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1ドル100円ならば今期最終利益は小幅増益と予想
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

1ドル100円ならば今期最終利益は小幅増益と予想

2016/10/4
① 日本株の投資リスクがたくさんある状況は変わらないが、個々のリスクへの投資家の恐怖心は低下する局面に入っていると考えている。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 日本株の投資リスクがたくさんある状況は変わらないが、個々のリスクへの投資家の恐怖心は低下する局面に入っていると考えている。
  • 1ドル100円に対する恐怖は低下。1ドル100円ならば、今期(2017年3月期)主要1377社の連結経常利益は一桁減益となるが、最終利益(連結純利益)は小幅増益を維持できる見込み。
  • 1ドル95円に向けてさらなる円高が進むリスクには警戒が必要。日米金融政策が鍵。年内に米FRBが利上げできないと見られると、1ドル100円を割れる円高が進むリスクが高まる。

(1) 日本株投資にとってのリスク材料は多いが、リスクへの恐怖は少しずつ低下

今の相場環境を一言で表すと「リスクへの恐怖が低下する局面」と言えると思います。今年は、1月から悪材料が次々と出て、日本および世界の株式は急落しました。ただし、その後、世界の株式は大きく反発しました。リスクは今でも継続していますが、個々のリスクに対する投資家の恐怖心が少しずつ低下してきていると思います。

たとえば、ブレグジット(英国のEU離脱)。6月の英国民投票で、英国民はEU離脱を選択しました。国民投票の直前には、「ブレグジットが可決されるとリーマンショック並みの世界危機が起こる」と言われました。実際、6月24日にブレグジット可決が伝えられた直後には、世界の株が同時に急落しました。

ところが、今になって振り返ると、「ブレグジット可決でリーマン並みの危機が起こる」は明らかに誇張でした。ブレグジットの恐怖を過大に伝えて、英国民にブレグジット賛成に投票するのを思いとどまらせようとした政治的メッセージだったと思います。

ブレグジットが実現するのは、英国がEUに離脱を通告してから、最低でも2年以上、先です。英国は、まだEUに、EU離脱の通告すらしていません。英国の離脱が、英国・EU双方にとって、なるべくダメージの小さいものになるよう、これから話し合いを始めるところです。

(2)リスク材料テンコ盛りの状況は変わっていない

今でも、リスク材料が多い状況は、変わっていません。ただ、投資家は、個々のリスクに対して、パニックにならず、冷静に影響を見極める姿勢に変わってきています。

以下に、今年前半の日本株を急落させた恐怖要因を羅列します。

  • 円高への恐怖
  • 資源バブル崩壊への恐怖
  • 米景気失速への恐怖
  • 中国景気失速への恐怖
  • ドイツ銀など欧州銀行の信用不安への恐怖
  • ブレグジット(英国のEU離脱)への恐怖
  • ドナルド・トランプ大統領登場への恐怖
  • 中国の海洋進出・北朝鮮の暴走・ISテロの広がりへの恐怖

(3)1ドル100円に対する恐怖は低下

①~⑦の中で、日本株に一番大きな影響を与えたのは、円高への恐怖です。昨年度(2016年3月期)の平均為替レートは、1ドル120.04円でした。一気に20円近く円高が進んだ今年度(2017年3月期)は、円高が企業業績の大きな減益要因となっています。

1ドル110円まで円高が進んだ時、「1ドル100円まで円高が進んだら、企業業績はぼろぼろになって日経平均は13,000円まで下がる」との予想も出ていました。ところが、今は、1ドル100円程度ならば、日本の企業業績(全産業ベース)は大幅減益にならないで済むと考えられています。

東証一部上場3月期決算主要1377社の今期(2017年3月期)業績(会社予想)

  7月25日時点 8月24日時点 9月30日時点
連結経常利益(前年比) ▲ 1.3% ▲ 2.4% ▲ 2.6%
連結純利益(前年比) + 8.3% + 7.2% + 7.0%

(注:楽天証券経済研究所が作成)

上記の表から、今期の企業業績予想の推移を見てください。時間とともに、少しずつ業績が下方修正されています。これから始まる9月中間決算の発表時に、さらに下方修正されるでしょう。今期の業績前提をまだ1ドル105~110円としている企業が多いからです。1ドル100~105円を前提に今期業績を計算し直すと、業績見通しを下方修正しなくてはならない企業が増えると思います。

ただし、下方修正後でも、今期(全産業ベース)連結経常利益は一桁の減益に留まり、連結純利益(最終利益)は増益を維持できると予想しています。

1ドル100円近くまで円高が進んだ割りには企業業績は堅調と言えます。円高が減益要因となる一方、資源価格下落の恩恵が増益要因として効いてきます。前期(2016年3月期)は、資源価格急落ショックで日本企業の業績は悪化しました。今回は、資源価格が持ち直したことで、急落ショックによる特別損失が無くなることに加え、原料価格の低下が日本の企業業績を押し上げます。

個別企業ではネガティブ・サプライズ(悪くて驚き)となる大幅下方修正もあると思いますが、全産業ベースでは大幅な下方修正とはならないと予想しています。詳しくは、9月中間決算の発表が始まってから報告します。

(4)1ドル95円になると厳しい

1ドル100円に対する恐怖は低下しつつあると思いますが、1ドル95円の円高までは織り込んでいないと思います。為替市場では、1ドル100円までで円高が終わるか、予断を許さない状況です。

鍵を握るのは、日米金融政策です。米国FRBが年内に利上げし、日銀が追加金融緩和するならば、円安への転換が見込めます。ところが、米国FRBが年内利上げできず、日銀は追加緩和できない可能性もあります。その場合、1ドル100円を割れる円高が進む可能性もあります。

私は、12月に米利上げが実現するものの、日銀は追加緩和できないと見ています。日銀は、国債の買い入れ額を減額する可能性も示唆し始めており、量的緩和の出口を模索しているとの見方が広がる可能性すらあります。日銀の量的緩和が限界との見方が広がれば、円高要因となります。

私は、米利上げが12月に実現すれば、日米の短期金利差が拡大するので、日銀の量的緩和は限界との見方が広がっても、円高圧力は低下に向かうと予想しています。

(5)米大統領選も要警戒

今日、挙げたリスク要因の中で、もう1つ気になるのが、11月の米大統領選です。反資本主義、反グローバル主義の過激発言を繰り返すドナルド・トランプ氏が大統領になれば、世界の株はショック安となる可能性もあります。

現時点で、ヒラリー・クリントン氏が大統領になる可能性が高いと考えられますが、そう決め付けることはできません。今後の、クリントン・トランプ両候補の支持率の推移を注意して見ていく必要があります。

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