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トランプ・ブームいつまで?世界景気は回復するか?
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

トランプ・ブームいつまで?世界景気は回復するか?

2016/11/15
日経平均には、テクニカル分析で見て、強気シグナル【注】が出ています。短期的に下落することはあると思いますが、トレンドは上向きになりつつあると見ています。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • トランプノミクスへの期待だけで、世界の株が上昇しているとは考えていない。トランプ氏当選が伝えられる前から、世界的な景気回復が始まっており、投機筋はリスク・オンに入るタイミングを待っていたと考えている。
  • トランプノミクスによって米景気が押し上げられるのは1年くらいで、2年目以降は、財政の崖が米景気の足かせになると予想している。その場合、トランプノミクスを歓迎して世界の株が上昇するのは、半年程度になると考えている。

(1) 日経平均は上昇トレンドに入りつつあると判断

日経平均には、テクニカル分析で見て、強気シグナル【注】が出ています。短期的に下落することはあると思いますが、トレンドは上向きになりつつあると見ています。

【注】強気シグナル:買いの勢いが強く、中期的に上昇が続く可能性が高いと読める状態にあること。ただし、チャートのシグナルは必ず当たるとは限りません。想定外の悪材料が出て下落することもあり得ます。

世界経済の破壊者と見られていたトランプ次期大統領が、米景気を過熱させかねないほど強力な景気対策を打つ方針とわかり、日本および世界の株式市場に一気に買いが波及しました。

世界経済の体温は急に上昇しています。世界的に長期金利が上昇、株が上昇しました。また、為替市場ではドルが全面高となり、コモディティ市場では銅やニッケル・亜鉛など非鉄価格が急上昇しています。

(2)トランプノミクスへの期待だけで株が上昇しているわけではない

トランプノミクス(トランプ次期大統領が実施すると表明している経済政策)への期待だけで世界中の株が上がっているならば、きわめて危うい上昇と言わざるを得ません。

私は、トランプ氏への期待だけで、世界経済の体温が上がっているとは考えていません。トランプ氏の当選がわかる前から、日本および世界景気に回復の兆しが増えていました。それを見て、世界中の投機マネーは、リスク・オンに転じるきっかけを待っていたと思います。

そこにトランプ氏の経済政策が伝わり、世界景気回復が加速する期待が広がり、投機筋が一斉にリスク・オンに走ったわけです。トランプ氏の当選がリスク・オンへのきっかけになったと考えています。トランプ氏が当選しなくても、世界景気は徐々に回復に向かい、投資家は徐々にリスク・オンに向かっていったと思います。

(3)何が世界景気を回復させているのか?

一番大きいのは、原油など資源が急落したショックから世界経済が立ち直り、逆に、資源が下がった恩恵が世界経済に広がっている効果です。世界全体を見渡すと、資源国や資源関連産業が、資源安ショックから立ち直りつつあります。それに加え、資源安の恩恵が資源消費国の景気に好影響を与える要因となっています。

二番目に効果が大きいのは、中国景気の持ち直しです。今年に入ってから、中国景気の回復が続いています。消費が好調であることに加え、今年は社会インフラ整備のための公共投資を中国政府が拡大しているようです。

中国でビジネスを行う日本企業の9月中間決算説明会では、足元中国で需要が回復してきているとの話が聞かれました。

ところで、①資源が急落した直後に世界景気が「逆原油安ショック」で悪化すること、②1-2年のタイムラグを置いて世界経済が資源安メリットからブームを迎えること、は過去にも経験しています。1980年代にもありました。1980年代は、オイルショックの反動で、原油価格が急落しました。1987年の世界経済は、逆原油安ショックによる悪化が続いていました。ところが、1988年以降、世界景気は原油安メリットでブームを迎えました。

(4)日本の景気・企業業績にも回復の兆し

日本の景気・企業業績にも、足元底入れの兆しが出ています。急激な円高が進んだ割には日本企業の業績は堅調です。今期(2017年3月期)の上場企業の最終利益(連結純利益)は、11月13日の日本経済新聞の集計によると、会社予想ベースで7%の増益となる見込みです。

前期(2016年3月期)は、資源安ショックが日本の企業業績を大きく押し下げました。今期は、円高が大きな減益要因となる中、日本企業が資源安ショックから立ち直り、さらに資源安メリットを享受できるようになったことが、大きな増益要因となっています。

14日、総務省が発表した7-9月のGDPは前期比年率で2.2%の上昇でした。内需が停滞する中、外需がGDP押し上げに貢献しました。円高が逆風となっていますが、原油価格の下落、及び、中国や米国の景気持ち直しが、外需回復に貢献しています。

日本のGDP成長率(前期比年率)推移:2012年1-3月期―2016年7-9月期(速報)

(出所:総務省データより作成、ミニ景気後退の判断は楽天証券経済研究所)

(4)トランプ・ブームが終わるのは、いつか?

景気は循環するものです。不況も好況も、いつまでも続くものではありません。2008年のリーマンショック以降、世界景気は回復しても短命で、いつまでも霧が晴れない状況(停滞)が長引いていました。今、ようやく世界景気は回復期に入りつつあると思います。資源安の恩恵が世界中に広がりつつあると思っています。

ただし、気になることもあります。足元の世界景気の見通しを急に改善させているものに、人為的な効果も含まれていることです。中国と米国が、財政出動によって景気を押し上げようとしていることです。

財政出動は、短期的に景気を押し上げるのに効果的です。世界でGDPトップの米国と、二位の中国がともに財政を出動すれば、世界景気の改善に効果があるでしょう。

ただし、財政出動はいつまでも使い続けることができない薬物でもあります。特に大規模財政出動は、長くは続けられません。最初の年は、GDP押し上げ要因となりますが、2年目以降には、前年と同規模の財政出動をやってもGDPを拡大させる効果は得られなくなります。2年目以降、少しでも財政出動額を減らせば、それは「財政の崖(ガケ)」となって、GDPを減少させる要因となります。

米景気を強くする財政出動に走るトランプ氏を礼賛する言葉は、長ければ1年間続くことになるでしょう。ただし、2年目以降は、財政を悪化させ、財政の崖をつくった大統領として、非難されることになるでしょう。

それでは、トランプ・ブームに浮かれて、上昇している日本株は今、売るべきでしょうか?私は、そうは思いません。中期的な上昇が始まっていると予想しているからです。

中期的とはどのくらいの長さでしょうか?私は、とりあえず、半年程度をイメージしています。1年間トランプ効果で世界景気が押し上げられるとして、相場はそれを早めに織り込みます。実際にトランプノミクスが始まるのは、まだ先ですが、株式相場は、もうそれを織り込みにかかっています。

トランプ・ブームの終焉も、相場は早めに織り込みにいくでしょう。仮にトランプ効果による景気押し上げが終わるのが1年後とすると、その半年くらい前に、相場はブームの終焉を迎えると思います。そう考えると、今から半年くらい、株式市場でトランプ大統領を歓迎する相場が続きますが、半年で好材料の織り込みが終わることになります。

トランプ相場がもっと短命としたら、いつで終わるでしょう?大統領に就任する来年1月は、1つのハードルとなるでしょう。トランプ次期大統領への期待で相場が上昇しやすいのは、大統領になる前です。そこで株があまりに大きく上昇すると、それで、好材料の織り込みが終わってしまうことも考えられます。実際に大統領になれば、利益確定売りが増えるでしょう。

細かい相場の流れは、その時々の相場環境や材料を見ながら、本レポートで継続して報告していきます。中期的に上昇トレンドに入っているとしても、短期的にトランプ氏の暴言復活で急落することは、当然あるでしょう。荒い値動きが続く可能性があります。

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