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2つの顔を持つ中国
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

2つの顔を持つ中国

2016/9/7
6日の日経平均は44円高の17,081円でした。
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執筆:窪田真之

6日の日経平均は44円高の17,081円でした。9月21日に日銀金融政策決定会合、22日にFOMC(米金融政策決定会合)の結果発表を控え、小動きとなりました。日米金融政策がどう動くか、あるいは動かないか、それを受けて為替がどう動くか、注目されています。

6日海外市場では、円高が進みました。この日発表の、8月の米ISM非製造業景況指数が51.4と、事前予想以上に低下したことから、9月の米利上げは難しいとの見方が広がり、円高となりました。9月7日の日本時間午前6時現在、1ドル101.99円となっています。円高を嫌気して、6日のCME日経平均先物(9月限)は、16,945円となりました。

読者の皆様から「中国バブルはいつ崩壊するか?」という質問をよく受けます。今日は、中国経済について、考えていることを書きます。

(1)上海株はようやく落ち着いた値動きとなってきている

上海総合株価指数の推移:2013年末~2016年9月6日

2015年は、上海株の乱高下が、世界の金融市場のかく乱要因となりました。上海株が急落していた2015年6月―2016年1月末まで、中国バブル崩壊懸念が、世界の金融市場にとって重大なリスク材料として意識されました。2016年2月以降は、落ち着いた動きとなっています。最近は、値動きが小さく、世界の金融市場を動かす材料とはなっていません。

上海株市場は、中国政府によって人為的に操作されていることにより、動きが荒くなりました。上海総合株価指数の動きが、必ずしも中国経済の実態を表しているわけではありません。

2014年9月―2015年7月に上海株は急騰していますが、中国経済の実態をあらわしていません。中国政府が上海株の吊り上げをねらって、市場操作を行ったことが影響しています。2015年に入ってから中国経済に失速の兆しが出ていましたから、2015年の前半は、経済実態と正反対の株価急騰となっていました。

2015年後半は、上海株が急落しています。これには、2つの意味があります。人為的に吊り上げられて株式市場が、反動で急落した面と、中国経済が、2015年末にかけて失速したこと、両方を表した動きとなっています。

2015年末の経済悪化を嫌気して、2016年1月に上海株はさらに急落しました。2016年1月は上海株ショックが、世界的な株安のきっかけとなりました。

ところが、上海株はその後、持ち直しました。一段と悪化すると懸念された中国経済が、意外にも2016年に入ってから、持ち直してきたからです。中国政府が、社会不安を起こさないように、公共投資を増加させているとの観測があります。足元の中国景気は、鈍いながらも、徐々に回復色が出てきているところです。

昨年10-12月に悪化した日本企業の中国事業も、2016年に入ってから、回復しつつあります。

(2)中国経済の何が問題か?

中国は、1980年代に社会主義国の体制を維持したまま、資本主義革命を実施しました。その成果で、1980年代以降、高成長国となりました。社会主義に留まった国々(旧ソ連・旧東ドイツ・北朝鮮など)がことごとく経済的に崩壊する中で、中国は社会主義体制の中にうまく資本主義を採りいれて、事実上の資本主義国として高成長しました。

その結果、中国は、極端な資本主義と、社会主義が共存する異形の大国となりました。社会主義の旧弊は、「計画経済」という言葉に集約されます。何でも国の計画通りに動かそうとするところに、無理が生じています。

中国は、経済を力ずくで思い通りに動かそうとします。これだけ経済規模が大きくなったのに、いまだに金利や為替を自由化していません。為替取引も制約されています。日本企業は、中国で稼いだお金を中国国外へ自由に持ち出すことができません。貿易や為替取引を規制することによって、中国政府は人民元の対ドルレートを管理下に置いてきました。

中国はGDPまでも計画通りに動かそうとします。リーマン・ショックの直後、4兆元(約78兆円)の公共投資を実施して、強引にGDP目標を達成しました。ただし、この時に行った非効率な投資の後処理に、中国は今でも苦しんでいます。地方に林立するゴーストタウン(ほとんど誰も住んでいない高層マンション群)が負の遺産として残っています。

今は、GDPを急激に持ち上げるのではなく、安定的に成長させることを目指して、公共投資をコントロールしている模様です。

(3)2つの顔を持つ中国

  • 投資バブルが崩壊しつつある中でも消費は好調、二極化する中国経済

    中国GDPの大まかな構成を言うと、約半分が消費、残り半分が投資です。大衆層の賃金レベルが上がってきた効果で、消費は安定的に拡大しています。円高の進行によって、日本に来る中国人観光客の爆買いは鎮静化しましたが、それでも、来日する中国人観光客数の増加は続いています。

    ところが、地方政府や国営企業が無理に積み上げてきた非効率な投資は、調整が避けられません。需要がないにもかかわらず大量に作ってしまった高層マンション群、需給悪化を無視して増設した製鉄所などは、調整が必至です。

    中国経済は、2つの顔を持ちます。消費は安定的に高成長が続きます。ところが、投資バブルは崩壊寸前です。

  • 国営企業は構造問題を抱えるが、民間企業は強い

    別の切り口でも、中国経済には、2つの顔があります。非効率経営の国営企業には、ゾンビ企業が多数あります。こうしたゾンビ企業の存在が、中国経済の隠れた不良資産となっています。

    一方で、活力ある民間企業が、世界の成長市場を次々と支配していくという実態もあります。太陽電池の世界トップ企業は、日本・ドイツ・アメリカと変遷してきましたが、今は、中国企業が完全に世界を支配しています。ケータイ電話も、米アップルや韓国サムソン電子にやや翳りが見える中、中国企業が世界トップの地位を固めています。ドローンの製造でも、今や中国がトップに踊りでています。今、中国企業は、電気自動車向けの電池への投資をどんどん拡大しています。やり方は不器用で乱暴に見えますが、後から振り返ると、世界の成長市場を乱暴に奪い続ける力を持っているのも、中国の一面です。

  • 中国の内陸バブルは崩壊、沿岸部は堅調

    中国経済について、さらに別の切り口でも、2つの顔があります。中国経済は、経済発展が続いた沿岸部と、発展が遅れた内陸部で、構成されます。中国政府は、経済格差が広がり、内陸部に不満が広がるのを押さえるために、近年、内陸部の開発に力を入れてきました。

    ところが、結果は悲惨なものです。甘い計画で進めた資源開発は失敗し、需要のないままに作ったマンション群が、ゴーストタウンと化しています。内陸部の開発バブルは既に崩壊していると言えます。一方で、沿岸部の経済は好調が続いています。

(4)中国バブルは崩壊するか?

冒頭の読者の質問に対し、私の考えを述べます。中国バブルは既に崩壊している部分がたくさんあります。投資バブル・国営企業バブル・内陸バブルが、崩壊しつつあります。

これに対し、中国経済には変わらずに強い部分もあります。民間企業の活力、消費の安定成長、堅調な沿岸部経済が中国の強みです。

中国のリスクは、経済よりも政治にあると見ています。共産党の独裁に中国内で不満が高まっていること、それに呼応して、中国が対外的に強硬策を取るようになっていることが、問題です。

まとめますと、私は、中国経済全体が崩壊する意味での「中国バブル崩壊」は起こらないと考えています。中国経済は、常に高成長とバブル崩壊の二面を持ちながら推移していくと考えています。

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