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消費に停滞感が出ているが、それでも元気な小売業
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

消費に停滞感が出ているが、それでも元気な小売業

2016/10/5
①小売業の時価総額上位25社のうち、18社が今期最高益を更新予想。 ②消費に停滞感が出ている。百貨店は、インバウンド需要の減少と高額品の販売低下で、業績が悪化。 ③アジアで販売を拡大する小売株やネット販売で成長する小売株の最高益更新続く。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 小売業の時価総額上位25社のうち、18社が今期最高益を更新予想。
  • 消費に停滞感が出ている。百貨店は、インバウンド需要の減少と高額品の販売低下で、業績が悪化。
  • アジアで販売を拡大する小売株やネット販売で成長する小売株の最高益更新続く。

(1)小売大手には、最高益更新中の銘柄が多い

少子化が進む日本では小売業は衰退産業というイメージがあるが、意外にも、日本の小売業大手には、安定的に最高益を更新している企業が多数あります。小売業の時価総額上位25社で見ると、実に18社が今期最高益を更新する予想です。

小売業時価総額上位25社の連結経常利益:前期実績と今期予想、今期最高益更新の有無

(金額単位:億円)

(出所:今期経常利益は会社予想。今期とは、2月期決算企業では2017年2月期、3月期決算企業では2017年3月期、5月期決算企業では2017年5月期、6月期決算企業では2017年6月期、8月期決算企業では2016年8月期、12月期決算企業では2016年12月期を指す。楽天証券経済研究所が作成)

上の表は、経常利益で最高益更新を予想する企業を示しています。セブン&アイは、国内外のコンビニが好調で経常最高益を予想しますが、国内で百貨店・スーパーの閉店を増やすことに伴い特別損失が出るために、今期の連結純利益は前年比▲50%と、大幅に減る予想となっています。

この表で注目していただきたいのは、最高益更新の有無と予想配当利回りです。予想配当利回りは、会社が予想する今期の一株当たり配当金を、10月4日の株価で割って計算しています。

最高益更新企業には、安定的に株価が上昇している企業が多いので、配当利回りは相対的に低くなっています。一方、最高益を更新していない企業は、株価が低迷しているために、配当利回りが高くなっている企業が多くなっています。

(2)小売業は、昔は景気敏感セクター、今はディフェンシブセクターに

私が日本株ファンドマネージャーになった1987年には、小売業の時価総額上位には、百貨店がずらりと並んでいました。百貨店は、高額品の販売比率が高く、景気変動の影響を受け易いので、当時小売業は「景気敏感セクター」というイメージを持っていました。

ところが、今は百貨店は小売業の時価総額上位からほとんど消えました。時価総額上位25位以内に入っているのは、三越伊勢丹と丸井だけです。代わって、日用品を販売するコンビニやカジュアル衣料品店などが時価総額上位を占めるようになりました。

景気変動の影響を受けにくい日用品や食品を売る小売業が上位を占めるようになったことから、現在、小売業は景気敏感セクターではなく、ディフェンシブ(景気変動の影響を受けにくい)セクターと見なされるようになりました。安定的に最高益を更新していく小売株は、投資対象として魅力的です。

(3)今年は消費が停滞、インバウンド需要の減少も逆風

今年は消費の勢いが落ちてきていることに注意が必要です。昨年まで好調だった高額品の販売は下火になり、代わって低価格品の売上げが伸びています。不況時に好調な100円ショップや安売り店に勢いが出ています。外食業でも、客単価の低い業態に客が流れる傾向が出ています。

天候要因にも、注意が必要です。猛暑で、夏物消費は比較的好調でしたが、9月は大型台風が多かったために、小売業全般に売上げが大きく落ちている模様です。

円高が日本企業の業績を圧迫する要因となっていますが、大手小売業は、海外で生産した製品を日本に輸入して販売するケースが多く、円高はメリットとなります。ただし、円高でインバウンド(来日外国人観光客の買い物)需要が減少していますので、インバウンド需要で大きな恩恵を受けてきた小売企業には、注意を要します。

百貨店は、インバウンド需要減少と、高額品消費不振の2つの逆風を受けているので、当面、投資を避けた方がいいと思います。

(4)最高益を更新中の小売企業のビジネスモデル

少子化が進む日本で、大手小売業が最高益を更新できるのはなぜでしょうか?最高益を更新する大手小売業には、以下のような特色があることがわかります。

  • 製造小売業として成長

    利益率の低いナショナルブランド品の販売を減らし、自社で開発したプライベート・ブランド品を増やすことで競争力を高め、売上・利益を拡大させてきました。自社ブランド品について、商品開発から生産・在庫管理までやるので「製造小売業」とも言われます。家具のニトリ、雑貨の良品計画、ドンキホーテや、コンビニ(セブン&アイ、ローソン、ファミリーマート)はこの取り組みが進んでいます。百貨店・家電量販店はこの取り組みが遅れています。

  • 海外で成長

    内需株であった小売業が、近年はアジアや欧米で売上を拡大し始めています。日本で強いビジネスモデルが、そのまま海外で通用するケースもあります。良品計画、セブン&アイなどは海外での売上拡大が軌道に乗ってきました。

  • ネット販売で成長

    ネット販売が本格成長期を迎えています。スタートトゥデイ、MonotaROなどがネット小売業の成長企業となっています。大手スーパーや百貨店でも最近ネット販売を強化するところが増えていますが、今のところ配送コストが高過ぎて利益を確保するメドがたっていません。

(5)インバウンド需要で稼いできた企業には要注意

急激な円高の影響を受けて、訪日外国人観光客数の伸び率が鈍化しています。訪日外国人の数が減少に転じたわけではありませんが、高額品の買い物は減っています。外国人の爆買いで恩恵を受けていたインバウンド関連株には要注意です。百貨店や家電量販店には、インバウンド需要落ち込みの逆風が強くなりつつあります。

一方、食料品・医薬品・化粧品など安価な日用品を購入していくインバウンド需要は、大きくは落ち込んでいません。同じインバウンド関連株でも、日用品を扱う業態の方が、マイナス影響は小さくなっています。

訪日外国人数の月次推移:2011年1月―2016年8月

(出所:日本政府観光局(JNTO))

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