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好配当利回りの金融株を見直し
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

好配当利回りの金融株を見直し

2016/10/17
銀行株は、マイナス金利の影響で収益がダメージを受けることから、日銀がマイナス金利を導入した1月以降、株価が大きく下落しました。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 大手銀行株には、配当利回り・PER・PBRなどの株価指標で見てきわめて割安な銘柄が多い。マイナス金利が収益に悪影響を与えることが懸念されている。3メガ銀行は、収益の多角化が進んでいるので今期も6,000~8,000億円の純利益をあげられる見込みであり、株価は売られ過ぎと考える。
  • 大手損保にも、割安な銘柄がある。自動車保険の収益改善、海外展開が進んでいると考えると、3メガ銀行と同様に、投資魅力は高いと考える。

(1)割安な日本の大手銀行株に注目

銀行株は、マイナス金利の影響で収益がダメージを受けることから、日銀がマイナス金利を導入した1月以降、株価が大きく下落しました。その結果、配当利回り、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)から見て割安度がきわだっている銘柄が多くなっています。

大手銀行の予想配当利回り・PER・PBR:2016年10月14日

コード 銘柄名 配当利回り PER:倍 PBR:倍
8306 三菱UFJ FG 3.5% 8 0.45
8316 三井住友 FG 4.4% 7 0.52
8411 みずほFG 4.5% 7 0.52
7182 ゆうちょ銀行 4.2% 15 0.38

(注:楽天証券経済研究所が作成)

まずは、予想配当利回り(会社が発表している1株当たり年間予想配当金を、10月14日の株価で割って算出)を、見てください。3.5%~4.5%に達しています。マイナス金利時代に、魅力的な配当利回りといえます。

次に予想PER(10月14日の株価を、会社が発表している今期の1株当たり予想利益によって割ったもの)を見てください。3メガ銀行は7-8倍です。東証一部の平均PERが現在約15倍であることを考えると、大手銀行株がPERで見てとても割安であることもわかります。

最後に、PBR(10月14日の株価を、1株当たり純資産で割ったもの)を見てください。3メガ銀行で約0.5倍です。解散価値を大幅に下回るバリュエーションです。

参考:PBR0.5倍のイメージ図

(出所:筆者作成)

PBR1倍割れは、解散価値割れと言われます。会社の株式時価総額が、会社の純資産(総資産から総負債をひいたもの)よりも小さくなることを意味するからです。倒産が懸念される銘柄は、PBR1倍を大きく割れるまで売り込まれることがあります。

大手銀行株が、PBR0.4-0.5倍まで売り込まれるのは、1990年代の後半以来です。日本の銀行が深刻な不良債権に苦しみ、大手銀行が次々と破綻あるいは合併していった時には、大手銀行株でもPBR0.5倍まで売られました。

今、日本の銀行の財務内容は、強固となりました。収益力も高水準で安定しています。マイナス金利の不安だけで、PBR0.5倍まで売られるのは、行き過ぎだと思います。

(2)マイナス金利が与えるダメージは、ゆうちょ銀行の方が大きい

大手銀行の純利益、前期実績と今期予想

(単位:億円)

コード 銘柄名 2016年3月期 2017年3月期予想
8306 三菱UFJ FG 9,514 8,500
8316 三井住友 FG 6,467 7,000
8411 みずほFG 6,709 6,000
7182 ゆうちょ銀行 3,251 3,000

(出所:各銀行の決算資料、2017年3月期は、三菱UFJ FGは会社目標、他は会社予想)

3メガ銀行(三菱UFJ FG、三井住友FG・みずほFG)は、収益の多角化が進んでおり、マイナス金利のダメージがあっても当面、高収益を維持できると考えています。今期も3メガ銀行は、純利益で、6,000~8,000億円の利益を稼ぐ力があることを考えると、解散価値を大幅に下回るレベルまで売り込まれた今の株価は売られ過ぎと考えています。

ただし、ゆうちょ銀行は現時点で、収益のほとんどすべてを国債運用益に依存しており、収益の多角化が遅れていますので、3メガ銀行と比べると、投資魅力は低いと思います。ゆうちょ銀行はこれから経営の多角化を進めます。

ただし、ゆうちょ銀行の経営多角化の足かせとなるのが、政府(親会社日本郵政)の保有比率の高さです。全国に広がる郵便局のネットワークを活用し、次々と新規ビジネスに参入すれば、有望ですが、今すぐはできません。今、新規ビジネスをどんどん始めれば、政府信用を利用した民業圧迫と言われるからです。

ゆうちょ銀行は、政府保有株を引き下げながら、少しずつ事業領域を拡大していかざるを得ません。多角化の進行が遅れれば、国債利回りが大幅に低下し、国債運用益が急速に減っていくのをカバーするのが難しくなる可能性があります。

日本の3メガバンクは、多角化が進んでおり、特に以下2分野は、将来の拡大が期待されます。

  • 海外事業を拡大:アジアの地場銀行への買収・出資を積極化して、利ザヤが国内よりも厚い海外で事業拡大をはかっています。
  • ノンバンク業務を拡大:証券・信託・リース・消費者金融などノンバンク業務を拡大し、ユニバーサルバンクとして成長を目指しています。消費者金融業務は、ようやく過払い利息の返還請求がピークアウトして、利益が回復する局面に入りつつあると考えています。

(3)不良債権問題に苦しむ欧州の銀行に対して、日本のメガ銀行が競争優位に

欧州の銀行は、今、深刻な不良債権問題で苦しんでいます。そのため、海外の資産など売却し、資産圧縮をはからなければならなくなっています。その姿は、不良債権問題に苦しんだ1990年代の日本の銀行を思い起こさせます。日本の銀行は、1990年代に、海外事業を縮小せざるを得ませんでした。それは、国内で不良債権問題をかかえていたからです。

今は、立場が逆転しています。日本の銀行は、欧米やアジアで業務を拡大するとき、財務内容で優位にたっていることが、業務拡大に優位に働きます。

(4)海外展開が進む大手損保も投資魅力が高いと考える

金融株全体に、マイナス金利の影響を受けて、株価が売られ、割安になっています。損害保険株も、マイナス金利が直接業績に与える悪影響がさほど大きくないにもかかわらず、配当利回り・PER・PBRなどの株価指標でみて、きわめて割安な株価に放置されています。

長年にわたり低収益が続いてきた自動車保険の収益改善が進んでいること、海外展開が進みつつあることを考慮すると、大手損保も、今の株価は割安と考えます。

大手損保の予想配当利回り・PER・PBR:2016年10月14日

コード 銘柄名 配当利回り PER:倍 PBR:倍
8766 東京海上HLDG 3.3% 11 0.87
8725 MS&ADインシュアランスHD 3.4% 10 0.66

(注:楽天証券経済研究所が作成)

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