロナルド・レーガン大統領(1981年~88年)の経済政策に似ているとされます。そこで参考までに、同大統領就任初年(1981年)の日経平均の軌道を振り返ってみました(図表4)。

当時は、リフレ策期待と財政赤字拡大観測を反映した「米長期金利上昇=ドル円上昇=日経平均上昇」が年央から夏ごろまで確認できました。さらに細かく株価の波動を振り返ると、①1月21日にレーガン大統領が所信表明演説をしたあたりが一つ目の山、②「Sell in May and go away(5月に売れ)」の季節性通りに5月初めが二つ目の山、③ドル円がピークをつけた8月ごろが三つ目の山、④米国株価が景気後退入りを嫌気して大幅調整した(米長期金利が低下してドル円も下落した)9月に日経平均も大幅調整、⑤日経平均は10月に底入れした後、年末に向け戻り歩調を辿った、との形状がみてとれます。

ただ、当時の米国はスタグフレーション(インフレが高進するなかでの景気後退)に見舞われた経緯があり、最近の米経済実勢と異なる点も多いことが知られています。最近の金利水準は、当時より極めて低水準に留まっており、イールドカーブ(債券市場の利回り曲線)の形状は順イールドで、米経済が来年リセッション(景気後退)やスタグフレーション入りする可能性は低いと考えられます。こうした環境下では、米国株は底堅い動きが見込まれ、日経平均を下支えるものと考えられます。

図表4:レーガノミクス初年(1981年)の為替と日経平均推移

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1981年初~1981年末)

(4)潜在的なリスク要因に対する目配りも大切

新年の米長期金利も、トランプ次期大統領の政策期待が続く限り、ドル高を支援する動きとなりそうです。この場合、日米の金利差拡大とドル円の堅調趨勢が見込めます。例えば、前述した1981年の日経平均について、8月高値までの年初来騰落率(約13.5%)をあてはめれば、日経平均の新年の上値目途は2万円超までイメージできます。

しかし、ドル円や日経平均を短期的に下落させるリスク要因にも目配りが必要です。トランプ次期大統領は21日、就任直後100日間で実施する「 行動計画」をまとめたビデオ(2分半)を公開し、TPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱をあらためて表明しました。新政権による貿易、外交、移民政策には不確実性が多く、先行きの動きに予断を許しません。主要閣僚の顔ぶれに加え、選挙中に唱えていた強硬姿勢がどれだけ軌道修正されるのかを見極める必要があります。市場が「期待と現実のギャップ」に直面する場合、堅調を続けてきた米国株やドルはいったん下落。米長期金利は低下し、円が反転上昇する場面もありそうです。その他のリスク要因を整理すれば、①長期金利とドルの上昇が、米国株のバリュエーションや業績見通しの重石となり、株価が反転調整する可能性がある、②新興国市場でドル建て債務拡大懸念が強まり、資金流出を加速させる可能性がある、③11月30日にウィーンで開催されるOPEC(石油輸出国機構)総会で原油減産合意に至らず、WTI先物が大幅下落する、④12月4日にイタリアで実施される国民投票でレンツィー首相が敗北し、退陣に追い込まれてユーロ懸念が再燃する、⑤トランプ次期大統領は貿易赤字に敏感とされており、米国内製造業の輸出への影響を懸念してドル高を警戒する発言や姿勢に出る可能性がある、などを警戒すべきと考えています。

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