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日銀追加緩和なし・米利上げなしで円高進行
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

日銀追加緩和なし・米利上げなしで円高進行

2016/9/23
日銀は今回、追加緩和をしなかった。内容をよく見ると「やや引き締め」の色が出ている。「10年金利をゼロ%程度に維持」の日銀発表を受けて、21日は銀行株が大幅高。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 日銀は今回、追加緩和をしなかった。内容をよく見ると「やや引き締め」の色が出ている。「10年金利をゼロ%程度に維持」の日銀発表を受けて、21日は銀行株が大幅高。
  • 米FRBは今回、利上げをしなかった。これは事前の市場予想通り。年内利上げの思惑は残るが、来年以降の米金利の先高感は低下。
  • 日銀追加緩和なし・米利上げなしを受け、円高進行。22日には一時1ドル100.09円つける。

(1)21日の日銀発表には、やや引き締め色が出ている。

今回は、量的緩和の拡大も、マイナス金利の深堀りもありませんでした。その代わり、以下3点が発表されました。

イールドカーブ・コントロール

日銀は、10年長期金利がゼロ%程度になるように、長期国債の買い付けを調整すると発表しました。具体的には、10年以上の国債の買い付けを減らし、残存10年未満の国債の買い付けを増やすことになります。中短期金利は引き下げるが、10年以上の金利はプラス圏に置くことを目指すものです。

10年以上の超長期金利の引き上げを目指すのは、実質的に、金融引き締めの性格を持ちます。

年80兆円の債券保有高増加は、目標ではなく、メドに格下げ

これまで、債券保有高を毎年80兆円増やすように債券買い付けることを、日銀は目標としてきましたが、今回80兆円はメドに格下げしました。ここに、将来、債券買い付け額を減らすかもしれない伏線があると考えます。

日銀は、イールドカーブ・コントロールにより、10年以上の国債の価格を吊り上げて買い取ることができなくなります。10年国債を買いにくくなる分、残存10年以下の国債を買い増ししなければならなくなります。日銀の大量買い付けで国債市場の流動性は著しく低下してきており、いずれ年80兆円の残高増加【注】を実現できなくなる可能性があります。

玉不足で債券が買えなくなる時に備え、80兆円を目標からメドに格下げした可能性があります。

【注】日銀は、債券の保有高が毎年80兆円増えるように債券を買い付けることを目標としてきました。そうするためには、実際の買い付け額は、80兆円を超えます。保有する国債が償還を迎えると、保有高が減少します。償還を迎えた分も、買い付けしないと保有残高は増えません。日銀は、80兆円+「保有国債の償還を迎える分」だけ、債券を買い付ける必要があります。

オーバーシュート型コミットメント

2%の物価目標が達成されても即座に金融緩和をやめず、安定的に2%以上が維持できるまで続けるとしました。これは、いつか来る日銀金融政策の出口への不安の払拭を狙ったものと考えられます。さらに、いつも通りですが、さらなる量的緩和の拡大も、マイナス金利の深堀りも、選択肢として温存しているとしています。

日銀は、今回、量・質・金利の追加緩和は行いませんでした。むしろ、やや引き締め色を出しています。10年以上の金利引き上げを狙い、債券保有高を年80兆円増やす量的緩和を目標から「メド」に格下げしたところに、引き締め色が出ています。

引き締めととられると円高が進むリスクがあることから、あえてオーバーシュート型コミットメントを新規に導入して、金融緩和の出口の議論が出ることを封じ込めようとしたものと考えられます。

(2)21日は銀行株が大幅高

大手銀行株が21日急騰しました。これには、3つの理由があります。

日銀が10年もの国債金利が概ねゼロ%で推移するようにコントロールすると発表

10年金利までマイナスになったことによって収益悪化懸念が出て売られていた銀行株が、買い戻されるきっかけとなった。

マイナス金利の深堀りがなかった

黒田日銀総裁は、事前に、「追加緩和はマイナス金利の深堀りが軸になる」と発言していました。この発言を受け、マイナス金利が深堀りされると警戒が広がり、銀行株は売られていました。

ところが、実際には、マイナス金利の深堀りは発表されませんでした。逆に、10年金利をゼロ%にすると銀行株にとって好材料を出しました。ネガティブ材料を市場に予想させておいて、逆にプラス材料を出し、銀行株にサプライズの急騰を演出したといえます。日銀の情報開示は改善してきましたが、まだサプライズ型の発表を好むやり方は残っていました。

日経平均型にかたよっていたETF買い付けを改め、TOPIX型を増やす

大手銀行株は、日経平均の構成比が低いが、TOPIXの構成比が高いことで知られます。日銀がTOPIX型ETFの買い付けを増やすとの発表は、大手銀行株にとって、需給面で買いを増やす効果があります。

(3)米FOMC(金融政策決定会合)は利上げなし 円高は続くか?

21日は、日本と米国の金融政策決定会合の結果が、両方発表されました。8月の米景気指標がさえなかったことから、事前の市場予想通り、米利上げはありませんでした。

ただし、年内利上げの見通しは維持されています。大統領選直前になる11月1・2日のFOMCでの利上げは難しいと考えられます。12月13・14日のFOMCで利上げが行われる可能性が高いと考えています。

日米の金融政策が無事発表されたことで、市場には一旦、安堵感が出ています。ただ、日銀追加緩和なし、米利上げなしを受けて、円高が進んでいることには警戒が必要です。

米利上げが年内確実と見られるようになれば、円高圧力は止まると予想していますが、そうなるまでは、警戒が必要です。日銀の9月の施策が、引き締めと解釈されれば、円高要因となる可能性があります。短期金利が一段と低下するのか、長期金利は上昇するのか、金利の動きをしっかり見ていく必要があります。

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